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ジェットスキー フリースタイラーが語る「フリースタイルの楽しさ」とは? 「和氣正季」選手

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TECHNICAL全日本選手権大会参戦中の和氣正季選手

フリースタイラーが語る「フリースタイルの楽しさ」とは?

「フリースタイルの楽しさは何ですか?」。「フリースタイルに人生を懸けている」ような、フリースタイラーたちに問いかけた。正直な答えの中に、それぞれの考え方が明確に表れていた。

ジェットスキーには、これほどまでに人生を変える力があります。魅力に満ち溢れた、フリースタイラーの「生の考え」をお楽しみください。

プロフリースタイラー「和氣正季」選手(TEAM Bro Hymn)


僕、負けず嫌いなんですよ。
今は、他人と競うよりも、「自分の恐怖心」に打ち勝とうと、懸命に戦っています。

WJS 和氣選手にとって、「フリースタイルの楽しさ」とは何ですか?
和氣 何やろ? 「できないことが、できるようになる」ことですね。

WJS それは、難易度の高い技をやりたいということですか?
和氣 僕、今、54歳で、フリースタイル競技は33歳から始めたんですけど、それよりもずっと前から、550(Kawasakiの1人乗りスタンドアップ)に乗ってました。そのとき、「ジャックナイフという技ができたら、ジェットをやめてもいい」と思うくらい、ジャックナイフがしたかったんです。でも、550ではどうしてもできなくて、FX(YAMAHAの1人乗りスタンドアップ)に乗り換えて、やっとできるようになった。そしたら、「バレルロール」という新しい技が出てきて、次は、「うわっ、バレルしたい!」ってなって。バレルロールができるようになるまで、相当、苦労しましたね。

WJS 苦労しているのに、とても楽しそうに話されますね。
和氣 それで、やっとバレルロールが回れるようになったたら、今度は「バックフリップ」が出てきた。当然、「これもやりたい」ってなるでしょう。この20年、これの繰り返しですわ。

WJS 和氣選手は、2011年にタイで行われたキングスカップのフリースタイルクラスでチャンピオンを獲得、同年のワールドファイナルでも世界2位と、堂々たる戦績をお持ちです。今も大会に出られていますが、また世界に挑戦するつもりはないのですか?
和氣 今は、それはないです。大きな怪我が続いて、ここ2年くらい、まともにジェットに乗れなかった。今は「強烈な恐怖感」に苦しめられています。正直、引き波を描いた時点で、飛べなくなっています。

WJS それほどの大怪我だったのですね?
和氣 はい。2013年に、ワンフットのバックフリップの連続技をしている最中に足がすっぽ抜けて、マシンに叩きつけられた。顎の骨が折れて、急性硬膜外血腫で死にかけました。選手生命どころか、人生が終わりだと思いました。その後、何とか立ち直って、1年後にフリースタイルのイベントに出演したとき、また怪我をしてしまった。今度は、左ヒザが粉砕骨折して、膝が5枚に割れていました。このときのリハビリは、死ぬほど辛く、きついものでした。

WJS そんな大変な思いまでして、どうしてまだフリースタイルを続けているのですか?
和氣 うーん……。ヒロシ(北海道を拠点に活動しているフリースタイラー、渡邉 博選手。TEAM Bro Hymn)、仲間がいたからですかね。でも、まあ結局、フリースタイルが好きなんでしょうね。でも、まだ現在も、強烈な恐怖心と戦っています。

WJS 怪我のトラウマですか?
和氣 はい。昔は、ノーハンドやワンフットなんて、怖くも何ともなかった。なのに、今は片手を離すのすら、恐くて怖くてたまらない……。この気持ちを乗り越えないと、「競技会で勝つ」とはとても言えないし、世界なんて夢の夢です。

WJS でも、今の和氣選手の演技を見て、そんな恐怖心と戦っているようにはとても見えない。攻めた演技だと思いました。
和氣 それは、自分のなかで今できることを、精一杯やっているからでしょうね。常に頭の片隅には、「この技をやったら、また大怪我するのでは?」というのがあります。本当に、ビビりになりました。だから、その恐怖に打ち勝って技が成功した喜びは、とても大きいです。でも、本音を言えば、少しだけ「まだまだ、若い選手には負けない!」という気持ちもありますよ。

WJS それだけ大きな怪我だったのですね?
和氣 はい。退院するとき、看護婦さんたちが泣いてくれました。治ると思えなかったそうです。

WJS それなのに、今もジェットに乗り、フリースタイルを続けている和氣選手はすごいと思います。
和氣 やっぱり、フリースタイルが楽しいんでしょうね。僕、負けず嫌いなんですよ。今は、他人と競うというよりも、「自分の恐怖心」に打ち勝とうと、懸命に戦っています。強いていうなら、今は「その戦いが楽しい」かな。本当に、いつまで続けられるか分かりませんから……。

WJS だからこそ、乗れる今が、大切なのですね?
和氣 はい。「いつまでも乗れるわけではない」と感じているからこそ、余計に「今」を楽しみたいです。

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