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上の写真が2018年のワールドファイナル。下の写真が2017年のワールドファイナル。


世界で初めて、ジェットスキーで空中2回転に成功した男
リー・ストーン選手・独占インタビュー

 

ジェットスキーには、レースとフリースタイルという競技がある。それぞれ別のカテゴリーで、文字通り、レースは競争、フリースタイルは、水上でさまざまなトリックを行い、観客を魅了する競技である。当然、モトクロスのように、空中で回転したり、スピンなどを意図的に行い、観客を楽しませる。

このフリースタイルにおいて、前人未到のトリックに挑む者がいる。そして、成功させ、世界のオーディエンスを驚かせる選手がいる。採点競技である以上、無謀なチャレンジで自滅するより、手堅く既存のトリックで勝ちに行く選手もいる。

このリー・ストーン選手は、2010年に初めて世界チャンピオンに輝き、当然、2018年度もタイトルを獲得した。実力的には、2010年から2018年まで8年連続世界チャンピオンで全く不思議ではない。しかし、現実は5回にとどまっている。理由は、チャレンジするからだ。世界タイトルを戦う場所がニュートリックを披露する場所になっているのだ。彼は、前人未到の大技にチャレンジする。その結果、失敗した回数が3回ということなのだ。まさに、「結果より過程」。「勝敗より内容」を地で見せている選手なのである。

2017年の世界大会で、史上初の平水面でのダブルバックフリップ(後方2回転宙返り)を成功させた。

そして、2018年の世界大会では、前人未到の「ダブルバレルロール(空中2回転)を繰り出し、王座を奪還した。今回、本誌は、名実ともに、フリースタイル界の絶対王者として君臨する、リー・ストーンの独占インタビューに成功した。現在、28歳の王者は、一体、何を語るのか。

ワールドファイナルで見せた
「ダブルバレルロール」、「ダブルバレルロール」の成功


世界の大舞台で、あえてリスクの高い「前人未到の大技」に挑戦する理由

WJS 2017年には、誰も見たことがない新しい技「ダブルバックフリップ」を、そして2018年の大会では、「いつ、誰が成功させるか」と、長きにわたり話題となっていた「ダブルバレルロール」を、ワールドファイナルの大舞台で決めました。トリックが決まった瞬間はいかがでしたか?
リー 長い間、トライしてきた技をここで成功することができて、とてもハッピーで誇らしい気分だ。家族や友達をはじめ、スポンサー、そして僕を応援してくれる全ての人に感謝したい。
WJS 2017年に成功させたダブルバックフリップですが、技が完成したのはいつですか?
リー 本格的なトライを始めたのは4年前。2016年に、初めて成功したんだ。でも、そのときは成功する確率がまだ低かったから、大会で披露することができなかった。
WJS 同じく新技で披露した「ダブルヘリコプター」は、いつからできるようになったのですか?
リー 「720(セブン・トゥエンティ)」のことだね。これも、2016年のワールドファイナルのころには完成していたよ。でも、ダブルバックフリップと同じで、成功する確率がまだ十分ではなかった。だから、1年かけて技の完成度、成功率を上げるように練習してきた。

WJS マシンは何か変わっているのですか?
リー 重さ約14kg軽くなっている。
WJS フリースタイル競技にとって、マシンの重量というのは、それほど重要なのですか?
リー 技の成功を決める「最後の10度」には、軽さがものすごく重要なんだ。「わずか10度」って思うかもしれないけれど、それを回りきるかどうかで、ノーズダイブか、ボトムで着水できるかが変わってくるんだ。「最後の10度」を回りきるために、いろいろとテストして、軽量化に至っているよ。
WJS 心なしか、人間もシェイプされているように見えますが?
リー いや、僕自身の体重は変わってないよ。
WJS では、その10度を回りきるための試行錯誤をしてきたわけですね?
リー そうだね。もし2016年の大会で、日本の山本汰司選手が2回転(ダブルバックフリップ)を出すようなら、成功率は低くても、僕も無理にでもトライしようと思っていた。でも、結果的に誰も2回転に挑戦しなかったから、僕も出す必要がなかったんだ。

最高の演技をするために、日々、ハードワークに励んでいる
常に、最良の結果を手にできるように全力を尽くすだけだ

WJS 「ダブルバックフリップ」、「ダブルバレルロール」という2つの技を完成させたことで、確実に、フリースタイルは新しい時代に突入したように思います。
リー そうだね。フリースタイルはより激しく、よりクレージーな技を期待されるようになると思うよ。この競技の性質上、それは、非常に重要なことだ。よりエキサイティングで、エクストリームな技を見せれば見せるほど、観客は盛り上がり、熱狂する。そこにビジネスチャンスも生まれると思っている。
WJS 「ダブルバックフリップ」も「ダブルバレルロール」も、「できる」と何年も言われ続けていながら、あなたが成功させるまで、誰も公式の大会ではやりませんでした。危険な技だと思うのですが、そこまであなたを突き動かす原動力は、一体どこにあるのですか?
リー こうしたアイディアが浮かぶのは、僕がいち早く次のレベルにステップアップしたいと考えているからだと思う。次のステージに誰よりも早く到達すると、何ともいえない快感を味わうことができるんだ。このスポーツが成熟し、レベルが上がれば上がるほど、誰よりも早く次のステージに上がりたい。僕の情熱は、強く駆り立てられるだろうね。

WJS あなたが現代最強のフリースタイラーであることは、疑いようもない事実ですが、それでも、他の挑戦者を脅威に感じることはあるのですか?
リー 他のライダーのレベルも高いし、僕のマシンにトラブルが出る可能性だってある。常に、最良の結果を手にできるように全力を尽くすだけだ。
WJS 実力的には、誰が見てもあなたが世界ナンバーワンです。それでもプレッシャーはあるのですか?
リー もちろんさ。どんな大会でも常にプレッシャーはある。最高の演技をするために、日々、ハードワークに励んでいるわけだし、その全てを出し切ろうと思っている。だから、そのプレッシャーを克服して、納得いくルーティーンができたときの幸せは格別だよ。
WJS 今後の目標を教えてください。
リー このスポーツの発展に寄与し続けること。ニュートリックを開発して、新たなレベルに到達すること。そして、世界王者であり続けること。目標はこの3つだね。あと、リボルバーに乗る選手が世界王者になるシーンも見てみたいな。
WJS 2019年も、素晴らしい演技が見られることを期待しています。
リー ありがとう。今年もいい戦いができるといいね。

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