カテゴリ
タグ
  1. TOP
  2. LIFE
  3. 世界の花形レース 2020年のワールドファイナル(?)が、今年も無事に終了した ジェットスキー(水上バイク)

世界の花形レース 2020年のワールドファイナル(?)が、今年も無事に終了した ジェットスキー(水上バイク)

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コロナ渦で開催された、2020年のワールドファイナル

10月7日(水)~11日(日)、アメリカ、アリゾナ州レイクハバスで行われたワールドファイナルが終了した。
このイベントは、ジェットスポーツ最大のイベントとして、今年、39回目を迎える。

2020年は、いつもの年と全く様相が異なった。世界中に新型コロナウイルスが蔓延し、レースどころの話ではなかった。
水上バイク(以下、ジェット)は屋外型のスポーツだ。いわゆる「三密」にはなりにくいので、レースそのものを行うには問題がないように思う。しかし、「大型イベント」という観点からすれば、広さの限られている観客スタンドに、多くのギャラリーが詰め込まれることが問題なのだ。

また、海外から参戦する場合、「到着から14日間の隔離」といった壁もある。リスクを負ってまで参加したがらないのも理解できる。

そのため、例年に比べて規模の小さい大会になったらしい。急遽、設営された小さなスタンドにも人はまばらで、別段、咎められるような感じでもなかったそうだ。

こんな伝聞形の書き方となっているのは、取材班が現地に行けず、参加したライダーから話を聞いて書いているからである。

2011年、観客も多く賑わうワールドファイナル。

変わりゆくイベントのカタチ

この記事で言いたいことは、今年のワールドファイナルの話ではなく、「今後のワールドファイナル」の話だ。
我が業界最大のビッグイベントのひとつであるワールドファイナルの表彰式が、例年使用されてきたホールではなく、レース会場内のビーチで行われたそうだ。コロナ禍とはいえ、そう聞くと、あきらかに業界が衰退した感じに見えてしまうから辛いところだ。

前年よりもイベントが華やかになると、それに比例してそのスポーツも発展する。逆に規模が縮小されると、スポーツ自体の盛り上がりがなくなって見える。

レースだけに関していえば、ジェットスポーツ業界は、毎年、縮小し続けている。
ジェットの販売台数は、リーマンショック直後に減少傾向が見られたが、比較的安定している。
スポーツとしてのジェットは萎み、レジャーとしてのジェットは変わらず。そんな感じである。

歴代のワールドファイナルの熱い戦いの中から、多くのスーパースターが生まれてきた。(写真はクリス・マックルゲージ)

レースが萎んでも、ジェット業界全体に影響はないのか?

「レースなんて、関係ない」
近年、業界でよく聞く話である。海外だけでなく、国内のレースを見ても、取材するメディアの数は減り続けている。
昔は、レースでの勝敗が、販売台数に直結していた。だからメーカーは、ファクトリーチームを作り、「自社製品が勝つ」ことにこだわった。勝利することで、製品クオリティの証明になったからだ。

勝ったメーカーのマシンは売れ、負けたら売れない。
情報が今ほど得にくい時代、製品を比較するのに「チャンピオンは、このマシンで勝った」というのが、最も分かりやすい証明方法であり、ある意味、それは正しかった。

だからメーカーも熱くなるし、レース関係者もギャラリーも、そこに集まる全ての人が熱くなった。なるべくして、ワールドファイナルが一大イベントになったのだ。
現在は、「ジェット=(イコール)モータースポーツ」という側面が、どんどん衰退している気がしてならないのだ。

熱狂するオーディエンスの視線を釘付けにする、迫力のスタートシーン!

今の世の中、全ての人が「プレス」になった

昨年のワールドファイナルのプレスエリアで、大会主催者が私に嘆いた。「ここ数年、世界中のオーディエンスが、プレス(報道)の申請をしてくる」という。プレスと認められれば、入場料が無料になったり、一般の人が立ち入れない場所にも入れる。
大会のプロモーションをしてくれるのだから、主催者側も優遇措置をいろいろと用意しているのだ。

このプレス申請が、判断に困るという。出版社なら本などの出版物があるので確認しやすいが、フェイスブックに写真をアップするだけの一般カメラマンをプレス扱いにしていいのか? 数年前なら迷うことなく断っていたが、今の時代、実はその人が有名ユーチューバーだったりしたら目も当てられない……。彼らの発信力は計り知れない。

誰でも、手軽に情報を発信できる時代、SNSを利用することで、お金がなくても世界中の人たちにそのイベントをプロモーションすることができるようになったのだ。

ワールドファイナルの最終日、大会開催直前のセレモニー。
水上ではレーシングスタッフが星条旗を掲げ、アーティストが登場してアメリカ国家を歌う。人々はそれをスタンディングオベーションで聞く。気分もMAX!

空には戦闘機が飛び、イベントを盛り上げる。まさに、ジェット界の一大イベントである。

前回、35周年の記念大会。世界的ウェットスーツブランド、クエーキーセンスが7度目のメインスポンサーを務めた。日本の企業がメインスポンサーになると、日本からの参加人数が増える。
つい先日、ニューヨークの地下鉄駅で、日本人ピアニストが中国人と間違われ暴行を受けた事件が起こった。昔から、アメリカは我々東洋人をはじめ、有色人種に対して冷たい。しかし、クエーキーセンスが7回もメインスポンサーを務めたことで、この会場における日本人に対するアメリカ人の態度に変化が見られた。日本人に対する蔑みではなく、リスペクトが増したおかげで、日本人がアメリカに行く理由になった。

2016年のワールドファイナル。35周年記念大会。

40周年を来年に控えて、ワールドファイナルはどう変わるのか!?

来年のワールドファイナルは、40周年の節目の年である。毎回、10年ごとの節目では、イベントが一層、華やかになる。

30周年となった2011年は、メインスポンサーがクエーキーセンス。大きなメインスタンドに観客が溢れ、「世界大会」に相応しい、大変、華やかな大会であった。
また、2016年の35周年記念には、空にいくつも気球が上がり、隊列を組んだ戦闘機がレース会場の空を飛ぶ余興もあった。とにかく、『盛り上がるイベント』というのが、これまでのワールドファイナルの感想である。

そう考えると、今年のワールドファイナルが、あの35周年と同じ大会だと言われると、何とも切ない気分になる。今回に限っては、参加人数もギャラリーも、国際大会の様相を呈していないからだ。

来年3月にタイで開催予定の「JET SKI WORLD CUP」もそうだが、我々は、選ばれし者によるエキサイティングな戦いが見たいのだ。
コロナ渦でエントリー数が集まらない危惧があるため、参加資格が「誰でも参加可能」と変更されたが、ハードルが下がれば下がるほど、見る側のモチベーションは下がる。

もし我々が、今年のワールドファイナルの取材に行っていれば、掲載する写真をかなり限定したと思う。嘘は絶対に書かないが、イベントが著しく衰退したように見えてしまう写真はほとんど使わないと思う。

それは、『来年』があるから。今、華やかに行われているイベントを、来年も同じような規模で開催するのはそれほど難しくない。しかし、一度、「衰退した」と思われるイベントを、かつてのように盛り上げるのは、並大抵の努力ではない。さらに無理をする必要があることを知っているからだ。

来年は、世界がどう変わっているのか分からない。コロナ禍が収束しているのか、していないのか……。しかし、ジェットの一大イベント・ワールドファイナルが、『華やかなお祭り』になる世界になっていることを願っている。

2011年の30周年記念大会。満員の観客に気分も上がる!

写真左上は30周年記念大会のバナー。こういった特別なディスプレイもお祭り気分を盛り上げてくれる。

この大会で、数々の名場面が人々の記憶に刻まれてきた。

ジェットスポーツ界に、この盛り上がりが続くことを願うばかりだ。

関連記事

2021年 BRP SEA-DOO(シードゥ)ニューモデル 
2021年 ヤマハ マリンジェット ニューモデル
2021年 カワサキ ジェットスキー ニューモデル
秋はジェットスキーのベストシーズン(水上バイク)
2022年から違反点数が付きます!  その「ライフジャケット」で大丈夫? 最大6カ月の免許停止に!!
「アワーメーター」の意味、知っていますか?「クルマは走行距離、ジェットはアワーメーター?」


 

ジェットスキー中古艇情報

月間アクセスランキング