ジェットスキーを買ったはいいけれど、「一体、そのあといくら維持費がかかるか分からない」という不安を持っている人も多いことだろう。車と違って「ジェットスキーには、税金がかからない」とよく言われる。
確かに、全く乗らずに「持っている」だけならお金はかからないが、安全に楽しく乗るなら相応の「必要経費」は、もちろん必要だ。そこで、「ジェットスキーを乗るのに絶対に必要な費用」と「毎年かけたほうが良い費用」を紹介する。
話は、信頼できるプロのショップ店長・鈴木雄生氏(スズキマリン)に聞いた。あなたのジェットライフが「安い金額で、安心に包まれる」いい内容だ。
WJS 率直にお聞きします。ジェットスキーを買ったら、それを維持するのにいくらかかりますか?
鈴木 本体を買ってしまってからの話ですと、3年ごとの「定期検査(初めて船舶を航行させるとき、または船舶検査証書の有効期間が満了したときに受ける精密な検査)」と「中間検査(定期検査と定期検査との間に受ける簡易な検査)」の費用だけです。定期検査と中間検査というのは自動車でいう車検のようなものです。
WJS それは、3年に1度受ける「検査の費用」だけですか?
鈴木 はい。新艇を買って3年目を中間検査、6年目を定期検査、9年目を中間検査、12年目を定期検査というように、3年ごとに交互に受ける必要があります。うちのショップでは、信号紅炎込みで中間検査の費用が24,000円前後、定期検査が29,000円前後です。
WJS では、3年ごとに24,000円か29,000円を支払うだけで維持できるのですか?
鈴木 はい。自動車と違って、所有しているだけなら税金もかかりません。だから、厳密に言えば維持費は検査費用だけです。
自分の船の居場所を知らせるための装備として、「信号紅炎(光や煙で付近の船舶や航空機などに自船の位置を知らせる設備)」か、「携帯電話(防水ケースとセットで登録)」のどちらかを選べる。
よく聞くのが「携帯電話は自分で持っているから、わざわざ信号紅炎を買うのはもったいない」という話。しかし、携帯電話を選択した場合、例えばアンカーを引き上げるためたった5m乗っただけでも、携帯電話を持っていないと違反になる。でも、信号紅炎はジェットスキーの中に入れておきさえすればいいのだから忘れることもない。
信号紅炎は5,000円前後で購入できる。この金額をケチっても、あまり良いことはない。トラブルがあったときに使いたいのに、充電切れや海水を被ったら壊れるなど、電子機器類はトラブルに弱い。でも、信号紅炎は何かあったときに使えるのだ。安全のためにも、信号紅炎と携帯電話の両方を持っていることが望ましい。
係船索(ロープ) | 1本(複数本持っているといろいろ使える) |
---|---|
ライフジャケット(定員分) | 認証マーク(「USCG」か「桜マーク」)がないと、ジェットスキー用として認められない |
「小型船舶用信号紅炎」 もしくは 「携帯電話+防水ケース」 でも代用可能 |
信号紅炎は2本で1セット 携帯電話は、航行区域において圏外でなければOK |
WJS では、義務ではないけれど、ジェットスキーで安全に遊ぶために使う費用は何ですか?
鈴木 ウチの店では、年に1度、オイル交換、プラグ交換、エレメント交換をするようにお願いしています。費用は、機種によってパーツの値段が違ったりするのでそれぞれですが20,000円~25,000円ぐらいです。本格的なシーズンが始まる前、「乗り始めの春先に行いましょう」と推奨しています。
WJS 他には何がありますか?
鈴木 お客さんにお薦めしているのが「任意保険」。対人、対物、搭乗者への保険です。これは入っていた方が絶対お得です。
WJS ジェットスキーの保険は、高額なのではないですか?
鈴木 高くはないです。それよりも、絶対に「安心」はあったほうが良い。楽しむためにジェットスキーを買ったのに、万が一、誤って人を轢いてしまったら、何千万円という請求が来たりします。そんなときでも、保険に入っていればカバーしてくれます。
WJS 確かに安心ですが、滅多に人を轢くことはないと思いますが?
鈴木 人を轢くことはないかもしれませんが、良くある話が「友達同士でぶつけて、新艇を傷つけてしまう」ことです。ピカピカの新艇に傷を付けられたら、いくら親しい友達でも直して欲しいと思うのが人情です。そんな時でも保険に入ってさえいれば、「保険で直すから」と言えます。
WJS 友達同士の事故は、良くある話なんですか?
鈴木 良くあります。アカの他人だったら、わざわざぶつかりそうな距離には近づきませんが、友達同士や仲間同士だから話をしようと近づいてしまい、衝突などのトラブルになりやすい。
WJS 確かに、距離が離れていればトラブルにはなりませんからね。
鈴木 そこでもしぶつかっても、保険にさえ入っていれば「保険屋から連絡させる。きちんと対応するように話をしておくから」と言えば、人間関係が壊れることも揉めることもありません。
WJS 保険料は高くないのですか?
鈴木 基本は1年契約ですが、「乗る期間」だけ入っていれば良いわけですよね。例えば、ゴールデンウィークから乗り始めて、秋には乗らなくなる人なら、5月~9月までの5カ月間だけ保険に入るとかね。ウチのお客さんなんかだと7、8、9月の3カ月間だけ入っている人もいます。
WJS 月単位で契約できるのですか?
鈴木 いや、1年契約をしますが、乗らなくなったら3カ月後に解約する。これなら、保険料を支払うのは3カ月分だけです。
WJS それだと、月額どれくらいですか?
鈴木 5,000円ぐらいです。
WJS それなら、絶対に入ったほうが良いですね。
鈴木 はい。絶対入ったほうが良い。「対人、対物、搭乗者への安心」が、月額5,000円で買えるのですから、安いものだと思いますよ。
WJS そういう手続きも、自分がジェットスキーを買ったお店に行けばやってもらえるのですか?
鈴木 はい。そのためのジェットショップですから。
関連記事
「新艇」と「中古艇」ではどっちがお得?
初めてでも失敗しない 中古艇の探し方
現代ジェットの弱点 バッテリーについて
冬の必需品 ドライスーツは世界を変える
ジェットスキーの免許の取り方
どのメーカーの水上バイクが壊れないの?
今、「初心者」が、買うべき水上バイクは?(ジェットスキー)
しないと壊れる、ジェットスキー(水上バイク)の慣らし運転
ジェットスキー「水上バイク」 2020年度 全モデルラインナップ