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最強のレーサー 竹野下正治 ジェットスキー(水上バイク)

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あら、大変! 史上最強の世界チャンピオンが大勢?

「SNS」の落とし穴 アナタは一体誰ですか?

先日、マリン業界のパーティを取材中に、「この前、ジェットスキーの世界チャンピオンと食事をした」と、参加者の方に自慢げに話をされた。「〇〇選手は、日本でも世界でも1番速いんだろ?」と確認された。
しかし、その選手は世界チャンピオンではなかった……。

どこでどうなって、その彼が「チャンピオン」になったのかは分からないが、私はこの手の話が一番苦手だ。「その選手のことは、よく知りません」と、逃げるようにその場を離れた。

SNSが大盛況のこの時代。フェイスブックやらブログで自己発信した情報が錯綜して、何が事実か分からなくなっている。それ自体は個人の自由だが、あまり誤解を招くような情報ばかり発信すると、最後は本人が「嘘つき」呼ばわりされることになりかねない。

「日本一」や、「世界一」に人は憧れる。一緒に同席するだけでも、誇らしくて嬉しいと思っているのだから、それが嘘だと分かったら、倍以上に悔しくて憎い気持ちを抱くものだ。タチが悪いのは、相手が「嘘をつかれた」と感じたら、何を言おうが「嘘つき」になってしまうことである。



史上最強の全日本チャンピオン・竹野下正治

今回は、ホンモノの全日本チャンピオンのインタビューである。
竹野下正治選手。現在、53歳。
1989年からレースを始め、今年で31年目。ずっと日本のトップを走り続けている、我が業界のスーパースターだ。
国内最高峰クラスのタイトルを計12回。タイのキングスカップタイトルを1回獲得している。日本のジェットスポーツの歴史において、最強のライダーであることは間違いない。この先、彼に並ぶどころか、彼に近づけるレベルのライダーが現れるかどうかも不安なところだ。

彼は、「プライド」を手に入れるための戦いに人生を懸けている。そのためには、常にトップに居続けなければならない。毎年、レーシングシートを確保する彼の方法はたったひとつ。「勝ち続けること」。
そんな王者に私は惹かれる。



ロングインタビュー・竹野下正治が語る「レース人生」

53歳で日本のジェットレース界を牽引する「KING竹野下」

WJS 昨年はJJSFとaquabikeの2つの全日本チャンピオンタイトル獲得おめでとうございます。JJSFでは、2年連続チャンピオンと、国内では圧倒的な強さですね。
竹野下 ありがとうございます。せっかくなので、世界のタイトルも欲しかったですね。

WJS つい先日、プロサッカー選手の三浦知良選手が「53歳でJ1に上がる」と大きく報道されていました。竹野下プロと同じ年ですよね。
竹野下 はい。正直、皆から年のことを言われます。「すごいね」って。でも、自分自身が「老いた」と感じたことがないので、何でそんなふうにいわれるのか良く分からないんです。世間的には、「53歳で、第一線のスポーツ選手」っていうのは偉大かもしれませんが、自分は何か違う。僕は53歳だけど、10年前とあまり変わってないぞって。

WJS 私もそう思います。今、20歳のライダーでも、あなたに勝てる選手はいません。というか、日本人ライダーで、あなたに勝てる選手はいません。これが国内のレースシーンの現状です。
竹野下 レースは楽しいです。出るレースで、負ける気はしません。海外戦などで、「あきらかにマシンが走らない、この状況でどう戦うか」って、考えながらレースに挑むこともたまにありますが、国内ならマシンが不調でも何とかできるのでは、という気持ちはあります。

WJS サッカーの三浦選手は、試合に出るだけでニュースになります。ゴールを決めれば、トップニュースです。それに比べて竹野下プロは、負けたらニュースになるのですからね。
竹野下 何でですかね(笑)? でも負けないし、負けたくないです。



「近代レースの戦い方」について

WJS 竹野下プロの圧倒的な強さの秘訣は何ですか? 見ていると、昔に比べてホールショットを獲る確率が増えた気がします。
竹野下 昔より「1ブイ」に対するこだわりはあります。レースの周回数が減ったことが最大の原因です。昔は周回数が多く、体力的にもキツかったから終盤で抜けるチャンスが多かった。今は、先行されるとそのまま逃げ切られてしまう。だから1ブイにこだわります。

WJS スタートシーンの写真を撮っていると、竹野下プロはトップを走っているわけではありません。でも、1周目のホームストレートに戻ってくるとトップに立っています。1ブイ争いは波しぶきで見えませんが、どうして常にトップで戻って来られるのですか? 誰よりも低い体勢で1ブイに向かって行く姿は目に焼き付いています。
竹野下 一生懸命、マシンを造ってくれているので、マシンも速いです。でも常に圧倒的に速いわけではない。スタートで1番に出られないことも多いです。だからこそ、「1ブイまでの我慢比べ」では誰にも負けないように頑張っています。

WJS 1ブイの手前で、他の選手が減速するときに減速しないということですか?
竹野下 1ブイまではトップスピードで突っ込んでいきますが、ブイを曲がるために、皆、減速しますよね。その減速を、ギリギリまで我慢して耐える。これ以上我慢すると曲がれないという極限までアクセルを緩めなければ、1ブイは獲れます。

WJS ものすごい駆け引きですね。「KING」と呼ばれる竹野下プロでも、相当なリスクを背負って戦っているのですね。
竹野下 勝つのは甘くはないです。でも、勝てるうちは勝ち続けたい。勝つから楽しいのであって、負けてもレースが楽しいという気持ちはよく分かりません。

WJS 昨年のレース戦績を見ると勝率は約70%ですが、私の中では95%くらい勝っている気がしています。他の選手もそう感じているはずだと思います。
竹野下 はい。勝ちにいってますから。

WJS 今シーズンも、竹野下プロの走りを期待しています。
竹野下 ありがとうございます。今年も頑張ります

2019年の国内戦・優勝戦績

開催日 大会名
4月6日、7日 JJSF 全日本選手権シリーズ 第1戦・優勝
4月6日、7日 JJSBA 第1戦・優勝
4月14日 アクアバイク 第1戦・優勝
5月11日、12日 JJSF 全日本選手権シリーズ 第2戦・優勝
5月11日、12日 JJSBA 第2戦・優勝
6月1日 JJSBA 第3戦・優勝
6月2日 JJSBA 第4戦・優勝
6月22日 JJSBA 第5戦・優勝
6月23日 JJSBA 第6戦・優勝
7月6日 JJSF 全日本選手権シリーズ 第5戦・優勝
7月7日 JJSF 全日本選手権シリーズ 第6戦・優勝
9月14日、15日 JJSF 全日本選手権シリーズ 第7戦・優勝
9月15日 アクアバイク 第5戦・優勝

年齢の話になると、皆から「すごいね」と言われるが、竹野下プロ自身が「老いた」と感じたことがないので、何でそんなふうにいわれるのか良く分からないという。

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