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ジェットスキーコラム 機種の選択が、明暗を分ける時代(水上バイク)

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「機種選びに失敗すると大変だ」という時代がジェットスキーにも来た

アメリカに行くと、30年近く前のものなのに、とてもキレイなジェットスキーが多いことに驚かされる。1990年代初頭~2000年代前半くらいまでの、もうとっくの昔に販売が終了しているモデルが、まるで2カ月前ほどに買ったばかり? という状態で走っている。
概ね当時のマシンは非力なので、ビキニ姿のお姉さんがライフジャケットだけ着て、楽しそうに乗っている。乾燥した気候が塗装に優しいのか、キチンと屋根が付いた風通しの良いガレージで保管されているからだろうか、美しい状態のまま保っている。
下世話な話だが、これだけ長い間楽しんでいるのだから、当時、買った金額のモトは、とっくの昔に取れているだろう。

トレーラーに積まれた4台のJS550。手前のマシンのカラーリングは、1992年前後の当時の純正のまま。つい2、3日前に、初めて水に降ろしたと言われても信じてしまうぐらいキレイだ(令和元年のレイクハバスにて)。

ジェット選びにも通じる「賢いクルマの買い方」

アナタのクルマ、すぐに買い換えますか? それともずっと乗り続けますか?

友人のクルマショップのオーナーに面白い話を聞いた。
「損をしないクルマの買い方」だ。
クルマは車検がくる3年ごとに新車に乗り換えるか、惚れたクルマを買って、そのクルマを乗り潰すつもりで、長期間、それこそ動かなくなるまで乗り続けることがベストだという。

3年ごとの車検が来るたびに乗り換えるのなら、比較的高い金額で下取りしてもらえる。何より、最新鋭の装備を常に堪能できるのだから、費用対効果も良いのだという。

長く乗るのなら、もちろん、飽きないためと機能のブラッシュアップのため、数年ごとにイケてるアフターパーツを装着し直し、最新トレンドを保持しながらであるが……。
そうすると、廃車寸前のころには、「全く違うクルマ」と見間違えるくらいの変貌を遂げることもあるそうだ。とにかく、買ったばかりの頃のように、そのクルマを愛せるようなカスタムしながら乗り続ける。それが、経済的にも精神衛生上にも最良の方法だと言われた。

潰れるまでそのクルマに乗り続けるというのも、経済的に効率がよいのだそうだ。 よく、「3年目で燃費が良いハイブリッド車や、ディーゼルエンジン車に乗り換えた」などと、燃費の良し悪しで乗り換えるという話は良く聞く。しかし、車両代金分のガソリン代なんて、絶対に使えないという。
いくら「アメ車はリッター3km」と言われても、新車を買う代金とガソリン代を考えたら、なかなか釣り合う話ではない。だから、「惚れたクルマ」を、最後まで惚れた状態でブラッシュアップしながら乗り続けることは、結果的にエコであり経済的でもあるのだ。

例えば、500万円のクルマを買って、そのクルマを「大好き」と思いながら、30年間乗り続けていれば安い買い物だと思う。その場合、ベースになる車両の選択が難しい。
かなり極論ではあるが、カーショップの友人が言うには、「1990年にトヨタのフラッグシップのセルシオを買った人が、2020年の今、そのクルマに乗り続けているためには、相当、ハイセンスで奇特な改造をしていないと、絶対、貧乏人に見える」という。
しかし、同じ1990年製のベンツ S600を少し改造して、上品なフロントスポンソンやリアスポンソンを付け、毎日、キレイに乗っていれば、「このクルマがお好きなんですね」と言われることがあっても、お金がなくて買い替えられないと思う人はいない。
これが「世界のメルセデスのセンスと、日本のトヨタの歴然とした差だ」と、彼は熱く語っていた。

これは1990年の製品を比べた話だ。2020年の今のレクサスとベンツを比べたら、違うのかもしれない。答えは30年後の2050年にならないと分からない。
クルマ選びはセンス。「ダサいカーディーラーと付き合って、しょうもない車を買うとツブシはきかないよ」と、脅された。

アメリカのセレブが、1970年前後の古いマスタングに乗っているのをみると、彼の見解はあながち間違いではないと思う。スクラップ当然の古いクルマが、車種によってはハイセンスな宝物に変わるのだから。

黄色いJS550の後ろに写っているのは、ノーマルのヤマハTZ。両方とも新艇のようだった。この2台が2020年モデルのシードゥRXT-X300と同じ水面で違和感なく走っているのは面白かった。ただ、良い悪いではなく、乗り物としてのジャンルが違う気がしたが……。

どの機種が「名機」なのか。それは時間が証明してくれることだ

ジェットスキーの世界も、JS440、JS550をはじめ、TZ、650 X-2、HXなどのヴィンテージモデルが盛り上がりを見せている。しかし、販売終了してから久しいこれらの機種も、アメリカで見ると保存状態が良すぎて現行モデルにしか見えないから不思議だ。

むしろ、現行のランナバウトのほうが、「ヴィンテージ」と呼ばれるくらい長期にわたって活躍できるのか? と聞かれたら不安だ。
自動車のポルシェの場合、年代が古くても空冷式のほうが値段が高いように、中途半端なコンピュータ制御の水冷式は、すぐに部品が世の中からなくなる。それは、ジェットスキーにも当てはまるかもしれない。

現行のフラッグシップモデルの良し悪しが、10年後に明確になる。クルマやパソコンの歴史を振り返りながら考えてみると、多種多様な機能が多いモデルほど、時代に取り残されている。シンプルなモデルほど顧客満足度が長く続いている。だからといって、ブレーキやグリップヒーターなど便利な機能はあった方が良い。

いずれにせよ、1台のジェットスキーに長く乗り続けるという前提の話だ。1~2年で手放す人には関係ない。10年後に分かる話だからだ。

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