業界最大「325 馬力」にパワーアップした【 BRP SEA-DOO エンジン】進化を遂げたインテリジェンスモンスター

325馬力にパワーアップした「 Rotax 1630 ACE 325エンジン

「 300 馬力」から「 325 馬力」に、エンジンの回転数が、従来の「8,000回転」よりも高い「 8,250回転」に！

SEA-DOO の "マッスルスポーツモデル" に搭載されているエンジンが、それまでの「 Rotax 1630 ACE 300エンジン」をパワーアップし、「Rotax 1630 ACE 325エンジン（1,630.5cc）」へと変更した。

2016年に300馬力になって以来、SEA-DOOとしては、実に8年ぶりのパワーアップだ。

Rotax 1630 ACE 325と、従来エンジン（Rotax 1630 ACE 300）の比較。新型は、効率的で耐久性があり、信頼性の高いエンジンに改良された。

「 300 馬力」から「 325 馬力」に、エンジンの回転数が、従来の「8,000回転」よりも高い「 8,250回転」に！

従来までの「 300馬力」を「 325馬力」にアップしたのは、ブースト圧を再設計された効率的でコンパクトな“スーパーチャージャー”に変更したことが大きい。

新しい“タービン”は、ターボチャージャーから構想したという。

新しいスーパーチャージャーのタービン回転数はターボチャージャーと同様の、おおよそ10万rpmとなり、これによりエンジンの回転数が、従来の8,000回転よりも高い「 8,250回転」となった。

ブースターは、振動を吸収する「スプリング入りカムクラッチ」を備えた全く新しい遊星歯車（プラネタリーギア）機構によって駆動。

ピストン負荷の増加を最小限に抑えながら、より大きなパワーを発生させることができる。

ブースト圧を再設計された効率的でコンパクトな“スーパーチャージャー”に変更し、その性能を最大限に生かせるようにインテークシステム全体を再設計した。

新しいスーパーチャージャー & ブースター。ブースターは、振動を吸収するスプリング入りカムクラッチを備えた新しい遊星歯車（プラネタリーギア）機構を採用。スーパーチャージャーが小型化したことで、ブレード（羽根）も小さくなった。

「 325 馬力エンジン」が搭載された「 RXP-X （左）」と「 RXT-X（右）」

New Intake System

エンジンへのエアフローを最大化するために、インテークシステムが改良されている。

新しい再循環バルブ。異なる負荷に対応する場合の、スーパーチャージャーの動作の安定性と効率を向上させる。

新しい再循環バルブの搭載場所。

New Pump System

【燃料ポンプシステム】燃圧変動をより適切に制御する内蔵センサーを新たに採用。

Lambda Sensors

【ラムダセンサー】燃料燃焼の監視を強化し、燃料噴射を調整する。エンジン内部を保護するため、理想的な空燃比を維持するクローズドループのラムダコントロールも実装されている。【O2センサー】（酸素濃度を検知するためのセンサー）が、より大きくなった。

ECU

【ECU】新しいエンジン・コントロール・モジュール

Additional Oil Spray

【オイルスプレーノズル】ピストンの冷却効率を向上させるため、オイルスプレーノズルが追加された。

Valve Springs and Retainers are also new

バルブスプリングとリテーナーも新しくなった。

Mirror Polished Rocker Arm　Shaft

鏡面研磨された「ロッカーアームシャフト」ポリッシュ加工により、摩擦が軽減される。

「 Rotax 1630 ACE 325 」エンジン・インプレッション

新しいエンジンは、耐久性を維持しながら、加速とスロットルレスポンスを向上させている。

さらに、進化したスーパーチャージャーによる、エンジンへのエアフローを最大化するために、インテークシステムも改良されている。

吸気効率を高めることでスーパーチャージャー作動時の安定性を向上させている。

メーカーは「パワーを上げるのは簡単。
それよりも、効率的で耐久性があり、信頼性の高いエンジンにすることの方が難しく、それがROTAX・エンジニアの課題だった」と言う。

そのため、エンジンすべての部品を評価し、必要に応じて再設計することで、信頼性と耐久性を向上させている。

特筆すべきは、スーパーチャージャーが小型化したことで、ブレード（羽根）も小さくなったことだ。

大きな羽根を回転させるより、小さな羽根のほうが、ゼロ回転からの回り始めが、断然、早くなる。

これによりスーパーチャージャーの欠点と言われた、「低速領域の加速」という欠点が解消された。

今回試乗した「 RXP-X 」と「 RXT-X 」ともに、低中速度域から見事な加速を実現している。