兵庫県の明石市議会で、泉房穂市長が謝罪、「政治家を引退する」「暴言を吐いたのは事実」と明言した。 泉市長の「相反する考えを排除する姿勢が、危険で不適切」などとして、兵庫県明石市議会の4会派が問責決議案を提出し12日の本会議で可決された。
2011年に無所属で出馬し、『「自民党・民主党の推薦」と「兵庫県知事の支援」を受けて「1強」と言われていたライバル候補』を“わずか69票”の“僅差で破り”初めて当選した。
世紀の“大番狂わせ”であった。当時、マスコミからの質問で「“支持基盤”は何だ?」と聞かれて“明石市民です”と言い切って勝ったのだ。
自分を支持してくる人は「市民」だけだったのである。 明石市の市政にとって、地元の有力者や政党などの支持基盤を持たない泉市長の誕生は大きかった。
今、世の中では「自民党と旧統一教会」の関係が危惧されている。「選挙を勝ち抜くため」という理由で多くの有力政治家が教会を頼っていた事実が判明した。
「多くの家庭が崩壊する」、「殺人が起こるような、高額な献金を強要する」というような教団の思想が、政治に何らかの影響を及ぼしているのではないか? そういう考えが国民の恐怖心を煽るからだ。
こんな世の中で、泉房穂市長が「自分の“支持基盤”は“明石市民”」と言い切って市長に当選した。それが“良い意味”において、どれほど行政に影響を与えたのかは計り知れない。
選挙前に我々が聞かされるワンパターンの選挙演説。 駅前や街角で「私が当選したら“○×を”行います」と理想論を叫ぶ候補者は多い。
しかし、泉氏は本気で「明石市民を幸せにするため」に猛勉強し、市長になったのである。
彼が市長になって1番最初にやったことは、“権力者や有力者”が“最も嫌がる”、大規模な“公共事業費の削減”だった。「“支持母体”が権力者ではなく“市民”です」と言って当選したからこそ“成し得た”予算編成だ。
市長になる前から行政のあるべき姿を模索し、「やさしい社会」を作るために何が必要で、何を優先すべきかを考え続けていた、これほど市民の立場で行政を考え、実行している政治家は少ないと思う。
泉市長の話はとても分かりやすい。行動の根底には常に「市民をハッピーにする」という思いがある。
泉氏は、明石市の貧乏な家庭で育ち、体の不自由な弟がいる。 幼いころから、歩くことさえ“ままならぬ”弟と、“五体満足な自分”とを比べてしまい“無意識の中で”さえ「自分が“この世に”存在する意味」みたいなコトを考えて生きてきたという。
自分の家族が、行政に冷たくされるのを目の当たりにしてきたことで、「自分が市長になって、やさしい町づくり」をしようと、小学生のころから心に誓って猛勉強し、東大に合格して政治家、弁護士を経て、市長となった。 インタビューのなかで「政治家とはなんですか?」と質問をした際に、『「みんなを“幸せ”にする」。知恵を使い、汗をかいて、全員をハッピーにする仕事』と即答してくれた。
その理由は簡単だ。票にならないから。
選挙の時に“旧統一教会”が手伝ってくれる、“医師会”が応援してくれる、“大企業”がパーティー券を“ごっそりと買ってくれる”とか、選挙で応援してくれる“業界団体”の方を向いた政治行政をやっている人は、そうではない泉市長とはうまく行かない。
しかし、泉市長本人は『国民の方を見た政治行政をすればいい。そうすれば「みんなが“幸せ”になる」自分を嫌っている人も“みんな”に含まれるので、誰もがハッピーになる』と話していた。
ニュースで泉市長が明石市議会や市役所職員ともめているという報道を見るにつけ考えてしまう。「市民を“幸せにしたい”というベクトルが違い過ぎる」のだと。
完全にキレてしまったので、市長としてはあるまじき行為でした。
要は私のキャラクターの問題。退いて心ある政治家をつくっていくことに今後の人生をかけたい。
明石でやったことを全国で広げていきたい。心ある政策がとおるように国政にも働きかけていきたい」。
しかし、この11年間、半ば強引とも言われる強力なリーダーシップで明石の行政を変革してこられた。彼の代わりに成りえる人など居るのか?と聞きたくなる。
子どもの支援や、福祉について、明石の行政は「世界のグローバルスタンダード」、日本の行政は「世界の非常識」と本誌のインタビューに語っておられた。
議会や政治家とは常に“もめて”いたが、市民とのトラブルは聞いたことがない。 今回の市長の決断が残念でならない。
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