速くて、快適で、自慢できる、2019年のニューモデル!
こう来たか! 私は本当に驚いた。
従来のモデルに比べて、圧倒的にスポーティ。
旋回性能が、各段にアップしているのだ。
FXシリーズといえば、「キング・オブ・クルーザー」、「フラッグシップ」
、「ラグジュアリー・サルーン」といったイメージが定着している。
試乗前、私の抱いていたFXのイメージは、
「豪華で楽だが、走るは楽しくなさそう」だった。
しかし、良い意味で、この予想は見事に外れた。
私の思う「乗っていて、つまらないジェット」とは、直進安定性のみに特化していて
、スピードを出しても全く恐怖感がない鈍感ジェットのことだ。
カッ飛ばせれば、真っ直ぐに走るのも楽しいと思うが、なにごともバランスが大事だ。
このFX Cruiser SVHOも、コーナリングや、クイックレスポンスを犠牲にしたモデルだと予想していた。
このジェット、良いですよ。
見た目が素敵なのはもちろんですが、走りはもっと良い。
個人的には、市販艇で最も好きな走行性能のランナバウトなのだ。
「これ、スポーツモデルじゃん」と言い切れるほど、楽に曲がる。
曲がるのが楽ということは、傾く(バンクする)ということ。
バンクすると、旋回時、Gによる体の負担が軽減される。
よりアグレッシブなコーナリングが実現できるのだ。
「これだけコーナリングを進化させたら、直進安定性が犠牲になりませんか?」と、
メーカー開発者に聞いたときの返答が素晴らしかった。
「新しいFXシリーズは、機能でも、走りでも、全ての部分で進化を遂げています」。
直進安定性だけを強化するのではなく、旋回性能も含めた「全ての走行性能」の進化。
その答えが、「FXシリーズ」であると言われた気がした。
FXシリーズは、ジェットの「進化」という部分に、正直に、真っ向から取り組んだモデルである。
それが、ヤマハの新しいFXシリーズのイメージだ。
「全てを進化させた」という、開発者の話に合点がいった。
FXシリーズ最大の特徴は、「ジェットとしての基本的な部分が、しっかりと進化している」ことだ。
極論をいうと、フラッグシップにおいて最優先されがちなのが、「快適性と安定性」だ。
本来、ジェットに求められているはずの「スポーツ性能」が、ないがしろにされる傾向が強い。
しかし、このFXシリーズは、「ライダーのスキル次第」という部分が、しっかりと作り込まれている稀有なジェットだった。