今回、ヤマハ「VXR」に試乗することになった。「VXR」といえば、船体にフラッグシップのFXシリーズと同じく、超軽量素材「NanoXcel 2(ナノエクセル2)」を採用している。1.8リットルのNAエンジンで、軽快な走りがウリのスポーツモデルだ。
乗って驚いた。「このマリンジェット、最高に楽しい!」。とにかく、自分の思い通りに操れる。私は以前から、ミッドシップサイズのVXハルに1,812ccエンジンが搭載された「VXR」の走りが好きだった。軽快で旋回性能が抜群だった。しかし、新しいVXRはもっと好きだ。
乗って最初に驚くのが「軽さ」である。船体が小さく感じられる。外観から受ける、見た目の印象と明らかに違う。ハンドルを握った瞬間、「こんなに小さいの?」「こんなに軽いの?」と感じた。
もし、フラッグシップのFXシリーズに跨ったとき、「こんなに小さいの」と感じたら、今ほどの人気は出なかったと思う。最上級モデルとしての最適な大きさやラグジュアリー感が必要だからだ。
話は少し逸れたが、VXRの軽快な乗り味と軽量感とサイズ感が、非常に好感が持てる。シャープに走れる気がする。
乗る前の見た目より、乗ったときに「小さく、軽く」感じる。だから、左右に揺らしてみると、簡単に右、左と傾く。アイドリング速度でも軽さを体感できるのに、走りは安定している。直進安定性に優れているし旋回も楽だ。加速性能も進化している。
今より13 kgも重かった、モデルチェンジ前のVXRには、「コンパクトロケット」というキャッチフレーズが付けられていた。それなら今のVXRは、「超コンパクト・ロケット」とでも呼びたい。
新設計のインテークゲートのお陰で、船体がずっと水面に張り付いている感覚がある。水を捉えてくれるので、ハンドルを切れば瞬時に曲がれる。ナノエクセル2を使った軽い船体のおかげで簡単に船体を傾けられ、コーナリング時のGを軽減してくれる。ラフウォーター、平水面、川でも海でも湖でも、高速でスラロームを繰り返しても疲れない。
モデルチェンジ前のVXRと今のモデルとでは、馬力も船体形状も同じだ。違うのはパワーウエイトレシオがアップしていること。普通なら、前より「疲れる」はずが、全くそんなことはない。
その理由をメーカー開発者に尋ねると、「乗り味の変化は、“軽量化”が最も影響している」と教えてくれた。いずれにせよ、足まわりのパーツの改良と、船体素材の軽量化により、速くて疲れず、超楽しいジェットに仕上がっているのは事実だ。4年前に、VXRに初めて乗ったとき、「その気にさせるマシン」と書いたが、新しいVXRは「もっとその気にさせてくれる」モデルだった。
ヤマハ「VXR」ってどんなマリンジェット?