上記は、兵庫県西宮市のジェットショップ・パルアップの店長、斉藤智祐氏(以下、斉藤鉄人)の言葉である。彼は、長距離ツーリングをこよなく愛しており、過去にも、日本中を、ジェットで旅する姿を何度も取材している。
今回は、明石海峡で“ハマチ釣り”である。「釣りは簡単!」という言葉のとおり、1時間弱で6匹のハマチを釣り上げた。
この記事は、「俺は上手い! スゴいだろ!」ではなく、条件が整えば、プロのアングラーと変わらない釣果が得られるという実話である。
大物だろうと小魚だろうと、「釣りの難しさ」は同じだという。敷居が高いわけではなく、「誰にでも、簡単に、手軽に楽しめるのがフィッシングの魅力」だと鉄人は言う。
WJS 斉藤さんは、昔からツーリングをしていて「ツーリングの鉄人」と呼ばれています。でも、以前は、これほど釣りはしていませんでしたよね?
斉藤 そうやね。今みたいに、どっぷりとはハマっていなかったけど、釣りは昔からやってました。磯釣りばっかりやけど。
WJS ツーリングのときに魚を釣り始めたのは、最近ですか?
斉藤 そうやね。
WJS 以前に斉藤さんに『釣りの極意』を聞いたとき、「腹が減っている魚の前に餌を垂らす」。これさえできれば、素人でも誰でも釣れると仰っていましたよね。
斉藤 そうです。それ以外、ありません。
WJS 確かにそうかもしれませんが、それが一番難しいと思います。「釣りのプロ」という人たちは、我々と何が違うのですか?
斉藤 あらゆる意味で、「魚の特性を知り尽くしている」。だから、素人よりも「腹が減っている魚の前に餌を垂らす」確率が高いのです。
WJS それができれば、どんな大物でも釣れるのですか?
斉藤 はい。釣れます。
WJS では、道具はどうなのですか? どんな道具でもいいのですか?
斉藤 もちろん道具も大事です。でも「道具が絶対か?」と言われれば、そうでもない。確かに、大物の「ブリ」を釣りに行くのに、小魚用のリールや竿を持って行くと、糸が切れたり、竿が折れることもある。でも、ブリ用の竿を使えばそんなことはない。「釣れる」とか「釣れない」という話ではなく、その魚に適した道具だと、「魚を”釣り上げ”やすい」と言うことです。だから道具より大切なのは「釣りの極意」の方です。
WJS よく「釣り船は楽で、ジェットで釣りをするのは、安定が悪くて大変だ」と言われますが、本当にそうなのですか?
斉藤 それ「ウソ」ですよ。ジェットは揺れても転覆しないし、ジェットで釣る方が「楽」です。自分だけのペースで釣りが楽しめますしね。乗合船なんて、10人ぐらいが一緒に乗って釣りをするから、よく隣の人と「おまつり(※釣り用語で「他の人と釣り糸が絡まる」こと)」するんです。だからものすごく気を使うし、大変です。
それがジェットなら、自分のペースで、自分の釣りたい場所で、好きなように糸を垂らせる。これが1番の利点で最大の魅力!
WJS 明石海峡は潮の流れが早く、23フィートぐらいの取材艇に乗っていても、低速走行をしていると「転覆するかも……」と、何度か思いました。
斉藤 ははは(笑)。見てましたが、あれ以上は傾かないから大丈夫ですよ。でも、ジェットのほうが、流れがキツイ場所では楽ですね。乗合船だったら、下手したら落水する可能性もある。
WJS あんなに波やウネリがある場所が、ハマチ釣りのポイントなのですか?
斉藤 そうなんよ! ああいう波の立つ場所が良い。あそこは、海底が複雑で、深くなっているところから、浅くなった場所です。
潮の流れで押し上げられて、浅いところで波が立つ。波の立つ手前を、釣り用語で「駆け上がり」というんですが、小魚が潮目で流れてくるのを、大きな魚が待っています。
WJS 釣る前から「今日はバンバン釣れるから、シャッターチャンス逃さないで」とカメラマンに言っていましたが、その通りになりましたね。
斉藤 流れが速かったけど、他の漁船もバンバン釣っていたし、魚探に魚が映っていたからね。漁船に近づかないように、気を使って釣っていました。「お腹が空いている魚」がいるって分かってたからね、早く釣りたかった。
WJS 今回は、「ハマチ」狙いで、狙い通りの釣果でしたね。
斉藤 本当の狙いは「ブリ」だったの。ハマチより脂が乗っていて美味い。ただ、ブリは大きいから、クーラーボックスに2匹入れるのが限界。それも、血抜きして頭と尾を落とさないと入らない。ハマチなら10匹、ブリなら2匹ぐらいが、このクーラーボックスの限界やね。
WJS さっきもハマチを釣ったとき、すぐに出刃包丁を取り出して、ジェットの上で活け締めしていましたね。
斉藤 ちゃんと締めないと、鮮度が落ちて美味しくなくなるからね。血抜きは大事!まな板はないけれど、デッキの上で包丁を出して作業します。今日はハマチだけど、これがブリだったら、もっと血だらけになるからよ。
WJS 今回、糸を垂らせば「入れ食い」状態でした。でも、3匹目を釣り上げたとき、「シンドイ」と、笑っていましたよね。天然のハマチを釣り上げるのは、結構な体力を使うのですか?
斉藤 結構、しんどいね(笑)。
WJS 明石と言えば、タイというイメージがあります。以前、斉藤さんが釣ったタイを、お造りにしていただきました。今回は、タイが目的ではないのですね?
斉藤 潮目が違うからね。今回は、タイの潮目じゃない。でも、ハマチを釣ったところと、タイが釣れるポイントは本当に近い。
WJS 今回は、「ハマチの条件」だったわけですね。
斉藤 厳密にいえば、「ブリの条件」で、ハマチが釣れた。
WJS 釣りの道具もたくさんお持ちですよね。
斉藤 そうやね。釣具屋に行くと、ナンボでも買ってしまう。ルアーでも、新しいのがあれば「どうなんやろ?」って買うし、以前使っていてよく釣れたルアーなら「もうひとつ」ってなってキリがない。2年くらいで150万円分ぐらいは買ってるかな。ジェットで釣りをする最大の難点は、道具を落とすことやね。
WJS 前にも、十万円以上もする高い釣り竿とリールをいくつも海に落としてきたと聞きました。それは、ストッパーを取り付けたら、落とさないのでは?
斉藤 まあ、そうやね。アクセル全開で飛ばしたりしなければ、落とすリスクは減るね。道具は大切です。安いものではないので、皆さんも、万全の対策を心がけて、落とさないように注意しましょうね。
WJS やはり、高い釣り竿のほうが釣れるのですか?
斉藤 適度にしなって釣り糸も切れにくくなるし、良いのはいいです。高いのと安い道具の違いって、まあゴルフみたいなものかな?
WJS でも、ゴルフの場合、高い道具を使っても下手は下手ですよ。
斉藤 釣りも一緒やね。魚の特性を理解して、その魚に合わせる釣り方をする際に、「自分が、より思い通りに操れる道具」が良い道具です。
WJS わけが分からず釣っているのであれば、道具の良し悪しでは、あまり変わらないということですね。
斉藤 でも今回みたいに、うまく「腹が減っている魚の前に餌を垂らす」ことが出来て、入れ食い状態だったら、それなりの釣り竿とリールがあったほうが、素人でも楽に釣り上げられますよ。
続編、天然モノは要注意!「ジェットフィッシングの落とし穴」"PAL-UPの休日" 鉄人と行く楽しい”はまち”釣り!
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