世の中に、「やってはいけない直し方」は、多数ありますが、「正しい船体の修復方法」を見つけるのは一苦労です。そこで、今回、編集部が「正しい方法」で修復した、その記録を全て公開します。本当は、修復しないのが一番なのですが……。
損傷のダメージが分からなければ、プロに見てもらうのが一番だ。というわけで、船体修理のプロフェッショナル、ヒロキックスデザインの佐々木宏樹氏に状況を見てもらった。
私の愛艇を見て「このままでは乗れないですよ」と一言。塗装が割れ、FRPが白く剥き出しになっている部分から水が滲み込んできて、このまま乗り続けたら、最終的には穴が開いて沈没するかもしれないという。「キチンと補修したほうが良いですよ」と言われた。
傷つけたハルのフロント部分は、最も水圧がかかる場所である。ここがヒビ割れていると、ものすごい水圧がかかったときに割れるそうだ。さらに、「今、見えている部分だけではなく、傷がついた周囲のゲルコートを剥いでみないと、本当の状態が分からない。恐らく、かなり深くクラックが入っているはず」というのが佐々木氏の見立てである。
「全てヒロキックスデザインで修復をお願いします」という私のお願いを快諾してくれた佐々木氏。それには、「エンジンルームを空にしないと修理ができない。エンジンだけでなく、ドライブシャフトやハンドルポールも全部取り外して、船体だけにしてください」と言われたので、船体修復の前にSX-Rを空にする作業から始めることにする。
もちろん、私1人でエンジンが降ろせるはずもない。そこで、世界的コンストラクター・藤江功一氏にお願いした(エンジンを降ろすまでの作業は『エンジンの降ろし方「SX-R編」』で公開中)。
3月28日:コンクリートの地面に落下、下ハル破損
7月12日:エンジン、ドライブシャフトやハンドルポール取り外し
7月30日:エンジンルームの塗装
11月11日:船体補修、船体研磨、FRP樹脂塗布
(数日後にペーパーがけし、表面を整えてパテ埋めする)
12月2日:船体補修、パテ研磨
(数日後にペーパーがけし、表面に細かい傷を付ける)
12月19日:サフェーサー塗装
(数日後にペーパーがけし、表面に細かい傷をつける)
12月26日:船体塗装・完成
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