新艇を 購入して、皆さんの 手に届くまでの間、優良ショップは何をしているのか 知っているだろうか?
今回、取材に協力してくれたのは、埼玉県久喜市のジェットショップ「 ビーチマリン 」。
これを読めば、安全で快適なジェットライフのためには、「 プロフェッショナル 」の“手”が必要であることが分かるだろう。
新艇がユーザーに届くまでに、ショップではさまざまなことが行われている。
今から25年以上前、我がジェット業界は ユーザー数も多く、ゴールデンウィーク前には フラッグシップが 完売するという景気の 良い時代があった。
そのころに問題になったのが、「 売りっぱなし 」である。
「 売りっぱなし 」とは、ジェットの イロハも 知らない ビギナーに、何の指導も 面倒も 見ずに、ジェット本体だけを売ることを 意味する。
「 売りっぱなし店 」は、売った後の 面倒を見ない分、キチンと 面倒を見てくれる ショップよりも 格安で買える。
とにかく“一円でも安く”手に入れようと思うユーザーは、日本中の「 売りっぱなし店 」に 値段を確認する 電話をして“最安値の店”で ジェットを購入した。
そういう店から 届いたジェットは、「 木枠 」に入ったままだった。
通称「 箱飛ばし 」と呼ばれるものである。
ある日、家にこんなドでかい荷物が届いたらどうしますか? 新艇のセットアップは、ショップでしかできない。
送られてきたユーザーは、まず その大きさに驚く。
四苦八苦しながら 何とか 外装の梱包を外すと、見えてくるのは「 ハンドル 」などの パーツも付いていない 「 組み立て前の プラモデル 」のようなジェットだ。
しかも、堅牢な木枠に入っている。
「 これを 解体するところから 始めるの ??? 」。
その場で 心が折れて やめたくも なるだろう。
しかし、そんな売り方を している店に 文句を言っても、けんもほろろに 扱われて 終わりだった。
木枠を解体すると、このように“斜め”に船体が入っている。
効率よく木枠に収めるため、ハンドルなどの突起物は、取り外された状態で入っている。
ジェットという 乗り物は、冷蔵庫や 掃除機のような 電化製品とは 違う。
“ 水の上 ”に出て、初めて 価値を 発揮する乗り物だ。
遊ぶ環境や 修理・メンテナンスなど、あらゆる要素をひっくるめて 「 店の信用 」ごとジェットを 買うくらいの 心構えでいなければ、 ろくな体験はできない 乗り物である。
さすがに今は、そんな売り方をする ショップはなくなったが、誰彼かまわず、安売りの通販で ジェット本体を木枠のまま送り付ける 悪質な 販売店が、過去にあったことも 事実だ。
ある年から、この「 売りっぱなし問題 」について、 ヤマハは 思い切った 策に出た。
それは「 組み上げた状態 」で ショップに 配送することだ。
本来メーカーとしては、木枠で 送る方が 効率的だ。
海外から輸入したときの ままの「 木枠 」で 運搬したほうが、無駄なく運べる。
それを受け取るショップ側も、店の敷地内に 積み木のように積んで置いていたものだ。
それを ヤマハは、自動車のように キチンとハンドルも付けて「 組み上げた状態 」でショップに送ることにした。
そのおかげで、ヤマハ艇に限っては「 箱飛ばし 」という 悪習がなくなった。
さらに、メーカーが組んだ状態で送られるので、粗悪な製品が、ユーザーの手に渡ることもなくなったのだ。
ヤマハにしてみれば、一度に運べる台数が減ったのは痛手だろう。
だが、それよりも“未来のユーザー”を守ることを優先した英断を讃えたい。
ヤマハ艇は、写真のように全て組み上がった状態でショップに運び込まれる。
メーカーから、“キチンとした 状態”でジェットが送られてきたショップでは、ユーザーの手に 渡るまでに 何をしているのだろうか?
「 納艇 」の 内容は、基本的には メーカーのマニュアルに 準じる。
しかし、それ以外の サービスに 関しては、ショップごとに 違ってくる。
埼玉県久喜市 の ヤマハ 専売店・ビーチマリンでは、サービスマニュアルに あることは全て 確認したうえで、それ以外の 部分でも、細かい 整備を 行っている。
「 常に 快適な状態で お客様が ジェットに 乗れること 」が、「 信用・信頼に 繋がる 」という 信念の もと、納艇前点検を している。
繰り返すが、ジェットを 買うことは、「 ショップの 信用を “買う” こと 」と 同じなのだ。
メーカらから組み上がったままの状態でユーザーに渡すこともできるが、キチンとしたショップは、全ての箇所を点検する。
ビーチマリンでは、ウェーブランナーの 取扱説明書の中から、重要だと思われる“20項目”を 抜粋して、A3サイズの1枚の紙にまとめ、それを 納艇時に お客さんに 渡して説明している。
その日は、2~3時間ほどかけて、座学で ジェットの取り扱いを説明する。
小森谷チーフ 曰く、「 本来なら、隅から 隅まで 取扱説明書を 読んでいただきたいところですが、それだと全く読まない方もいらっしゃいます。
だから、新艇を引き取りに来ていただいたときに、時間をかけて、マンツーマン で 説明しています 」と言う。
基礎的な 取り扱い 方法を 知らないと、すぐにジェットを 壊してしまう。
だから、最初に 細かく説明し、お客様からもどんどん 質問を 受ける。
「 楽しいジェットライフを 送れるよう、真摯に アドバイスします( 前出・小森谷チーフ ) 」。
お客さんに「 少しでもジェットを 壊さず、楽しく 遊んでもらいたい 」という 気持ちが 強いのだ。
ビーチマリンでは、納艇前の座学でオリジナルの講習を行っている。
座学後、実際にジェットを前にして各部の名称や取り扱い方をくわしく説明する。
小森谷チーフが、エンジンの始動方法など、基本的な操作を優しく教えてくれる。
メーカーから 出荷されるとき、キチンと 組み上がっているので、そのままユーザーに渡しても問題はないだろう。
しかしユーザーに 渡す前に、ビーチマリンでは プラグも全部外してメンテナンスを行う。
固着防止を目的に、プラグを外したあとスレッドコンパウンドを塗って、水が入らないように耐水性のグリスを塗布する。
ホースクランプなど、ホースの抜けがないかを必ず確認する。
メーカーの推奨を超えた 独自の安全対策メーカーからは、オイルやバッテリーの確認、エンジンの作動点検、水漏れがないかなど、基本的な確認事項のチェック項目はある。
それはもちろん全て確認したうえで、「プラスα」の安全性を追求しているという。
ユーザーに納艇する前に、メカニックが各部をチェックする。
そのまま納艇もできるが、グリスアップを独自で行っている。水の浸入を防ぐことが目的なので、グリスを塗るのは根元だけ。
プラグにも、スレッドコンパウンド(WAKO’S)を塗布している。
本誌では 以前から、「 働いている“ 人 ”が 信頼できるジェットショップから 買いましょう 」と 言い続けている。
「 信頼できる 専門店 」を 見つけられるかどうか が、その先の「 ジェットライフ 」が、より良い ものになるかの 最初の 分岐点となる。
いくら最初の 見せかけが安くても、“ 次の一年間 ”でかかる 経費の差も考えるべきだ。
楽しくジェットで遊べる時間や 記憶は プライスレスだ。
もう一度言うが、「 ジェットを買うことは お店の信用を買うこと 」。
経験豊富な販売店で、とことん面倒をみてもらおう。
小森谷明子チーフ。女性ならではの、細やかな対応をしてくれる。
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