イギリス政府は11月17日、「ガソリンとディーゼル車の新車販売を、2030年までに禁止する」と発表した。(11月17日付、朝日新聞より)
この、ガソリンエンジン車の新車販売を禁止する動きは、アメリカや中国などでも広がっている。
中国では、2035年に新車販売の全てを電気自動車(EV)などの新エネルギー車(NEV)や、ハイブリッド車(HV)にする方針を明らかにした。
アメリカ、カリフォルニア州では、9月に州知事が「今後15年で、我々はカリフォルニア州から、内燃機関エンジン車(ガソリン車)の販売をなくす」と宣言している。州内で販売される新車(乗用車、トラックなど)は、2035年には全て排ガスの出ない「ゼロエミッション車」にするというのだ。電気自動車(EV)への移行を促進し、温室効果ガス排出量の削減を図ることが狙いだという。
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「ゼロエミッション車」とは、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)のように、大気汚染物質や温室効果ガスを含む排気ガスを排出しない車のこと。電動とガソリンエンジンを組み合わせたハイブリッド車は、排気ガスを排出するので、「ゼロエミッション車」ではない。
イギリスでは、これまでの計画を10年前倒しし、アメリカや中国よりも5年早く、2030年にガソリン車の新車販売を禁止するという。ジョンソン英首相は、「今年は予想と大きく異なる年だったが、英国は未来に向け、環境に優しい形で復活する機会をつかむ」と述べている。
12月3日付の毎日新聞によると、「政府は、地球温暖化対策の一環として、ガソリン車の新車販売を「2030年代半ばに禁止」する方向で最終調整に入った」という。2050年までに二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出を実質ゼロとする政府目標の実現に向け、「ガソリン車販売ゼロ」に踏み込むというものだ。
イギリスでは2030年に、アメリカのカリフォルニア州では2035年に、ガソリン車の新車販売を禁止することを明らかにしているのだから、日本もその流れに追随するのは当然のことだろう。
日本では、トヨタが「究極のエコカー」と謳う、水素を燃料として走る「ミライ」が今年12月に発売予定となっている。しかし、水素充電のインフラ設備がまだまだ発達していないので、すぐに普及することはないだろう。「2030年代半ばに禁止」には、まだ時間がある。
最近、このような記事が世界中のメディアにかなりの頻度で掲載されている。化石燃料(ガソリン)から、再生可能なクリーンエネルギーへの移行は、「地球温暖化」という世界共通の課題に取り組むための「待ったなし」の手段なのかもしれない。
スウェーデンの17歳の環境活動家「グレタ」さんの意見に、まともに歯向かえる大人などいないのだ。
こういう社会情勢の中で、日本のガソリン車の新車販売を「2030年代半ばに禁止」という政府発表が行われたのだ。
2030年といえば、10年後だ。すぐにやってくる「未来」である。
走行距離などはガソリン車に敵わないものの、テスラのような電気自動車はすでに販売されている。昨今のEV車化の流れを見るに、今後、急速に進化していくだろう。
つい先日、クルマ業界の有名チューニングショップのオーナーと話をした。そのときの彼の見解が非常に興味深かった。
「テスラや日産が先駆けてEV車を市販している。アウディやメルセデスベンツも含め、急速に世界はEV化の流れへと加速している。
しかし、日本国内の大問題は、“充電設備”のインフラが追いついていないことだ」という。
休日の高速道路のサービスエリアでは、充電待ちの車が3台ぐらいはザラに待っている。1台30分としても、1時間半待ち。「こんなことだったら、ガソリン車にしておこうと考えるのが普通でしょう」と。
ここ2カ月くらいのうちに、立て続けにカリフォルニアと中国、そして今回のイギリスの「ガソリン車の新車販売禁止」という記事を目にした。
個人的には、今回のコロナ渦で、世界は急速にEV化に向かうのが早まったような気がする。
「ガソリン車は環境によくない」と言われる時代のなか、同じ化石燃料を使っている水上バイク(以下、ジェット)だけが、その流れから外れることはない。
2020年9月18日、オートバイメーカーのハーレーダビッドソンジャパンが、初の電動スポーツバイク「ライブワイヤー」を日本市場へ導入することを発表した。
ライブワイヤーは、2019年から北米やヨーロッパでは先行して販売されている。時速0km~100kmまでの加速はわずか3秒。1度の充電で、最大235kmの走行ができる高出力バッテリーを搭載している。バッテリーは家庭用コンセントでも充電ができ、DC急速充電スタンドでは、40分で80%充電可能となっている。
電動バイクといえば、「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」というテレビ番組がある。あの番組内では、ヤマハの電動バイク「E-Vino」が使われている。ここ数年で、電動スクーターはかなり市民権を得てきている。
今後は、ライブワイヤーのようなオンロードタイプも、各メーカーから発売されることだろう。
バイクの世界も、着実に電動化が進んでいる。
船の世界では、すでにガソリンを燃料としない大型船が建造されている。超高級時計メーカー「ブレゲ(Breguet)」がスポンサードする、海洋環境保護財団の船「オデッセイ号」がそれだ。
この船は、海況によって左右に伸縮するソーラーパネルを装備しており、太陽光に加え、海水を水素に分解し、燃料電池として貯蔵するシステムを採用している。動力の源は「太陽光」と「風」と「海」という、「ゼロエミッション」な船だ。
そうなってくると、近い将来、必ずモーターで走るジェットが発売されるだろう。
ジェットの歴史を見ると、過去にスポーツメーカーのミズノから販売されていた「サンダージェット」のハンドルポールには、バッテリー充電用のソーラーパネルが装着されていた。
ジェットメーカーが、EVジェットを開発しない理由がない。小さくて軽くてパワーのあるモーターが搭載されたジェットの可能性は未知数だ。3回転のバレルロールができるフリースタイルマシンや、無充電で世界1周が可能なランナバウトができるかもしれない。想像するだけで夢が膨らむ。
そんな日が来るのは、驚くほど早いのかもしれない。
2020年12月3日 19:00更新
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