「トレーラーに乗っているで水上バイクには、直接、ガソリンは入れられないよ」
ガソリンスタンドでこう言われて、水上バイクへの給油を断られた経験をお持ちの方もいるだろう。
お願いしても、「消防法で決まっているから!」と一蹴される。
2020年2月1日から、ガソリン携行缶でガソリンを購入する場合、「本人確認(運転免許証の提示など)」「使用目的の確認」が義務付けられた。いよいよガソリンが買いにくい時代になってきた。
令和元年7月に発生した京都府京都市伏見区の爆発火災(京都アニメーション放火殺人事件)を受け、危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(令和元年総務省令第67号)が公布された。
この改正により、ガソリンを販売するため容器に詰め替えるときは、顧客の本人確認、使用目的の確認及び販売記録の作成が義務付けられた。
これは、本誌読者の方からいただいた実話である。
ランナバウトに給油してもらおうとガソリンスタンドに行ったら、トレーラーに乗った水上バイクには給油できない」と断られたそうだ。
さらに、「ガソリン携行缶も20リットル(1缶)しか注油できない」と言われた。
それを聞いて、「それでは、タンク容量が70リットルもある大型ランナバウトを満タンにしようと思ったら、ガソリンスタンドを4軒もまわらないといけないのか!?」と憤り、関係省庁に問い合わせをしてくれた。
以下が、その結論である。
従業員が給油をしてくれるフルサービス式のガソリンスタンドなら、水上バイクへの直接給油は可能である。
フルサービス式は、「危険物取扱免許」を持った人の管理下のもと、相応の教育をされた従業員が給油にあたってくれる。
なので、車だけでなく、ジェットスキーやガソリン携行缶にも注油してもらえる。
セルフ式ガソリンスタンドの場合は不可能である。
セルフ式には、常時、危険物取扱者の資格を持った従業員が待機しており、万が一、ガソリンなどが流れ出たり、火災が起きても設備面で対応できるようになっているが、基本的にガソリンは車の所有者自身で入れる。
セルフ式のガソリンスタンドで、自分でガソリンを入れていいのは、自走して乗り入れた自動車と二輪車のみ。
水上バイク、ガソリン携行缶などへの注入は法令により禁止されている。
だから、例え自分が危険物取扱者の資格を持っていたとしても、従業員でなければ、直接、水上バイクやガソリン携行缶への注油はできないのだ。
フルサービス式のガソリンスタンドの場合、携行缶に入れてもらえるのは、最大で200リットル未満。
ただし、ガソリンスタンド側が自社基準で販売量を規定している場合もある。200リットル以上購入する場合は、各市町村で許可を受けなければならない。
使用できるガソリン携行缶は、消防法令に適合した容器(「危険物保安技術協会の試験確認済証」などの付いたもの)にしか入れてもらえない。
ポリタンクはもちろんダメ。金属缶であっても、適合証のないものは使えない。
乗用車などで運搬する場合、22リットル以下の容器に限る。
1 日本全国、セルフ式でないフルサービス式のガソリンスタンドなら、車と一緒に水上バイクに直接、ガソリンを入れてもらえるし、ガソリン携行缶に注油もしてもらえる。
2 消防法に適したガソリン携行缶の場合、購入できる保管制限量は最大で200リットル未満。20リットル入りガソリン携行缶10個分である。
3 セルフ式の場合、常駐している従業員が注油を承諾してくれれば、水上バイクと携行缶にガソリンを入れてもらえる。ただし、セルフ式は普通のガソリンスタンドより低価格設定なので、従業員に断られる場合もある。
この資料を送ってくださった読者の方は、ガソリンの給油で、再三にわたって不便な思いをしていた。
さらにこの方自身は危険物取扱者の資格を持ち、消防法についての知識も持っているのでガソリンスタンドの対応がおかしいと思った。
最初、消防署に問い合わせたがあいまいな返事しかもらえなかったので、消防庁に文書で問い合わせをしたそうである。
そして、消防庁から送られてきた書面での回答と資料一式を編集部に送付して下さり「全国で給油を拒否され、自分のような不便な思いをしたことがある“水上バイク ユーザー”にぜひ知ってほしい」と締めくくられていた。
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