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兵庫県の「水上バイク対策ルール」は深刻な問題だ。今年5月に開始予定の条例案は誰のため? (ジェットスキー)水上バイク

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後方に見える、防波堤の向こう側がJR須磨駅。

兵庫県の条例改正、「一律で定める方針」

すべて場所で“岸から100メートル以内”は徐行になる!?

昨年11月、兵庫県と神戸市は「条例を改正する方針」を固めた。理由は、昨年(2021年)夏に、「水上バイクによる危険運転」が相次いだためだ。条例を改正し、今年(2022年)5月の適用を目指している。

現在、兵庫県の水難事故防止条例では、『海水浴場の遊泳区域への「水上バイク」乗り入れ』を禁止している。しかし、海水浴シーズン以外は規制していない。
新たに航行禁止区域に指定されるのは、須磨海岸の海域(幅約1.8km)および、「JR和田岬線の旋回橋と材木橋の間の兵庫運河」の2カ所である。須磨海岸や兵庫運河では、季節を問わず一般の利用者がいることから、一年中、“規制する必要がある”と判断したという。この規制が適用されれば、年間を通じて、ここでの“水上バイクの乗入れは禁止”となる。

本条例では、「水上バイクやプレジャーボート」などの航行を禁止し、違反行為に対しては、5万円以下の「行政罰(過料)」を設定する予定としている。

誰もいない、冬の須磨海岸の防波堤の内側。ここにアンカリングして、須磨駅前の商店街で食事をするのが、冬の水上バイクユーザーの定番の楽しみである。なぜ冬場に乗入れ禁止に?

意味が不明な条例改正

条例の本来の趣旨は「危険な水上バイクから、県民(市民)を守る」である。 しかし、今回の条例改正では、県民から見える位置で「水上バイクは徐行か、航行禁止」ということしかない。
「行政側として、対策は講じました」と言うためのルール改正としか考えられない面もある。現実問題として、危険走行をする水上バイクも海水浴客も、「真夏にしかいない」からだ。

悪質水上バイク問題に真っ向から取り組んでいる明石市と、なぜ連携しないのか?

この問題にいち早く取り組み、「危険な水上バイクと戦う」ことを表明し、「厳罰化」を発表している明石市では、「マリンスポーツを締め出すのではなく、共存していける環境作りを目指す」と、市長の泉氏は語っている。やみくもに、全ての水上バイクを禁止するのではなく、「危険な行為を行う水上バイク」に対して、処罰するというのだ。
この施策は、優良な水上バイクユーザーにとって、歓迎すべきものである。

翻って、今回の兵庫県の条例改案は「優良な水上バイクユーザー」が非常に迷惑を被るものである。優良な水上バイクユーザーは、一年中、水上バイクを楽しんでいるし、人様に迷惑をかけるような行為はしない。むしろ、そういう人がいないか、常に注意しているくらいだ。
海での遭難や、釣り人の落水事故などの人命救助関連の記事を検索すれば「水上バイクで救助」というケースは多い。

「悪質水上バイク」の根本的な解決法は「岸から100メートル以内は徐行」としておけば良いなどという問題ではない。「臭いモノには蓋をする」的な考え方であれば、本質的な解決にはほど遠い。

日本全国に広がりを見せたゲレンデ問題と似ている。日本全国「岸から100メートル以内は徐行」という条例が広がれば、世間の人がスピードを出して爽やかに走る水上バイクを見る機会が減る。陸から見える場所では「徐行」だからだ。真面目な話、馬鹿みたいな話である。ジェットの良さが無くなる。

撲滅すべきは「危険な水上バイク」なのである。無人の「岸から100m以内」を飛ばしているジェットではない。本当にお願いしますよ!と言いたくなる。

明石市の対策会は、昨年9月から始まっている。兵庫県は、1カ月遅れの10月から話し合いが始まった。
ここで不思議に思うのが、先に対策を始めていた明石市と、隣り合う神戸市が、なぜこの問題について連携をしないのかということだ。明石市長は、水上バイク問題を多角的に見るため、昨年、自らも水上バイクの免許を取得している。同じ兵庫県同士、知恵を出し合うほうが建設的だと思うが、どうだろうか。

兵庫県は、現在、マリン関係者の意見を取りまとめている最中だというが、「岸から100m以内は航行禁止」という方針ありきで話が進んでいる。「反対意見を取りまとめた意見書を提出しても、反映できません」と言われ、「何のために意見を募っているのか、理解に苦しむ」と、マリン関係者からの嘆きの声も聞こえている。

アスファルト舗装の道路の向こう側にビーチ。誰もいない、冬の須磨海岸。夏は多くの海水浴客で賑わいを見せる。当然、シーズン中の”水上バイク”の「乗入れは禁止」されている。危険なので当然だと理解できる。しかし、真冬に禁止する理由が分からない。

今、優良水上バイク乗りが立ち上がる!

改正案は『悪質ユーザー撲滅』のためではなく、行政が「やりました!」と言えるためのルールなのか!?

神戸市港湾局は、「悪質水上バイク問題」について、今年2月の市議会に関連条例の改正案提出を目指している。それに先立って、2021年12月2日~2022年1月4日まで「パブリックコメント(意見公募)」を募集していた。

先述のように航行禁止区域に指定されるのは、須磨海岸の海域(幅約1.8km)および、JR和田岬線の旋回橋と材木橋の間の兵庫運河の2カ所である。その条例案を確認した優良水上バイクユーザーであるTさんが、「水上バイク乗り」立場から、パブリックコメントを送ったそうだ。

Tさんは「悪質ユーザーなんて、この寒い時期に一人もいない。冬場に進入禁止にして、一体、何がしたいねん? 何から、誰を守りたいねん!!」という心の叫びを「神戸市」に書いたそうだ。

『夏場の海水浴場が「水上バイク立ち入り禁止」なら理解できるし、すでに条例で定められている。悪質水上バイクユーザーは、消えてほしいと心から思っている。
しかし、冬場に「立ち入り禁止」と定めるくらいなら、夏場の条例違反をもっと厳しく取り締まるべきだし、罰則の強化をしていったほうがいい』とTさんは言う。的外れな「航行禁止区域」を策定しようとしているとしか、感じられない。

ビキニの若い女性がいない真冬にわざわざ「水上バイク立ち入り禁止」と定めなくても、悪質な水上バイクはやって来ない。明石市のように「良識ある対策」を講じて欲しいと、Tさんも切に願っている。

「岸から100mは徐行」。聞こえは良いが、誰もいない冬場、危険がない時期や場所で“徐行”する意味は理解できない。撲滅すべきは「危険走行」のはずなのに、「行政は対策を講じています!」的な施策は違うのではないか。悪質水上バイクは厳罰を課して欲しいが、優良ユーザーの負担は、もう勘弁! このまま進むと、ガソリンは買えないし、ジェットにも乗れなくなる。そんな国って、“オカシイ”ですよね。

兵庫県の海は、マリンレジャーに最高である。Tさんは、水上バイクに乗っているときも、常に人命救助を心がけている。そんなユーザーは多いのだ。

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