ジェットスキーを牽くトランスポーターで、最もスタンダードなピックアップトラックが、TOYOTAのタンドラだろう。アメリカの水辺でも、「これでもか!」というほどカスタムされたタンドラをよく見かける。日本の水辺ではハイエースをトランスポーターとして使っている人が多いが、アメリカでは「ピックアップトラック」を使うのが定番だ。
カッコいいピックアップトラックで水際まで来て、トレーラーごとジェットスキーを水に浸ける。
トラックの荷台でウェットスーツに着替えて、そのままジェットスキーを降ろして走り出す。
遊び終わったら、またトレーラーに積んで荷台で着替えて帰る。
ピックアップトラック自体がジェット遊びのベース基地となっている、なんともうらやましい遊び方だ。
TOYOTA「TUNDRA(タンドラ)」は、当時、アメリカで販売されていたトヨタ製ピックアップトラック「T100」の後継モデルとして2000年に登場。初代は、今よりも小さいサイズのピックアップトラックだった。
「T100」の後継モデルだったことから、当初は「T150」というネーミングが考えられていた。しかし、フォードのピックアップトラック「F-150」と似すぎていることから、「TUNDRA(タンドラ)」になったという。
名前の由来は、「1年中溶けることのない永久凍土・ツンドラ(TUNDRA)」から取られている。ツンドラは「強さ、荒々しさ」を意味しているそうだ。ちなみに、ツンドラはタンドラとも読む。
2000年にデビューした初代タンドラは、「ビッグ3(GM、フォード、クライスラー)」の敵ではなかった。ピックアップトラック市場は「アメリカの聖域」と呼ばれていたため、さすがのトヨタもわざと車体サイズを小さくし、波風が立つのを避けていたのだ。しかし、セールス的には、このサイズでは全く勝負にならなかった。
「大型ピックアップトラック」には、アメリカ車以外があまり深入りしてはいけない、日本人の理解を超えた「アメリカ精神」という不可侵領域が確実に存在したのだ。
ところが2003年に、あのカルロス・ゴーンが日産の社長に就任。「タイタン」という、ビック3と同等サイズのピックアップトラックを販売し、これがヒットした。翌年の2004年、タイタンはUSトラック・オブ・ザ・イヤーを受賞している。日産の成功を見たトヨタは、それから4年後の2007年に、タンドラを現在の大きさにサイズアップ。2代目タンドラは、ビック3のピックアップトラックと同じサイズになったのだ。
この2代目タンドラは、発売前から信頼性、耐久性、品質の高さ、価格面で高い評価を受け、当然、アメリカでも売れた。そして翌2008年、USトラック・オブ・ザ・イヤーを受賞。タンドラは、ビッグ3の牙城を脅かす強大な存在として成長したのである。
ハイラックスサーフや、ランドクルーザーから譲り受けたオフロード車のノウハウを取り入れ、3トンを超える重い車両でありながら運動性能はクラスナンバーワンともいわれている。
最大積載量は700kg以上あり、軽トラックの約2倍。4トンの牽引も可能。ジェットスキーどころか、大型キャンピングトレーラーも余裕で引っ張れる。
乗用車なら、総走行距離数が10万kmを超えると「多走行距離車」として扱われる。アメリカで、2007年に新車でタンドラを購入し、その後、毎年20万kmずつ、2015年までの8年間で160万kmを走破したオーナーが実在した。
そのオーナーは、定期的にメンテナンスはしていたが、1度もエンジンやトランスミッション交換をしたことがなく、外装の塗装もキレイなままだったという。これを知ったUSトヨタは、「将来の商品開発に役立つ」と、無償で新車に交換したという逸話まであるほど「丈夫で長持ち」な車だ。
黒いタンドラに2艇積みのトレーラー。トレーラーにはYAMAHA GP1800とSuper Jetが積んである。この車のオーナー氏は、奥様と2男1女の5人家族で、家族全員がジェットスキーの免許を取得している「ジェットスキー一家」だ。最初、GP1800しか持っていなかったが、知り合いに初めてSuper Jetに乗せてもらい、「全然上手く乗れなくて悔しい。でも、すごく楽しかった」と、スタンドアップの購入を決めたそうだ。
このタンドラを購入したきっかけは、「フルサイズのピックアップトラックが欲しかった」から。以前乗っていた古いシボレーのトレイルクルーガーが壊れたため、このタンドラを購入した。この車で、家族と一緒に夏の猪苗代湖へ出かける。まさに、ジェット乗りの夢を具現化したような生活である。TOYOTAタンドラは、ジェット乗りの夢を実現させてくれる車なのだ。
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