ジェットスキーコラム　東京・中野、新井薬師の夜桜　（水上バイク）

めぐる季節

今年の3月は、コロナウイルスの影響でいろいろなことが例年と違う。横浜のボートショーも中止になったし、本来行われる予定であったイベントも、軒並み中止されている。こんなときは気分も塞ぎがちになる。しかし、そんな世間の喧騒をよそに季節は移ろい、淡々と春を迎えている。

我が社の近くに「新井薬師（梅照院）」という寺院がある。新井薬師という名がそのまま駅名になるほど、都内有数の知名度を持つ。駅前から山門にかけて商店街が並ぶ門前町だ。

昨晩、食事に行く途中で、新井薬師に咲く満開の桜に魅了された。
普段の日なら気にも留めない場所のはずが、つい足を止めていた。予期せぬ光景に、少し得をした気分だ。満開の桜は、気持ちを高揚させてくれる。

世の中に　たえて桜のなかりせば　春の心はのどけからまし（在原業平）

「世の中にまったく桜というものがなかったなら、春を平和な気持ちで過ごせるだろうに」という歌だ。毎年、この季節のこの場所は、桜目当ての人で非常に賑わっている。神社の境内に屋台が並び、ちょっとしたお祭りのような雰囲気のなか、子供たちが走り回っている。
それなのに、今年は誰もいない。そのお陰と言っていいのか、まるで映画のセットの中に迷い込んだような、純和風の美しい景色を独り占めにした。

怪我の功名か……？　閉塞した嫌な世の中でも、ちょっとした幸せがあるものだ。
皆さま、世の中きっともう少しで良くなりますよ、絶対に。