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  3. ジェットスキーコラム 春の勘違い (水上バイク)

桜咲く爽やかな春

春である。待ちに待った春である。木枯らしは、いつの間にかそよ風に変わり、日中は暖かく、爽やかに桜が咲く。

「水ぬるむ春」という言葉がある。春になると、気候の暖かさとともに水も温むように感じられるという意味だ。
「水温む」は3月の季語でもあるが、我々、ジェット乗りには相応しくない。
ポカポカ陽気のなか、汗ばみながらジェットスキーを水に下ろす。ああ、春はやっぱり気持ちいいなぁ……なんて思いながら、アクセルを握る。さあアクセル全開に……!! ううっ……寒いっ!!

そう、ジェット乗りにとって、春はまだ寒いのだ。寒さの理由は、水の中は、まだ「冬」のまま。
水の中の季節は、陸上よりもふた月遅れ……。つまり、まだ1月。真冬じゃん。こういうことは、経験しないと分からない。

ジェットスキーで来た神様

私がジェットスキーを始めて、すでに20年を超えている。初めはハンドルを握るだけで楽しかった。何も知らないころは、少々寒くてもツアーコートも着ないで乗って、よく風邪をひいた。
とくに、乗り終えた夕暮れのが水洗いが寒かった。

──数年前、海の真ん中でガス欠になった。ジェットスキーから発せられる警告音を聞きながら、「どうかマリーナまでもってくれ」と祈った矢先に止まってしまった。

視界には青い空と水平線のみ。広い海に1人ぼっちだ。スマホを取り出し、申し訳なさに溢れた気分で、マリーナの店長に「ガス欠になってしまいました。申し訳ないのですがレスキューをお願いします」と連絡をした。
待っている間、「このまま見つけてもらえなかったら」と不安で背筋が冷たくなり、冷や汗を流しながら、生命の危機を感じていた。

待っている時間は長かった。揺れる水面を見ている以外、何もすることがない。1分が1時間くらいに感じた。
どうあがこうと仕方がなく、不安に苛まれながら、ひたすら救助を待つしかなかった。
幸いにも30分くらい経ったころ、アクセル全開で店長が助けにきてくれた。まさに救世主だった。

迎えのジェットが見えたときは、とても嬉しかった。
大袈裟ではなく、まさに「絶望からの生還」だった。店長にロープで牽引してもらい無事に帰港したが、その晩から高熱を出して3日間寝込んだ……。風邪だった。

店長に見つけてもらうまでは全く寒さを感じなかったのに、引っ張ってもらっているときは寒さで体が震えていた。
安心したからだ。
あのときほど、ツアーコートを持っていないことを後悔したことがない。
それ以来、ドライスーツとツアーコートは私のジェットライフに必要不可欠なモノとなった。

私の教訓。春は寒い。そして、水辺では、寒いより、暑いぐらいでちょうど良い。

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