企業名 | 売上高 | 輸出割合 (%・推定) |
還付金額 |
---|---|---|---|
トヨタ自動車 | 12兆6078億円 | 77.0 | 6003億円 |
本田技研工業 | 3兆4542億円 | 86.9 | 1795億円 |
日産自動車 | 2兆4093億円 | 81.9 | 1518億円 |
マツダ | 2兆3393億円 | 84.4 | 1042億円 |
デンソー | 3兆0909億円 | 58.4 | 918億円 |
村田製作所 | 1兆2334億円 | 91.3 | 853億円 |
三菱自動車 | 1兆6147億円 | 80.7 | 850億円 |
キャノン | 1兆5087億円 | 76.4 | 559億円 |
豊田通商 | 1兆5140億円 | 71.5 | 551億円 |
SUBARU | 1兆4999億円 | 82.6 | 537億円 |
クボタ | 1兆0750億円 | 72.6 | 431億円 |
日本製鉄 | 4兆3659億円 | 39.8 | 384億円 |
スズキ | 1兆6907億円 | 50.5 | 321億円 |
日立製作所 | 1兆6234億円 | 55.8 | 286億円 |
今治造船 | 3712億円 | 95.0 | 236億円 |
ファナック | 5782億円 | 85.0 | 226億円 |
シャープ | 5630億円 | 67.2 | 173億円 |
ニコン | 3486億円 | 84.0 | 170億円 |
任天堂 | 1兆4378億円 | 72.0 | 144億円 |
資生堂 | 2750億円 | 73.3 | 144億円 |
合計 | 1兆7074億円 |
ウクライナ侵攻やコロナ禍のあおりを受けた物価高で、材料費や生活必需品の高騰が続き、中小企業者や国民の生活はひっ迫し続けています。
コロナ禍による給付金や支援金もなく、赤字のため所得税や法人税の負担は少ないのに、消費税だけは納税しなければなりません。
消費税は、赤字でも納めなくてはならない「第二所得税」「第二法人税」といわれるように、中小業者いじめの酷税です。
そのため、消費税の滞納発生額は一番多くなっています。
ところが、トヨタなど輸出大企業は円安のおかげで輸出売上が伸び、消費税の還付金が軒並み増えています。
上記の表1は、2021年4月から2022年3月期の各社の還付金を推計したものです。
我が国の製造業上位20社の還付金合計は1兆7千億円を超えています。
トヨタの売り上げ高はそれほど伸びていないのに、円安で輸出割合が高くなっているため、還付金は6千億円になっています。
2022年3月期の輸出還付金の合計額は、政府統計がまだ出ていませんが、筆者(湖東先生)が推定するとおよそ6兆6千億円になります(国税分と地方消費税の合計)。
これは、政府の消費税収予算26兆円(国税・地方消費税の合計)の25.4%に相当します。つまり、消費税の4分の1が輸出大企業に還付されていることになります。
各社の還付金額を国税庁に・税務署は公表しませんし、企業も発表しません。
上記の表に示した還付金額は、筆者が各社の決算書などから推定計算したものです。ただ、国税庁は毎年、税務署ごとの還付金額を公表しています。消費税の還付金額のほうが、長州税額を上回る税務署が全国で11カ所ありました。
そのランキングを一覧にしたのが、下の表2です。
税務署名 | 赤字額 | 推定される赤字の理由 |
---|---|---|
豊田税務署(愛知) | ― 4044億円 | トヨタ自動車の本社があるため |
海田税務署(広島) | ― 800億円 | マツダの本社があるため |
右京税務署(京都) | ― 675億円 | 村田製作所の本社があるため |
神奈川税務署(神奈川) | ― 474億円 | 日産自動車の本社があるため |
名古屋中村税務署(愛知) | ― 356億円 | 豊田通商の本社などがあるため |
今治税務署(愛媛) | ― 241億円 | 今治造船の本社などがあるため |
厚木税務署(神奈川) | ― 202億円 | ソニーセミコンダクタソリューションズ、アンリツの本社などがあるため |
刈谷税務署(愛知) | ― 135億円 | デンソーの本社などがあるため |
浪速税務署(大阪) | ― 60億円 | クボタの本社などがあるため |
大月税務署(山梨) | ― 29億円 | ファナックの本社があるため |
赤字額第1位は毎年、豊田税務署です。これらの赤字税務署はいずれも管内に輸出大企業があります。
表1の輸出大企業20社と、表2の赤字税務署ランキングは年度が違いますから、単純に比較はできませんが、2つの表の差額は、その税務署管内の中小企業が納めた消費税額なのです。
つまり、管内の事業者が納めた消費税額より、還付金のほうが多いというわけです。
湖東 京至(ことう・きょうじ)
【Profile】
元静岡大学教授。税理士。
1972年以降、税制・税務行政・ヨーロッパの付加価値税制の実態を学ぶため、フランス、ドイツ、アメリカ、カナダなどを歴訪、国際税制の研究を深める。東京税理士会理事など歴任。
「絶対におかしい消費税!【1】」 税金の基本は「富める者」から徴収して「貧しき者」に分配すること。赤字の零細企業に支払いを義務付けているのに、輸出大企業には莫大な還付金が!
「絶対におかしい消費税!【2】」税の基本理念が破綻している!「消費税は、弱い者いじめ税!」この“悪税”を廃止にしなければ国民の“幸せ”はない!
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