昨年12月にタイで行われた「ジェットスキーワールドカップ」のダイジェスト版。このレースの詳細は、電子書籍1月10日配信の「2月号」に掲載します。雑誌という性質上、どうしても本誌では表彰台に上がった選手しか取り上げることができません。結果は残らなくても、健闘して、会場を沸かせた日本人ライダーがたくさんいます。
この記事は、レースを盛り上げた海外のライダーと、日本人ライダーの健闘を報告します。今回は「Pro Runabout GP(プロ ランナバウトGP)クラス」です。そのほかのクラスも、順次公開していきますので、お楽しみに!
この「Pro Runabout GPクラス」は、ランナバウトクラス最高峰のカテゴリーだ。レース前、「2019年の見どころ」と予想したのは、フランスのジャン・バティスト・ボッティ選手と砂盃 肇選手の直接対決だ。ボッティ選手は、スキークラスの世界チャンピオンで、ランナバウトクラスでもタイトルを獲得している。「彼が出ると優勝する」といわれるほどの実力者で、結果を出してきている。
ボッティ選手のライディングフォームは、ランナバウトに乗っているときでも、スタンドアップと全く同じフォームで走る。文字通り、「常に立って」乗っているのだ。その卓越したライディングテクニックにより、他のランナバウトのライダーたちからも高い尊敬を勝ち得ている。
日本が誇る砂盃選手も、ライディングの上手さに定評がある。マリンメカニック製のマシンも世界レベルだ。この2人の直接対決に、中東勢がどのように絡むのかが楽しみであった。また、もう1人の日本人ライダー生駒 淳選手は、この大会のためオールドライカーボン製のニューマシンを投入すると聞いていた。こちらの走りも期待されるところだった。
プロランナバウトGPクラスの決勝は、全3ヒートで争われる。土曜日が予選と第1ヒート、日曜日が第2、第3ヒートというスケジュールだ。
予選で快勝した砂盃選手は、気分良く第1ヒートに臨んだ。しかし、シートが外れるというマシントラブルに見舞われ順位を落とした。このレベルのマシンパワーが出ていれば、想定外のどんなトラブルが起きてもおかしくない。
翌日の第2ヒート。スタートは砂盃選手らしくアウトコースのトップで飛び出した。そのままホールショットを獲得するはずだったのに、先頭で第1ブイを左に旋回しているとき、コースが見えていない、もしくはワザと内側から真っ直ぐに走ってきたライダーに突っ込まれたのだ。その衝撃で、マシンは多大なダメージを受け、砂盃選手自身も足を負傷した。この時点で、今年のタイトルは絶望的となった。
レース直後、「何があったのか?」と尋ねた私のことを、砂盃選手は全く覚えていないという。強烈な衝撃を受けると、脳の自衛本能が働き、24時間後から記憶がなくなるという症状はよくあることらしい。
そんな状態だったにも関わらず、最終の第3ヒートに意地を見せ、2位になった。しかし、そのことを本人は覚えておらず、見ているギャラリーも先頭を走るボッティ選手の速さばかりが際立ったレースになってしまった。砂盃選手にとっては、非常に不本意な結果に終わったことだろう。
帰国後、砂盃選手に「もし、ライダーが万全な状態でボッティ選手と対決したら、どうなっていたと思いますか?」と聞いたところ、「勝てなかったかもしれないが、戦えた」という返事だった。こういう質問に対して、砂盃選手は飾ることなく非常に正直に答えてくれる。きっと、記憶に残るいいバトルが見られたのだろう。
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