
この記事はBRPのランナバウト「スパーク・トリックス(SPARK TRIXX)」の特集です。スパークは、2014年に鮮烈的なデビューを果たして、世界中のジェットスキーユーザーを虜にした。その後継機種として、2017年に登場したのが「スパーク・トリックス(以下、トリックス)」である。
簡単にウィリーができるので、乗ったらとりあえず皆やる。トリックスは、3人乗りランナバウトなのに、重量200kgを切る軽量コンパクトなモデルは、陸上での移動も楽々。レギュラーガソリン仕様で燃費も良い。メーカーを問わず、現在、市販されている全てのジェットスキーのなかで最も安い1,042,000円(消費税込)。全てがリーズナブルなモデルなのだ。
ツーリングにも行けるし、レースコースを回っても楽しい。トリックス1台あれば、全てのジェット遊びができると言っても過言ではない。
ジェットスキーに乗り慣れないオッサンも、トリックスに乗ったらウィリーをしたくなるから不思議だ。トリックスは、ランナバウトにも関わらず「フリースタイル技」ができる。これは、メーカーが作るジェットスキーとして快挙である。
リアのチルトノズルを上向きにするだけで簡単にウィリーができる。逆に、ノズルを下に向けると水圧でフロント部が下がる。フロントを沈め、ポンプノズルを水中から出す「スプレー」という技ができる(?)のだ。
一応、トリックスには3人乗りの設定もあるので、後ろに人を乗せて、3人乗りでツーリングに行ける。さらに、フリースタイルまでできるなんて……。ジェットスキーの遊び方の可能性を広げてくれるモデルである。過去に例をみないファン・トゥ・ライドマシンなのだ。
初挑戦のスプレーという技。一瞬、成功したが、ノズルが水に浸かった瞬間、強烈な勢いで後ろ向きに走り出し、非常に怖い思いをした。フリースタイラーなら、簡単にやってしまうだろう。
軽量コンパクトな船体は、自分の意のままに操れる。ファントゥライドなジェットスキーだ。
写真左上:ニューデザインのオリジナルシート。
拡張型可変トリムシステム(VTS)
慣れてくると、いろいろなバリエーションのウィリーができるようになる。自動車がひっくり返ったら、エンジンは壊れる。でも、スパーク・トリックスに搭載されている専用の4ストローク3気筒DOHCエンジンは、最初から、船体が斜めになったり、裏返ったりすることも想定して造られているからビックリなのだ。
製造元のBRP社曰く「開発段階で多種多様なトリッキーな動きや角度に対応できるように設計されています」という。具体的には、エンジン内部にきめ細かなセンサーを設置することで、「完璧なオイル管理ができる」。だから、転覆しようが、船体が斜めになろうが、エンジンが水を吸わない限り大丈夫なのである。
自動車が裏返ると、シリンダーやポートにオイルが入り込んで、ウォーターハンマーのような症状が起こる。こうなったら、修理するより、新車を買った方が安くつくケースも多い。しかしトリックスは、それも想定したエンジンとなっている。

| 全長 | 3,050mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,180mm |
| 全高 | 1,070mm |
| エンジン | Rotax Engine 900 ACE-90(NA) |
| 最大馬力 | 90hp |
| 排気量 | 899cc |
| 乾燥重量 | 199kg |
| 燃料容量 | 30 ℓ |
| カラー | Chili Pepper & Pear Jalapene & Pear |
| 定員 | 3名 or 2名 |
| 価格(消費税込み) | 1,131,000円/3人乗り 1,042,000円/2人乗り |
編集部が思うに、これほど楽しいランナバウトはない。
フラッグシップはリッチマンなら問題ないが、現実的に日々、たくさん乗り倒したい人は、フラッグシップよりかなり疲れて、燃費の非常に良いスパーク・トリックスに敵う機種はないのだ。
例えば、同じ距離をツーリングで走ると、絶対にトリックスの方が疲れる。そのことで不満に思う人もいると聞くが、我々から言わせると、「ジェットスキーはレジャー」。よりファントゥライドで同じ時間もっと楽しめるということだ。
さらにメンテナンスもほぼ必要なく乗れるのも、大きい要素だ。フラッグシップが洗い終わったころに水から上げても、フラッグシップを乾かしている間にトリックスのオーナーは家に帰っている。こんなマシン、他にない。
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