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ヤマハ、カワサキ、シードゥ 知らないと壊れる「冷却システム」をやさしく解説 ジェットスキー(水上バイク)

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極論・ジェットスキーは水洗時に壊されます

ジェットショップで教わった洗い方は正しいけれど、内容を理解していないことが「壊す」理由です

全ての人とは言いませんが、半分以上のユーザーが水洗時にエンジンを壊すような行いをしています。それは、ジェットスキーの冷却システムをキチンと把握して、今、自分が何をしているかを理解しながら洗っていないからです。

ルーティン的に教わった洗い方を続けていくうちに、エンジンに多大なダメージを与えることをしている人が多いです。この記事で、キチンと説明しますので、そんなことのないようにしましょう。

ジェットスキーは全て水冷式です

メーカーによって、エンジンを冷却する方法が違います

「水冷」とは文字通り、エンジン内部の冷却経路に冷却水を通して循環させることで、エンジンを冷やすシステムです。エンジンは、冷却しないとオーバーヒートしてしまい、大きなダメージとなります(修理費用も高額です)。

ジェットスキーのエンジンを冷却する方法は2種類あります

  1. 外部から水を取り入れて冷却する方法 (ヤマハ艇とカワサキ艇で採用)
  2. エンジン内で冷却水を循環する方法 (シードゥ艇で採用)

ヤマハ艇、カワサキ艇は、外部から取り込んだ冷たい水がエンジン内部を通過することで冷やされ、冷却に使われた水は外に放出されます。

シードゥ艇は、「クローズドループクーリングシステム(CLCS)」といって、外部から水を取り込むのではなく、クーラント(エンジン冷却水)を巡回させてエンジンを冷やします。専門用語が多く分かりにくいと思いますので、下の写真を見ながら説明します。

冷却水経路を緑色のラインで示しています。
ライドプレートが冷却装置(ラジエター)の代わりになっており、ライドプレート内を通過することでクーラント液を冷やす構造になっています。

熱せられたクーラント(冷却水)は、水と接しているライドプレートを通過することで冷やされる。ここで冷やされたクーラントが循環して、エンジンを冷やす。この繰り返しでエンジンを冷やしている。

水洗い時の注意事項

ジェットスキーを壊す原因の多くは、水洗いのときに起こりやすい。

「水洗時に壊されます」という理由

メーカーごとに違う、エンジン内の洗浄推奨時間

乗り終わったら、エンジン内部に真水を通して塩を取り除くことをジェットショップから教わったと思います。そのとき、メーカーごとにエンジン内部に水を通す時間が決められています。大事な話なので、下記にメーカーの推奨時間を記載します。

エンジンをかけたまま水を流す
※陸上でのアイドリング時間(目安)
・カワサキ艇:5分以内
・ヤマハ艇:3分以内
・シードゥ艇:約90秒

実際には、この時間が守られていないことが多いです。時間を守らないことが故障の原因になったり、エンジンに多大なダメージを与えています。
どうしてメーカーが「水を流す推奨時間」を決めているのか。その理由を把握していないから、全ての悲劇は起こります。エンジン内に水を流す理由は、「塩抜き」です。

エンジン一例。これはカワサキSTX-15Fのエンジンである。

エンジンの冷却ラインにこびりついた塩の結晶。これが冷却ラインをふさぐと、水やクーラントが流れなくなり、エンジンがオーバーヒートする。

水道のホースから流れる水量には限界があります

ここからは、少しややこしい話になりますが、水洗いのとき「水道水の勢い」という問題があります。
あなたが、水上でジェットスキーを走らせているとき、特に最高時速時などは、ものすごい勢いでインテークゲートから水を吸い込み、冷却経路に水が流れ込んでいます。しかし、水道水の場合、ホースから流れる水量には限界があります。

「走行時と同じようにエンジン内部に水が流れているのだから、推奨時間をオーバーしたところでさほど問題はない。それよりも、塩がたくさん取れたほうが気持ちいい」と考えている人が多いでしょう。しかし、陸上でエンジンをかけている時間が長くなるほど、どんどん熱くなっていきます。メーカーの推奨時間を超えてしまうと、水道水が通過する量くらいでは冷却が追い付かなくなります。

何度も言いますが、走行中はエンジン回転量に見合った水が、冷却ラインに取り込まれるようになっています。水道水では、その量をまかなうのは無理なのです。
どうしても、キレイに塩抜きがしたければ、真水の川や湖で走り続けることが、最も理にかなっているのです。

水道水だと、これくらいの量の水しか排出されない。

ウォーターボックス内の水抜きは、絶対に水を止めてから行うこと

ジェットスキーを洗い終わった後、水を止めてからウォーターボックス内に残った水を排出するために2~3度アクセルを空ぶかしします。このとき、水道水を通しながらアクセルを空ぶかしをしている人を良く見かけます。

でも、これはやっても意味がありません。ウォーターボックス内に残った水を排出するために空ぶかしをする必要があるので、水が流れ込んでいる状況で空ぶかしをしても、エンジンを痛めるだけです。
「オーバーヒートはエンジンとって悪いことだ」というのを肝に銘じ、メーカーの推奨時間を守りましょう。

必ず水を止めてから、エンジンの空ぶかしをしましょう。

まとめ

水洗時に壊す理由

メーカーの推奨時間を超えて水道水を冷却経路に流し続けること。エンジンがかかっていると、時間が経つごとに温度が上がる。規定時間以上は、エンジンの安全な温度を超えて高温になっていく。
もともと、塩抜きのためだけに水を流しているということが忘れられている。水洗いがルーティン化している。塩を抜くなら、淡水で最高速で走り続けることが最も効率がいい。

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