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 軍艦ロマン

巨大な軍艦を見に行った

海の上で大きな船に出合うと、なぜか嬉しくなる。それが普段、見ることのない船ならなおさらだ。軍艦というのは不思議なもので、つい見に行きたくなるナニカがある。

軍艦は、ロマンである。
余計な飾りが一切ない、無骨なフォルム。
愛想も色気もない、グレー1色の船体。
両サイドには3桁の数字が書かれているだけ。
どこを見ても、ホレボレするほど無駄がない。


軍艦に愛をこめて
平時には、眠れる獅子のように穏やかで、有事が起これば、これほど頼もしい船はない。1度は乗って、カレーを食べたい。見に行きたい艦。敬意を込めて、全員、敬礼!

不思議なのは、日本の戦艦が走っていても、ちっとも恐くないこと。ジェットで走っていると、軍艦の乗組員から見られるのだが、その視線が優しげなので嬉しかった。……

「走っている軍艦を見るのは久しぶりだ」と、水先案内人のタカハシさんが言った。地元に精通している人でも、動いている軍艦に出合うことは稀だという。演習中の軍艦は、航行ルートも走行時間も分からない。だから、走っている姿を見るのは、とてもラッキーらしい。

もちろん、向こうは訓練中。近寄りすぎてはいけない。特にこんなご時世だ。甲板にいる人たちから、チラチラこちらを窺うような視線を感じる。それでも、イキナリ砲撃されることはないという安心感がある。これが、米軍の軍艦だと話は別だが……。

長年の経験上、タカハシさんは「多分、軍艦はこのルートを走ってくるだろう」という、大まかな航路が分かるという。軍艦は非常にユックリと走っているので、ちょっと違うルートで先回りすれば、いろんな角度から艦が見られるそうだ。こういった貴重な経験ができるも、地元の水辺に精通した案内人がいるからこそ。本当にありがたい。


日本海で、唯一の海上自衛隊の基地がある軍港、舞鶴港。
演習中の軍艦と離れ、この日の目的地である舞鶴港へと向かう。舞鶴港は、大きく2つに分かれている。東側は日本海側で、唯一の海上自衛隊の基地がある軍港。西港は、中国やロシア、韓国などへの定期コンテナ航路を持つ国際貿易港だ。日露戦争の際は、ほとんどの船がこの港から出航した拠点港でもある。

湾内には、「こんなに軍艦って多いんだ……」とため息が出るほど、たくさんの艦が停泊していた。あまりに艦が大きいので、近寄りすぎるとグレーの壁にしか見えない。軍艦は、ちょっと離れて見るのがいい。

この船を、これほど近くで見る機会は、そうそうないだろう。こんな日はジェット乗りでよかったと心から思う。

視界一面、巨大な灰色の壁が続いている。10万馬力の軍艦に、ただただ圧倒されるだけ。




軍艦を眺めていたら、頭の中に「夏草や 兵どもが 夢の跡」という松尾芭蕉が読んだ句が浮かんできた。これは芭蕉が、かつて華ばなしい働きをして討死した、武者たち夢の跡、全てが過ぎ去ってしまい、今は何もない、ただ、夏草が生い茂るだけの風景を目にしたときに読んだ句です。 

今、静かに走っている軍艦を見て、こんな俳句を思い浮かべるなんて…。最新鋭の設備を搭載している軍艦を見て、何もない、夏草の風景と重ね合わせるのは、この船が実戦に使われることがない。戦うというイメージを思い浮かべたくないからです。私にとって、穏やかな気分で見つめることが出来る軍艦とは、「気が優しくて力持ち」の代表のような存在なのです。

鉄人/斉藤智祐(PAL-UP代表)
鉄人の右腕/前野佐知(PAL-UP女帝)
撮影協力/Nest Private Marine Resort
Special Thanks/Mr.Takahashi、関係各位

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