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突然、エンジンの吹け上りが悪くなったことはありませんか? そのまま放っておくと、大変なことになりますよ! ジェットスキー(水上バイク)

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前より走らないと思っていたら、「インタークーラーに穴が開いていた!!」

いつも楽しいジェットツーリングのレポートを紹介してくれるパルアップのダーさんから、緊急報告がありました。ダーさんの愛艇が、「エンジンが急に吹け上がらなくなる」という症状に見舞われたそうです。

ダーさんの水上バイク(以下、ジェット)は、2018年モデルの「シードゥ GTX Limited 300」です。ツーリング時、時速60km/hくらいで急に失速した感じになり、そうかと思うと、急にエンジンが吹き上がって80km/h以上のスピードが出てしまった、という症状でした。
ツーリング後、パルアップに戻って調べてもらうと、なんと「インタークーラー」に穴が開いていたそうです。


【関連記事】「スーパーチャージャー付きモデル エンジン不調の原因は「インタークーラー」の破損!」

ダーさんレポート 「私が感じた不具合は、下記の9項目です」

1. スロットルを引いても、6,000回転(60 km/h)ぐらいで失速した感じになり、その後、エンジンの回転が上がったり下がったりを繰り返して安定せず、きれいに吹き上がらない。54km/hで5,000回転までは普通に走る。
吹き上がらないと思っていると、たまに一気に7,000回転を超えて80km/h以上のスピードが出る。スーパーチャージャーなのに、「ドッカンターボ」みたいでので怖い。

2. 60km/hぐらいの巡行ができない。波に負けてしまう。

3. エコモードだったら正常に走る。

4. トップスピードが出ない。110 km/h(7,700回転)ぐらいでエンジンが息継ぎして、回転数が落ちたり上がったりする。

5. 燃費が悪い。同行者より多く燃料を使う。須磨までは往復約55kmなので、通常30L前後、エコモードなら25Ⅼ程度あれば足りるが、今回、須磨までのツーリングでは、43L使った。
ガソリン使用量が40Lを超えたときは、異常があるときか、他のジェットを牽引したり、大波超える、波がなく超高速走行したとき(須磨往復40分以内でも、35L前後の燃料消費)といった、特別な場合だけである。

6. アワーメーターで10hぐらい前にも同じ症状があったので、プラグ交換やインタークーラーの水抜き、オイル交換を行った。でも、「モッサリ感」が取れなかった。(私が神経質なのか? 慣れか? と思っていた)

7. オイルの乳化はないが、前回交換して10時間しか乗っていないわりに汚れている。

8. 何か詰まっている感じがするけれど、ポンプにゴミ詰まりはない。

9. F-1 フューエルワン(WAKO’S製の内燃機関用燃料系統の清浄・防錆・潤滑剤)を入れても改善しない。


敏腕メカニックに聞く、今回の「ダーさんのジェットの症状」について

修理を担当したのは、ランナバウトクラスで世界第2位となった中野剛人プロのメカニックとして活躍していた西田和弘氏(IWCS)です。世界のレースシーンで戦った経験と技で、ジェットの修理をしてくれます。
西田氏が、プロは「不具合のあるジェット」の、どこを見て故障箇所を判断しているのか教えてくれました。


穴あきはどこかよく分かりません。穴あきを見つけて塞いでも、他のところから同時多発的に穴が開くので交換。(by.ダーさん)

症状を聞いて、まず疑う「3項目」

WJS 今回、ダーさんのジェットの修理をされたとき、「インタークーラーの破損が原因」と、どうして分かったのですか?
西田 不調の症状が「エンジンが吹け上がらない」でしたから、疑わしい原因は次の3つです。
1. プラグの不具合
2. インタークーラーの破損
3. ガソリンタンク内部に水が混入です。

WJS どの項目から、調べていくのですか?
西田 まず、「1のプラグの不具合」の確認をします。これは、プラグを新品に交換して走ってもらいました。これで症状が改善しなかったので、「2のインタークーラーの破損」を疑いました。

WJS インタークーラーの破損というのは、すぐに分かるものなのですか?
西田 スロットルボディとインタークーラーを繋ぐパイプを外したら水が出てきたので、原因は「インタークーラーの破損」だと、すぐに分かりました。

WJS それだけでインタークーラーが原因だと分かるのですか?
西田 シードゥのインタークーラーは改良されて良くなったのですが、ダーさんの場合、アワーメーターで250時間も乗っています。たいしたことじゃない、補器類、消耗部品が寿命で壊れたと考えて下さい。

WJS インタークーラーの破損の大きな原因は、「塩害や電蝕」ですよね。ダーさんが主に乗っているのは大阪湾、つまり塩水です。これが琵琶湖のような淡水なら、破損しないのですか?
西田 絶対にありません。真水で乗っている分には大丈夫です。

WJS インタークーラーが破損しても初期段階であれば、それほどエンジンへのダメージはないのですか?
西田 最初はね。早い段階で修理に出してもらえば大丈夫。でも、良くはないです。エンジンオイルも乳化するし、スロットルボディのバタフライを固定しているピンが錆びて固着します。

WJS スロットルボディのバタフライが固着したら、アクセルを開けても空気が入らないからスピードが出ないのですか?
西田 今はコンピュータで制御されているので、固着した段階でECUが異常を感知し、エンジンを始動させません。エンジンがかからないのです。

WJS それはおおごとですよね?
西田 そんなことはないです。「おおごと」というのは、ピストンが破損したり、クランクが欠けたり、ジェットからエンジンを降ろして行う作業のことを言います。

WJS 西田さんにとって、エンジン以外の故障はおおごとではないのですか?
西田 そうですね。「インタークーラーの破損」を一言で言えば、「目が悪くてメガネをかけている人の、メガネが壊れた状態」です。補器類の故障なので、新しいインタークーラーに交換したら解決です。でも、修理もしないで乗り続けていると、それではすまなくなる。

WJS ユーザーの気持ちとして、ジェットの調子が少し悪いと感じても、「壊れていて欲しくない」という気持ちと、「修理はお金がかかる」という現実から、「修理には持って行かず、しばらく様子を見よう」と考えてしまいがちです。
西田 それは、一番良くない考え方です。人間だったら自然治癒力があるので、調子が悪くても「ひと晩寝て、様子を見よう」はアリです。でも、機械ものは勝手に復活することは絶対にありません。時間が経つごとに事態は悪化し、修理代が高くなります。
「少しおかしいかな?」と気になったら、ダーさんのように、すぐ修理に出して下さい。交換だけですむので、結果的に安上がりですよ。


インタークーラーの内部。

シードゥの300は、インタークーラーが改良されて破損しないの!?

WJS 先ほど、新しいシードゥは、インタークーラーが改良されたと西田さんが仰いました。それで、「インタークーラーの破損」がなくなったのではないですか?
西田 パルアップでも、何艇もシードゥ 300のインタークーラー付きモデルを販売していますが、新しいタイプになってから壊れたのは、今回のダーさんが初めてです。
でも、海だけで使用していて、アワーメーター250時間だから、ある意味、仕方がないです。細かなアルミの冷却経路に、海水が通っているわけですから。

WJS インタークーラーは「消耗品」と考えて、それが壊れたらすぐ直す。それが、それ以上に傷口を広げない唯一の方法なのですね。
西田 何度も言いますが、機械ですからいくら待っても「自然治癒能力」はありません。遅れれば遅れるほど、事態は悪化します。

WJS 西田さん、最後にひとつだけ教えてください。ダーさんのように、「初期段階のインタークーラーの破損」で、エンジンに空気と一緒に水が送り込まれている場合、エンジンはどのようなダメージがあるのでしょうか?
西田 本来、ECUの指示で送り込まれるはずの酸素が行かないわけですから、ガソリンに対して酸素が不足する。そうなると、本来、起こるべきの燃焼がないのでパワーが下がる。なので、本来のスピードが出なくなる。そうしていくうちに、オイルの乳化していきます。

WJS ダーさんが「おかしい」と気が付いて、すぐに西田さんに相談したのが大正解なのですね。
西田 そうですね。


「インタークーラーの破損」を防ぐ、効果的な方法

WJS それでは、「インタークーラーの破損」を防ぐ方法はありますか?
西田 海水で乗り終わったら、最後に川や湖などの淡水に行って、アクセル全開で走るのが最も良い方法です。


【関連記事】「スーパーチャージャー付きモデル エンジン不調の原因は「インタークーラー」の破損!」

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【関連記事】現代・ジェットスキーの弱点「バッテリー」 絶対に「バッテリー」の知識が必要です。

バッテリーは突然寿命が来てダメになります。
現代のフラッグシップはコンピューターコンピュータ制御です。その分、使う電気量も多くなります。例えば、シードゥ艇に採用されている「iBR」機能や、ヤマハ艇の「RiDE」機能などを使うと、バッテリーの消耗率は非常に多くなります。

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