去る2021年4月10日(日)、大阪府・二色の浜海浜緑地公園で、「関西ジェットカーニバル」が行われた。今年は例年のような2日間開催ではなく、1日限りのイベントとなった。
注目のイベントは、レジャーユーザーが主役のスラロームイベントと、「Team BUN FREESTYLE」によるフリースタイルショーである。
(※スラロームイベントの詳細は、【「二色の浜ジェットカーニバル」で開催された、レジャーユーザーが主役の“スラロームイベント】)
また、展示ブースには、国内屈指のトレーラーメーカー・タイトジャパンをはじめ、関西の優良ジェットショップ、パルアップ、シーゼットカンパニー、ナカサン・プロジェクト、ビーグルなどが出展。残念ながら、毎回人気のビンゴ大会は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策により中止となったが、会場内は元気なスタッフと来場者の笑顔が溢れていた。
世の中は、未だ新型コロナウイルスの影響が暗い影を落としているが、マリン業界は盛況だ。コロナ渦でまだ自由に海外旅行にも行けないため、「3密」にならない「アウトドア」が人気となっているのが理由だ。
この「関西ジェットカーニバル」というイベントは、テレワークや労働時間短縮などで、「ジェットに関心はあるが、触れ合う機会がなかった人たち」や、若者に「そのままのジェットライフ」を見てもらえる催しとなっている。
情報化社会と言われて久しいが、全くの素人がインターネット以外で「本当のジェットライフの情報」を取得する方法は少ない。このイベントでは、ジェットショップはもちろん、メーカー関係者やレーサーなど、普段からジェットに深く関わっているプロフェッショナルが多く集まっている。気軽に話を聞くことができるのも人気の一因だ。
まだ、新型コロナが終息したわけではなく、感染防止に十分注意しながらのイベント開催になる。このため、本来の目的である「来場者やジェットの愛好者に喜んでいただく」以外、消毒や感染対策などさまざまなことにも配慮が必要だった。
「そんな状況下でも “続けて開催していくこと” が大切と考えて、1日限定でイベントを決行いたしました」と主催者は語ってくれた。
“楽しいイベント”であることは大切だが、それ以前に「来てくれたお客様を喜ばせたい」という気持ちがなかったら、開催する意味がない。
年に1度、関西の優良ジェットショップや、マリン関係者の尽力によって開催されている。マリンスポーツ業界の普及や発展のためにも、これからも「関西ジェットカーニバル」が活躍してくれることを切に願うものである。
ランチタイムには、「Team BUN FREESTYLE」によるフリースタイルショーが行われた。「Team BUN FREESTYLE」は。エアリアルトリックを得意とするチームで、世界チャンピオンの山本汰司選手をはじめ、チーム員の面々が華麗に宙を舞った。
本誌は、この「JETカーニバル in 二色の浜」に第1回目から関わらせていただいている。本イベントが開催することになった経緯は、前年(2009年)まで毎年関西地方で行われていた関西国際ボートショーがリーマンショックの影響で中止になったことにある。これにより、西日本でのジェット関連の大きなイベントがなくなってしまったのだ。
その状況に大きな危機感を抱いたのが、ジェット業界の大手アパレルブランド・クエーキーセンス代表の紅矢俊栄氏である。当時のクエーキーセンスは、アメリカで行われる世界最大級のジェットスポーツイベント、「ワールドファイナル」のメインスポンサーも務めていた。クエーキーセンスとしては、日本のマーケットが縮小するのを、ただ指を咥えて見ていることはできなかった。
関西でイベントを開催しようと、近隣の優良ジェットショップに声をかけるとともに、近畿ジェットスポーツ連盟にも協力を要請し、東奔西走した。それで実現したのが「第1回JETカーニバル in 二色の浜」である。
「来てくれたお客さんたちを楽しませよう!」をコンセプトに、「スーパースター」と呼ばれていた国内外のトップライダー8名による「Demo Race」を行った。国内のメンバーは、竹野下正治プロ、桜井直樹プロ、片山司プロ、倉橋秀幸プロ、中野剛人プロ、砂盃肇プロ、栗原広プロ。そしてアメリカからスーパースター「ニコラス・リウス選手」も来日し、世界の走りを観客の前で見せてもらった。
さらに「スペシャルショータイム」として、フリースタイルの世界チャンピオンで、絶大な人気を誇った藤澤正雄プロ、同じチームの和氣正季プロのフリースタイルショーが行われた。
そのときも1日限りの開催であったが、あの広い二色の浜海浜緑地公園の駐車場が満杯になり、入れなかったクルマが列を作って待っていたいたことを思い出す。もちろん、ジェットショップやメーカーによるブース展示も行われ、大勢のお客さんが朝一番から押し寄せた。海上イベントも、陸上イベントも主催者の「来た人を楽しませたい」の言葉通り、大いに盛り上がったのだった。
今年のイベントは、「困難な状況でも、春になれば『関西ジェットカーニバル』が行われる」と、一般の人に知ってもらうためにあえて行ったという。主催者側のご苦労・ご尽力には、とても感謝している。
現在、新型コロナなどさまざまなマイナス要因があるにせよ、初心に帰って「お客様を徹底的に楽しませる」という基本コンセプトに立ち返れば、12年前のように、あっという間に国内最大級のジェットイベントが帰ってくると思っている。
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