「MOTO 1・16位」「MOTO 2・1位」「MOTO 3・6位」「MOTO 4・20位」
で、総合成績は6位であった。
しかし、レース内容では世界を圧倒した。
「実力と誇り」を持つ者は、「結果」だけでなく「過程」にも非常にこだわる。
実力のない者が勝つには、多少のズルや卑怯な戦い方も厭わない場合があるだろう。
しかし、「自分に自信」があれば、そんな戦い方をしたいとは思わないはずだ。
正々堂々と戦って勝てば良いのだから。
このクラスのエントリーは16名。
スターティンググリッドに並んだ瞬間から、小原のマシンはエンジンがかからなくなった。
他の選手がスタートしてもエンジンはかからず、チームの別のマシンが届けられてからようやく走り出せた。
それでも懸命な走りで1人抜いて15位で終わった。
世界チャンピオンを獲得するためにタイに来たのに、この瞬間、ほぼ優勝の芽はなくなった。。
「優勝が無理なら、せめて“小原聡将、ここにあり”というレースを見せようと思った」と小原は語る。
このヒート、ホールトゥフィニッシュの圧倒的な勝利であった。
レース序盤はトップを走る小原と、2位を走る世界チャンピオンのクエンティン・ボッシュと強烈な競り合いに目を奪われた。
特に選択コースからの合流地点では、クエンティンに「抜かれた!」と思うくらい攻め込まれた。
しかし、“追われている”はずの小原は、その追撃を楽しんでいるかのような余裕も感じられた。
ギリギリで抜かせない、竜虎相搏ともいうべき、互いに一歩も引かない走りにギャラリーは釘付けになった。
「こんなレースを15分間も続けるのか?」と感じた中盤、注目の合流地点で2艇がぶつかった。
小原はマシンに踏みとどまり、クエンティンは衝撃で吹っ飛んで落水。
小原はマシンに踏みとどまり、クエンティンは衝撃で吹っ飛んだ!
このヒート、小原の1位が確定した。
クエンティンの攻めの迫力と、小原の冷静な走りが頭から離れないレースであった。
もし、10年後にこの大会のことを思い出すことがあれば、「この接触シーン」以外には考えられないような緊迫感のあるレースであった。
レース終了直後、クエンティンが小原に対し、「酷いじゃないか!」と抗議するシーンもあったが、小原は「お互い、怪我をしないで良かったね」と返していた。
一見、優しげなベビーフェイスだが、腹はかなり座っているレーサーだと感じた。
MOTO 3は6位と成績は振るわなかったが、レース内容は特筆すべきものであった。
スタートで珍しく小原がフライングし、やり直しスタートは、デットエンジンからのスタートとなった。
「MOTO 2」で、クエンティンとの熱いバトルを見せられたオーディエンスは、この「MOTO 3」でも大きな期待をしたが、この出来事で少々拍子抜けしたのは否めない。
小原は最後尾からスタートしたが、ここで「10台抜き」を見せた。
彼はこのレースで、「確かな感触」を掴んだという。
ちなみに「フライングするなんて珍しい。
どうしたのですか?」と聞いたところ、「MOTO 1が15位だったから総合優勝は難しい。
だったら、残りのヒートを全部勝ってやろうと思って気負いました。
隣の選手が飛び出したので、一緒に釣られてしまった」ということであった。
渋谷監督と小原聡将
総ページ数164ぺ-ジ超の読み応えのある内容で、「水上バイクのレースには興味がない」という人も、どの項目からでも、面白く読めます。
この「世界最高峰の戦い」は読んでみてください。
ジェットの歴史を知ることで、このスポーツを“より深く”知ることが出来ます。
”チョット立ち読み” POWER BOAT MAGAGIN 「パワー ボート マガジン」 ただ今、まるごと1冊”無料公開中”!
海のF1 パワーボートの記事も、お楽しみ下さい。
【関連記事】
2022年 BRP SEA-DOO(シードゥ)ニューモデル国内全モデルラインナップ
2022年 ヤマハ Wave Runner(マリンジェット) ニューモデル国内全モデルラインナップ
2022年 カワサキ ジェットスキー ニューモデル国内全モデルラインナップ
徹底解説!ジェットスキーのフラッグシップ・2022年 カワサキ「ULTRA 310 LX」とは!?怒涛の310馬力
2022年 カワサキ「ULTRA 310 LX」怒涛の加速・310馬力のモンスター・マシンの走り
危険走行で刑務所へ! 明石市長、水上バイク危険運転に「懲役刑」の方針! 全ては市民の命を守るために
「悪質で危険・愚かで悲しい!」「水上バイク問題」究極の「解決方法」とは?