① エンジン始動
最初にエンジンをかける。エンジンが始動していれば、排気の圧力でエンジン内部に水が入らない。
② ジェット側の水洗口にホースを差し、すぐに水道の蛇口を開ける
ちなみに、ジェットの水洗口は、メーカー、機種、年代によって違う。あらかじめ、自分の水洗口の位置を確認しておこう。写真は「SEA-DOO RXT-X 300」です。
③ エンジンをかけたまま水を流す
※陸上でのアイドリング時間(目安)
・カワサキ艇:5分以内
・ヤマハ艇:3分以内
・シードゥ艇:約90秒
④ 水を止める
水を止めても、エンジンはかけたまま。
⑤ エンジン停止
空吹かしを3回ほど行い、排気経路の水を抜く。エンジンを止める。これで、冷却経路の水洗いは完了。
塩害防止剤(写真左と中央)と、ミキサー(写真中央の右2つのケース)。
上記③の「陸上でのアイドリング時間」のなかで、各メーカー指定時間の「最後の1分間」だけ塩害防止剤を使う。塩害防止剤の詳細な使い方については、こちらをクリック。
バケツにカーシャンプーを入れ、泡立つように水を入れて、洗浄液を作る。
最初に、全体に水をかけて、埃などを落とす。
スポンジやブラシを使って、船体を洗っていく。
忘れがちなのがガンネルの裏。スポンジでていねいに洗う。ここに塩分が残ると、雨水などの影響で塩が溶け出し、結果的にはトレーラーを錆びさせる。
ポンプの中もくまなく洗う。リバースゲートを動かすと、奥までよく洗える。
全体を洗い終えたら、まんべんなく水をかけて洗剤を洗い流す。ガンネルの裏も忘れずに。
フロントハッチの中には、水が抜けるドレンがある。傷つけないように、キャップを外す。意外と簡単に取れる。
洗剤を使って、すみずみまで洗う。特にハッチの裏は、凹凸があるので、ていねいに洗うこと。
このように、勢いよく水をかけても大丈夫。
ドレンを開ける。
左がドレンが開いた状態。ドレンが開いていないと、エンジンルームを洗う水が流れ出ない。
右がドレンが開いた状態。これで、エンジンルームの水が排出される。エンジンルームに水が必要以上に溜まると、エアインテークから水がエンジン内部に入り、確実に故障する。
ドレンが開いている状態。
ドレンが閉まっている状態。
エアインテークとは、エンジンに空気を取り入れる入口のこと。
この写真はヤマハFX用エアインテークだ。真正面に空いている穴に水が入らなければ、OKだ。
右の写真(ピンクで塗った部分)でも分かるように、エンジンルームのフロント側に穴が開いている。だから、水洗時に水を入れるのが難しいくらいだ。それほど気にせずエンジンルーム全体を洗おう。
シートを外しただけの状態。このままでは、全然、奥まで水が届かない……。可能なら、外せるパーツは全て外して洗いたい。
カバーを外したところ。外せるパーツは全て外して洗う。
エンジンルームは、直接エンジンに水をかけて、奥の方まで洗う。そのとき、水圧は弱める。配線コードが出ている部分でも、バッテリーでも、水で洗い流す。同じ方向からでなく、いろいろな角度から、まんべんなく水をかけるのがポイント。
水が流れ落ちるように、トレーラーに乗せたままフロントを持ち上げる。このとき、ライドプレートなどを傷つけないように気を付ける。もちろん、ドレンを開けることを忘れずに。
濡れたままにしておくと、そこから錆が発生する。エンジンルームの底に溜まった水も、できれば一滴も残さず除去したい。ジェットの構造上、船体を傾けただけでは、完全に水は抜けない。
プロのジェットショップでは、下記のようなアイテムを使って、水を排出している。
ハンドルを引いたときと、押したときに排水するダブルアクションタイプ。ホームセンターなどで購入でき、価格は5,000円~10,000円前後。
エンジンルームの下のほうや、配線があるところなど、細かいところ作業に向いている。灯油用のスポイトがオススメ。ホームセンターなどで購入できる。
スポンジは、吸水・保水性に優れた「浴室清掃用」や「左官作業用」が、安価(100円~200円前後)でオススメ。車用は吸水性がイマイチ。タオルは、吸水性のよいマイクロファイバータオルで、大きさはハンドタオルくらいのものが使いやすい。
今回使用した、ケミカル一例。
上段左上から「WAKO'S ラスペネ」、「KURE 5-56」、「ヤマルーブ マリンガード」。
下段左下から「ヤマハグリース」、「WAKO'S SUPER SG(耐熱シリコーンブレーキグリス)」、「MAXIMA GREASE」。
プラグ周辺
ゴムの素材部分はケミカルショックを起こす危険があるので、ケミカルの成分を確認しておいたほうがいい。今回、ヤマハから発売されている「ヤマルーブ マリンガード」を使用した。まんべんなくスプレーし、指で薄く伸ばすと良い。
プラグケースにWAKO'S SUPER SGを塗布。防水効果が高まると同時に、次に抜くときに抜きやすくなる。
エンジンルーム
全ての金属部分にマリンガードを吹き付ける。
ポンプまわり
ボールジョイント部には、ヤマハグリースを使用した。マリンガードも併用すると良い。
ポンプの中にもマリンガードを吹き付ける。
エンジンルームは、湿気を帯びやすく、気温の変化で結露する。 毎週ジェットに乗りに行くならいいけれど、ちょっと間があくようなら、除湿剤などを入れて、エンジンルーム内に湿気が溜まらないようにしよう。
また、保管時はシートを密閉せず、船体との間に隙間を開けて風通しをよくしておく。そのうえから、船体にカバーをかけて保管する。エンジンルームの中に、押し入れ用の除湿剤などを入れておくのも効果的だ。
【関連記事】
2020「水上バイク」全モデルラインナップ
今、「初心者」が買うべき水上バイクは?(ジェットスキー)
どのメーカーの水上バイクが壊れないの?
プロが教える初めてのジェット・実践編 [1]朝、出かける前にすること
WJS流「新艇取扱説明書」Part.1 ジェットスキー(水上バイク)