
今年は春先から「ステイホーム」で、休日でも外に出られない日が続いています。長い冬が終わり、新型コロナ禍が過ぎ去れば、必ず楽しくジェットに乗れる季節が到来します。
 その日が来たらすぐに乗りに行けるように、ずっと動かさず保管していたジェットスキー。乗る前には、必ずジェットショップに持っていき、始動前メンテナンスを受けましょう。ショップによって異なりますが、3万円前後で始動前点検が受けられます。
内容は、オイル交換やバッテリーの点検、エンジンルーム内の点検やプラグ類の交換など、各配線部分の接続のチェックや、クランプの増し締め等だと思いますが、ショップによってやり方は異なります。
ジェットスキーは水の上で乗るものです。マシントラブルや遭難したときなど、命の危険にさらされます。常に万全の状態で乗りたいものです。
 海の真ん中で、動かないジェットほど危ないモノはありません。水に飛び込んで泳いで押しても、400kg以上の鉄の塊を動かすのは簡単ではありません。海流に流されてしまえば、携帯電話で救助を呼んでも、すぐに見つけてもらえる保証などありませんし、電波が届かない場所にまで流されると祈ることしかできません。
本誌は「始動前メンテナンスを受けた方が良い」と考えています。その理由を説明するためには、ジェットショップが実際に「何をしているのか」を説明しなければ伝わらないと考えました。
そこで、ワールドジェットスポーツマガジン6月号(5月10日配信)で、本誌が信頼するジェットショップ、埼玉県久喜市のヤマハ正規販売店・ビーチマリンが実際に行っているメンテナンスを紹介します。ひと口に「メンテナンス」と言っても、やり方も内容もショップによってまちまちです。
 ビーチマリンはヤマハ正規販売店なので、ヤマハのサービスマニュアルに従ったメンテナンス工程を順守しています。
この記事を読めば、ヤマハ艇がどのようにメンテナンスするべきだと考えているかが良く分かります。ヤマハ艇オーナーも、そうでない方も「なるほど!」と思いますよ。
以下の写真は、ユーザーからショップに持ち込まれた一例です。メンテナンスで持ち込まれたときに、不具合があるとは全く認識されておらず、不調の自覚が無かった方がほとんどだそうです。
インペラーに黒いコードが絡まっている。この状態でも普通に走れていたそうで、オーナーは気付いていなかった。
船底のスコープゲートから覗くと、ビニール袋の切れ端がドライブシャフトに巻き付いていた。
写真左はポリプロピレンを使用した結束バンド、右は釣り糸が絡まっている。
プラグのネジ部の色がそれぞれに違うのが分かるだろう。さらに、白い絶縁体部分が汚れている。プラグ全体が、オイルでベトベトだった。恐らく、規定トルクの数値で締められておらず、緩んでオイルが噴き出したと思われる。
本来なら、バッテリー本体の上にある赤い2本線の間にバッテリー液がなければいけない。しかしこのバッテリーの場合、ドライバーで指した部分までしか液が入っていない。最近のジェットスキーはすべてコンピュータ制御のため、使う電気量も多い。バッテリーは現代ジェットの弱点でもあるので、常に注意しておく必要がある。
エアクリーナーのフィルターが、水分を含んでずいぶんと変形している。このまま乗り続けると、酸素が不足してエンジンパワーが落ちる原因になる。
船底に亀裂が入っている。どこかで暗礁に乗り上げたのか、ぶつけたのか分からないが、割れた部分に水圧がかかったら、最悪の場合、沈没する。これだけ外的な不具合がありながら、それを知らずに乗っているオーナーが多いという。 理由はこの状態でも十分に良く走るからだ。しかし、いずれは壊れる。
ドライブシャフトに異物が絡みついた状態のまま走ったら、エンジンに余計な負荷がかかっているのと同じ。バッテリー液の不足もコンピュータの故障の要因になる。プラグの緩みもエンジンの故障原因になるし、エアクリーナーに不具合があったらスーパーチャージャーで空気を送り込んでいる意味がなくなる。
 いずれにせよ、このまま乗り続けていると、今の症状より悪化する。修理代金も高額になり、最悪の場合は重大な故障を引き起こす。
上記のジェットスキーは、点検やメンテナンスでお客さんが持ってきてくれたので、トラブルを未然に防げた。
今現在は不具合がないと思っても、乗り始めの前には行きつけのジェットショップに持って行って点検やメンテナンスを受け、万全の状態でジェットスキーに乗ってください。
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