ジェットスキー(以下、ジェット)は、スコープゲートから吸い込んだ水を、ジェットポンプから後方に噴出することで前進します。水を吸い込む勢いは、ダイソンの掃除機よりも強力です。興味本位で手を近づけたら、一気に持って行かれますのでくれぐれもエンジンをかけているジェットの下に手を出さないでください。
ものすごい吸引力があるので、浅瀬でエンジンをかけたり、水深が浅い場所で乗っていると、水と一緒に砂や石などを吸い込んでしまいます。その石や砂が、ポンプやインペラーに巻き込まれてジェットを壊します。
インペラーの羽根が欠けたり、割れたり、ひどい場合は異物が羽根に挟まってロックしてしまいます。このトラブルは初心者にありがちで、「このぐらいなら大丈夫だろう」という気持ちの緩みから起こるケースが多いです。修理は破損の程度によって異なりますが、数万円~数十万円と、高い授業料を払うことになります。
浅瀬でエンジンをかけたために、砂を吸い込んでトラブルになった例(資料提供/ビーチマリン)。
かくいう私も、何度もこの「浅瀬でエンジンをかける」トラブルをやらかしています。
いつものゲレンデでブイを張ってレーシングターンの練習をしていたとき、コーナーを曲がりきったところで急ブレーキがかかり、吹っ飛ばされました。コーナリングの最中に石を吸い込んで、インペラーがロックしてしまったのです。
原因は、その日の潮の干満にありました。たまたま満ち引きの差が最も激しい大潮の日で、朝、ブイを張ったときには十分な水深があったのに、お昼過ぎになったら30cmくらいの深さになっていたのです。それに気づかず走っていたわけです。
吹っ飛ばされてしばらくは、何が起きたのか分かりませんでした。ジェットを陸上に上げ、ポンプを外してもらうと、小石が5~6個、インペラーに挟まっていました。
結局、インペラーは変形し、何カ所か欠けていたため、新しく交換することになりました。ほんの少し気を付けていれば避けられたトラブルのおかげで、高い代償を支払うことになったのです。
実際に自分が思っているよりも、水深が浅いことが多い。
気をつけなければならないのは、水深が変化するという事実だ。塩の干満、川でも風向きだけで、短時間に水深が変わる。同じ場所にアンカリングや、係留していても、エンジンを始動する前は必ず確認をする。さあ、今からスタートでエンジンをかけた瞬間に石を詰まらせた話は、いくらでも聞く。
今から楽しむはずが、今から修理に変わるのだ。
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