仲間と同じようにアンカリングをしているはずなのに、なぜか自分のジェットスキーだけがいつも流されている……。
上陸して昼食を食べて戻ってきたら、波打ち際でゴロゴロと転がって傷だらけになっているマイジェットを見て、目の前が真っ暗……、といった苦い経験をされた人はいませんか!?
アンカリングとは、桟橋がない場所で上陸する際、ジェットスキー(以下、ジェット)を沖で停泊させるのに使う方法です。無意味に愛艇を傷つけないため、今回は基本的なアンカリングのポイントを紹介します。
どこにアンカリングするかは重要です。ジェットで使うアンカーは、船と比べて軽量で小型のものが多い。把駐力(はちゅうりょく:海底に繋ぎとめようとする力)が小さいので、潮の流れが速かったり波が荒い場所では、アンカー本来の役割に期待できません。
ジェットでのアンカリングする際、ロープの長さは「水深の3倍以上」が目安となります。水深が1mなら、ロープの長さは3m以上必要です。
ロープが短すぎると、船体の揺れがすぐにアンカーに伝わってしまうため、把駐力の小さいアンカーだと浮いてしまいます。ロープが長いほど、把駐力は増します。
また、ロープだけでは沈んでしまうので、フロート(ブイ)を付けてロープの場所が分かるようにしましょう。 ロープが行方不明にならないし、巻き込み防止になります。
レスキューアンカーロープ(タイトジャパン)のような、浮力と伸縮性を併せ持つアンカーロープを使用するのも有効です。
アンカーロープを、船体のフロント(バウアイ)に付けるか、リア(スターン)に付けるかで悩むことがあると思いますが、正解は「バウアイに付ける」です。
バウアイにアンカーロープをかけると、前から波を受けても流線型のハルが波を左右に分散してくれます。ジェット本体が水から受ける抵抗が少なくなるので、流される心配も減ります。
逆に、リアに付けるとジェットの形状的に平面になっているため、波が船体の広範囲に当たり、抵抗が大きくなります。このため、ジェットが流されやすくなります。
400kgを超えるランナバウトでも、水の上で浮いていれば波の力で簡単に動いてしまいます。風が強ければ、さらに流されやすくなります。
当たり前ですが、ジェットをアンカリングするときは、できるだけ波のない入り江を選んでください。適切にアンカリングしても流されてしまうようなら、素直に場所を移動しましょう。
風向きや流れの向きが変わると、アンカーロープの長さを半径とした範囲でジェットが動きます。強い波でアンカーごとジェットが流されてしまうことはよくあります。
また瀬戸内海のように潮の干満差が激しい場所では、上陸するときは深い場所にアンカリングしたはずが、戻ってきたら潮が引き、砂浜にジェットが打ち上げられていたという経験が編集部もあります。長時間、目を離さないことが重要です。潮の流れに合わせて、アンカーを打ち直すことも必要になります。
「日本沿岸736港の潮汐表」というサイトでは、日本全国736カ所の港の潮位と干潮、満潮時間が分かります。事前に調べておくとさらに安心です。
ジェットでしか行けない無人島のステキな砂浜も、アンカリングで上陸できます。ツーリングに行ける場所の選択肢も増えるので、遠出するときはアンカリングセットを持っていきましょう。
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