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世界チャンピオン艇を取り扱う「コマンダーインダストリージャパン」&マシンペイントの国内第一人者「ヒロキックスデザイン」代表・佐々木宏樹氏インタビュー (1/3)ジェットスキー(水上バイク)

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2年連続、世界チャンピオン艇が日本で買える

国内総代理店「KOMMANDER Industry Japan」が今年から、取り扱いを開始

2020年1月1日より、カスタムペイントで有名なヒロキックスデザイン代表の佐々木宏樹氏が「KOMMANDER Industry Japan(コマンダーインダストリージャパン)」を設立した。これにより、国内でも「KOMMANDER(コマンダー)」のコンプリート艇をはじめ、同社製の各種パーツの入手が可能となった。

コマンダーは、アメリカに本社を置き、世界最速のGP SKIマシンを製作するアフターパーツメーカー。世界的なトップライダー、ダスティン・モツリス氏が代表を務めていることは有名だ。
2017年に登場したコマンダーのコンプリート艇「GP1」は、2018年、2019年の2年連続で世界チャンピオンを獲得しており、その性能も折り紙付きである。

今回、コマンダー製品の正規代理店となったコマンダーインダストリージャパン代表・佐々木宏樹氏に、なぜ、この時期にレースマシンの取り扱いを開始したのかをインタビューした。
また、ジェットスキー(以下、ジェット)をはじめ、自動車やオートバイなどのカスタムペイントを、多数、手掛けている「HIROKIX DESIGN」の代表としての顔を持つ氏に、設立に至るまでの生い立ちなど、いろいろと聞いてみた。

「プロライダーじゃなくても乗りやすい」と、佐々木氏がホレ込んだコマンダーGP1。

「GP1」は世界チャンピオン艇。だけど、誰もが乗りやすいマシンです

KOMMANDER Industry Japan HIROKIX DESIGN代表、佐々木宏樹氏インタビュー

WJS 今回、2020年モデルのKOMMANDER(コマンダー)GP1のコンプリート艇に試乗させていただきありがとうございます。さすが世界チャンピオンマシン。クオリティの高さと、乗りやすさに驚きました。
佐々木 ありがとうございます。GP1は、レーサーではない、普通の人でも乗りやすいでしょ。

WJS そうですね。佐々木さんは、コマンダーGP1に惚れ込んで、このマシンの素晴らしさを世の中に広めたいと、2020年1月1日に「KOMMANDER Industry Japan(以下、コマンダー)」という会社を立ち上げたそうですね。
佐々木 はい、このマシンの良さを、広くジェットユーザーに知ってほしいと思っています。

WJS 我々にとって「佐々木宏樹」という名前は、ジェット業界を代表するペインターであり、「ヒロキックスデザイン(HIROKIX DESIGNS)」という会社のオーナーです。今後、ペイントショップとコマンダーの二足の草鞋を履くことになるわけですか? しかも、現役のプロライダーです。考えただけでも、超多忙な毎日だと思うのですが?
佐々木 僕ね、暇が嫌いなんですよ。暇があるより「スゲェ忙しい」ってやってるほうが好きなんです。

KOMMANDER Industry JapanおよびHIROKIX DESIGN代表、佐々木宏樹氏。

少年時代、眩しく見えた「板金屋」

WJS コマンダーという会社について伺う前に、佐々木さんご本人についてお聞きしたいのですが? 現在、おいくつですか?
佐々木 42歳です。

WJS コマンダーは今年設立ですが、もうひとつの本業であるペイントショップ「ヒロキックスデザイン」の創業はいつですか?
佐々木 えーと、何年だっけ。今から14~15年前、2006年くらいですね。

WJS 27、28歳のころですね? ヒロキックスデザインを始める前は、何をされていたのですか?
佐々木 はい。普通に学校を出て、建築関係や運送業など、いろいろな仕事をしていました。

WJS 以前、「若いころから、友達のバイクやヘルメットのペイントをしてきた」と聞きました。塗装は、いつからやっていたのですか?
佐々木 僕が最初にペイントをしたのは、中学生のころです。あのころ、缶スプレーでバイクの塗装をしまくっていました。

WJS 友達のバイクも塗っていたそうですね?
佐々木 はい。自分が缶スプレーで塗ると「スゲェ」って言われていました。結構な台数を塗っていましたよ。

WJS いつから、プロのペインターを目指したのですか?
佐々木 あるとき仲間が集まっている場所に、先輩が板金屋で塗装をしたバイクを自慢げに持ってきたんです。ワインレッドに輝くピカピカのタンクを見て、「何じゃこりゃー」って大騒ぎです。とにかく、ヤバくて、キレイで、ショックでした。それが、僕のペイントの原体験かな。

コマンダーGP1。レース仕様のエンジンで最高速は115km/h出る。

缶スプレーの魔術師・ペイントに目覚めた中学時代

WJS 佐々木さんの缶スプレー塗装とは違ったのですか?
佐々木 違うも何も、そのころ僕は「板金屋」なんて聞いたこともなかった。なんせ中学生ですから、「バイクに色を塗る商売」があるなんてことも知りませんでした。
色は、缶スプレーで塗るもんだと思っていたところに、先輩が「板金や、スゲエだろ。この色、見ろよ」って。とにかく艶がすごかったんです。ピッカピカで、「ああ、こんなふうに塗れる方法があるんだ」って大ショックでした。
これで、いくらするんですか? って聞いたら、「10万円」って言われて、また大ショックでした。

WJS それは、「高い」という意味ですか?
佐々木 はい。缶スプレーならホームセンターで買えますし、色なんて500円ぐらいで塗るもんだと思ってました。そしたら、「10万円払って塗ってきた」って、胸を張って言うわけですよ。中学生にとっての10万円なんて、今の感覚でいったら100万円ですよ。どれだけあがいても10万円なんて絶対に用意できない。

WJS 当時の佐々木さんにとって、大事件だったんですね。
佐々木 ヤバかったです。世界が変わりました。「板金屋って、何モノだ!?」って。バイクをこんなふうに塗ることができる板金屋っていう仕事に、かなり興味が沸きました。そしたら、3歳年上の別の先輩が「板金屋に就職した」って話を聞いて、すぐ家に遊びに行って「先輩、板金屋で働いておられるんですか?」って。

WJS 宏樹少年にしたら、憧れの存在ですよね。
佐々木 それで、「俺に塗り方教えてくれ」って頼み込んだんです。俺のバイクもあんなふうな色に塗り替えたい。でも、とても10万円なんて出せない。だから「俺にやり方を教えてくれ」って。そしたら、「やり方教えても、できねえよ」って言われてしまいました。「じゃあ、どうしたらできるんですか?」って必死で聞いたら、「こういう道具が必要なんだ」って見せてくれました。

WJS 今までに、見たことがない道具だったんですか?
佐々木 はい。それ見て、うわスゲェ、「こんなのがあれば、あんなふうに塗れるんだ」って。その先輩に、「俺のこの缶スプレーで、ちょっと試しに塗ってみてください」って頼んだら「塗れない」って断られた。何でですか? って聞いたら、「缶スプレーだったら、お前のほうが上手い。ちゃんとした道具だったら俺のほうが上手いけど、缶スプレーの技術じゃお前に負ける」って言われたんです。

WJS 中学生ペインターの宏樹少年は、缶スプレーでプロの道具と戦っていたのですね。
佐々木 はい。そしたら「缶スプレーはお前の方が上手いよ」って。

ジェット業界で数多くのマシンのペイントを手掛ける佐々木氏。

「俺のバイクが、世の中で最強にカッコイイだろ」と、自分のバイクを塗り上げました

WJS それもすごい話です。佐々木さん以外にも、缶スプレーでペイントしている人はいたのですか?
佐々木 デザイン力がすごい人がいましたが、その人は先輩のような道具を使っていました。でも俺は金もないし、そのとき、これ以上、上手く塗るには道具と材料が必要なんだと痛感しました。

WJS 中学生にとって、厳しい現実ですね。
佐々木 それで、板金屋の先輩に「俺は、地元で1番キレイなバイクに乗りたい! 先輩、何とか協力してくれ!!」って頼み込んだんです。そしたら、休みの日に会社から道具を全部持って帰ってきてくれて、そこで塗装のイロハを学びました。

WJS それが何歳くらいですか?
佐々木 中学を卒業してすぐぐらいですね。

WJS やはり、缶スプレーとは違いましたか?
佐々木 道具を使って実際に塗るのを見ていたら「うわっ、何これ、すごいじゃん!!」って。もうテロテロのピカピカですよ。そうしたら「もっと、もっと」ってなるじゃないですか。のめり込みますよね。「先輩、この雑誌に乗ってるギラギラのバイクはどうやって塗るんですか?」「これは、こうやってやるんだよ」みたいに教えてもらってました。

WJS 自分の思い通りに塗れるのですから、面白くて仕方ないですよね。
佐々木 そうこうしていたら、先輩が会社で使わなくなった古い道具を安く売ってくれたんです。プロの使う塗料はどこで買えるか分からないから、先輩にお金払って「買わせてください」ってお願いして。その道具と塗料で、自分のバイクを塗り上げました。そしたら自分の中で優越感が生まれるんですよ。「俺のバイクが、世の中で最強にカッコイイだろ」みたいな。

佐々木氏愛用のスプレーガン。道具にもプロの風格を感じる。

次へ(2/3)塗装の青春「説明書を読まずに始めて、手の皮がベロベロに剥けた日」

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