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国内ヘルメットペイントの第一人者・ナガイデザイン代表 長井 崇氏の新作「ピエタ(Pieta)」について聞く  ジェットスキー(水上バイク)

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NAGAI DESIGNS STORY

己の「レベルアップ」を追求し、もがき苦しむ、孤高のペイントアーティスト

レース会場でひときわ目を惹く、華やかなペイントが施されたヘルメットがある。ヘルメットという名のキャンバスに、ドクロや羽根、チェーンやクロスなどが美しく描かれているのだ。

それを手掛けるのが、Nagai Designs代表、長井 崇氏である。「同じデザインは2度と使わない」と公言する長井氏は、常に新しいヘルメットペイントを模索し、進化を続けている。今回、彼の新作ヘルメット「ピエタ(Pieta)」が完成した。


「ピエタ」は、ミケランジェロの最高傑作のひとつに数えられている彫刻である。イエス・キリストが磔刑に処されたのち、十字架から降ろされたイエスを聖母マリアが抱きかかえて悲しみにくれる様子を表している。

長井氏は、5年ほど前から、このピエタをモチーフにヘルメットのペイントをしたいと考えていたそうである。普通なら、ヘルメットのテーマとして選ばないと思われる「ピエタ」を描いたのか、その理由を聞いてみた。





絶対に依頼されない配色やデザインに、あえてチャレンジしたい

WJS 新しいヘルメットに描かれている「ピエタ(Pieta)」は、すごく素敵ですね。
長井 そういってもらえると嬉しいです。ミケランジェロの「ピエタ」をモチーフにするという構想は、5年くらい前から持っていました。いつ製作に取り掛かるか、その時期については、単純に「自分の腕が上がったら」と考えていて、「今のレベルでは、まだ無理だ」と手を付けないでいました。

WJS 完成したということは、この5年間でピエタを描ける技量に達したわけですね?
長井 腕が上がったのと、ちょっと違います。今回のコロナ渦で、考え方が変わりました。今年3月にコメディアンの志村けんさんが亡くなられたのと同時期くらいに、私の知人がコロナに感染しました。その人が出入りしていた場所に私も行っていたので、自主的に自粛生活をしていたのです。母も高齢ですし、「もし、自分が感染していて、うつしたら大変だ」という思いもありました。そのときに「人がいつまでも元気なんて、誰にも分からない。後悔しないように生きなければ」と思ったのです。

WJS ある意味、コロナがなければ生まれなかったヘルメットですね。モチーフにピエタを選んだのはなぜですか? あまりモータースポーツでは扱わない題材だと思うのですが?
長井 宗教的な意味合いでモチーフにしたのではなく、単純にアートとして素敵だと思えた。自分なりに、描いてみたかったんです。

WJS すごく丁寧な作品ですが、ペイントするうえで、相当、苦労されたのではないですか?
長井 はい。マリア様の顔から描いていったのですが、顔だけで1日かかりました。いろいろな美術誌や写真を見ても、ピエタは真横から写したものばかり。見ていただくと分かりますが、僕のは少し斜めからの角度で描いています。その点が、大変でしたね。
最も苦労したのは、全体的な調和です。想像してください。真っ白な無地のヘルメットに、ピエタだけが描かれている状態を。背景のデザインによっては、このピエタを殺してしまう。しかもヘルメットですから、ピエタも含めてレースシーンに相応しいデザインに仕上げなければなりません。

WJS 全て完璧に出来上がっていると思います。このヘルメットは、ヨーロッパのトップライダーのために作ったのですか?
長井 いえ、違います。ナガイデザインのサンプル品として作りました。僕は、依頼されて塗ることが多いので、自分の手元に作品がないんですよ。

WJS 自分が塗りたいモチーフだから、自分のために塗ったわけですね?
長井 はい。誰も頼まない色彩やデザインを、もがき苦しんで生み出す工程を通過しないと、ヘルメットペインターとして進化はありません。最も過酷な条件設定を自らに課して塗っているのが、サンプルデザインです。

WJS 失礼ですが、長井さんは今、おいくつですか?
長井 昭和37年(1962年)3月生まれ、58歳です。
WJS ありがとうございました。挑戦する姿勢に年齢は関係ないですよね。これからも素晴らしい作品を楽しみにしています。

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