ジェットスキーに乗る必須アイテムに、「快適なライディングギア」があると編集部は考えています。寒すぎても、暑すぎても、長時間ジェットスキーに乗り続けることはできません。逆に、快適な時間が長くなれば、それだけ楽しさは長く続くのです。
皆さんは「ヘルメット」を、どう思いますか? バイクに乗るときには、絶対に被らなければいけません。しかし、ジェットスキーには、そういった法律はありません。「レーサーでもあるまいし、あんな大げさなものを、なんでワザワザ被らなければならないのか?」と、考える人は多いでしょう。
その答えは、「快適」だからです。被らないほうが、当然「楽」かもしれませんが、現代の「ヘルメット」は、軽くて快適なものが多いです。実際に被ってジェットスキーに乗っても、意外と「苦」ではありません。それより、快適なことのほうが、断然多いです。
「守られている」という安心感があるのは当然ですが、時速100㎞を超えるスピードで走っているときに、頻繁に、顔に水しぶきがかかったら、目を開け続けてはいられません。何より、そのスピードで顔に当たる水しぶきは痛いです……。その不快さをシャットアウトしてくれるのが、ヘルメットとゴーグルなのです。
土砂降りの雨でも、真冬の極寒のなかでも、ヘルメットがあれば平気です。ビギナーにとっては、最初は、「ちょっと大げさだ」と思うかもしれません。でも、ベテランほど自分のヘルメットを買って持っているのは、ズバリ「快適」だからです。
「他人のヘルメット」を、別のアイテムで例えるとしたら、「他人の靴下」のような感覚です。そう考えると、あまり他人のものを借りたくないのも本音です。でも、足が冷たくて仕方がないときは、他人の靴下でもいいから欲しいですよね。
顔や目を守るアイテムには「サングラス」や「フェイスマスク」といったものもありますが、ヘルメット&ゴーグルに勝るものはないと、編集部は考えています。
数年の、真冬の荒れた海でのことです。ツーリングの撮影中に、水先案内をしてくれていたショップ店長が落水したのです。海面が大きく荒れていて、しばらく私も落水したことに気が付きませんでした。取材艇を操船していたベテランクルーが海流を読んで、浮かんでいた店長を無事救助。事なきを得ましたが、無人で波に揺られているジェットスキーを見たときは、血の気がなくなりました。
落水の原因は、波で飛び上がり、着水した瞬間の衝撃で被っていたフェイスマスクがズレてしまい、それを直そうと片手を離した瞬間、別の波を食らって、気が付いたら、結構な勢いで水面に叩きつけられたと、その店長が話してくれました。ショップ店長の彼は、当然、ジェット歴も長く、ジェットスキーの扱いも上手い人です。彼でなくも、フェイスマスクがズレて視界が塞がれた状態で、大波の中、片手で運転していたら、誰でも落水するでしょう。
ちなみに、私の場合、過去にどれくらいの数のサングラスを、海や湖、川に落としてきたか分かりません。
ヘルメットにも、いろいろな種類がありますが、ジェットスキーで使うなら、どんなヘルメットを選べば良いのでしょうか? 編集部は、あえて国内一流ブランドの「ヘルメット」をお勧めします。日本人の頭の形に合うように作られているからです。しかも、中のインナーパットも取り外して洗えます。
形は、モトクロス用、オフロード用が良いでしょう。値段は5万円前後と少々高いですが、新品なら、既製品でもインナーパットのサイズを変えて、自分の頭や顔の形にジャストフィットさせてくれるサービスも、メーカーによってはあります。もちろん、デザインもかなりイケてます。
ヘルメットなら、ズレることも落とすこともありません。過去に1度、アクセル全開で走っているときに、横波を食らって吹っ飛び、ヘルメットが脱げたことがありますが、私がアゴ紐をしっかり締めていなかったせいです。
最初に水面に叩きつけられたときは被っていましたが、水面を転がっている途中、宙に舞い上がったヘルメットが見えました。結果的に、50mほど離れた水の上で浮かんでいました。サングラスは落とすと一瞬で沈みますが、ヘルメットは沈みません。多くのサングラスを失くしてきた私ですが、ヘルメットだけは失くしたことがありません。
ヘルメットは大切です。あなたのジェットスキーライフを、より安全に、より快適にしてくれます。