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恐怖の「大漂流」、やったことありますか? ジェットスキー(水上バイク)

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朝焼けの海に流されて

ジェットスキー(以下、ジェット)を水に降ろす前には、「必ず、陸上でエンジンをかけて確認する」のは基本中の基本である。そんなことは、百も承知のはずなのに、たまに忘れる。そういうときに限って、痛い目を見る……。

朝一番、マリーナのオーナーから、「このジェットに乗って、1km先にある海水浴場で待ってて」と言われた。この日、オーナー氏と2人で、瀬戸内海ツーリングに行くことになっていた。何度も来ている場所なので、地理も分かる。「分かりました」と快諾して、準備を急いだ。
連休初日とあって、マリーナの上下架は大渋滞だ。オーナーは、手際よくお客さんのジェットを水に降ろしている。トレーラーを牽く4駆のクルマが、ドンドンやって来るのも見えた。

準備ができたグループからジェットを降ろしていくので、モタモタしていたら、順番がどんどん遅くなる。何のために、朝一番でマリーナへ来たのか、意味がなくなってしまう。
気持ちが焦った私は、普段なら絶対に忘れない「陸上でエンジンをかける」というルーティーン作業をすっかり忘れていたのだ。





急いては事を仕損じる

「君が着替えている間にガソリンを満タンにして、ドレンプラグも閉めておいたから」と、ジェットを水に降ろしながらオーナーに言われた。
渋滞を起こさないように、ダッシュでジェットに飛び乗ってテザーコードを挿し、桟橋を蹴って離れた。スタートボタンを押したときに気が付いた。「あれっ!?セルが回らない!!」。

「やってしもた~」。しばらく乗らないので、バッテリーのコードを外していたのを思い出した……。
「ジェットを降ろす前に、陸上で1度エンジンをかけて、異常がないか確認する」。当たり前のことを怠った結果がこれだ。

水の上でシートを外し、頭をエンジンルームに突っ込んだ。手を伸ばして触ってみると、案の定、バッテリーのコードが外れている。工具もないうえに、水の上で流されながらの状態では、バッテリーコードを上手く嵌められない。

気が付いたら、どんどん海に向かって流されている。マリーナに向かって大声で叫んでみるが、聞こえないようだ。誰かが、この状況に気が付いてくれることを願って叫び続けたが、こんなに近くなのに私の声は陸上まで届かない。皆、忙しそうだし、楽しげに出発準備の真っ最中だ。

これはもう、あとから来る予定のオーナーが見つけてくれることを願うばかりだ。ここは川だし水面も穏やか。命に関わることはないとは思うが、なす術もなく『流されている』というだけで、何かしら不安である。

それよりも、今、私にとっての最大の危機は、目の前に橋ゲタが迫っていることだ。ピカピカのジェットを、こんな速度で傷を付けることだけは何としても避けたい。そんな私の心配を鼻で笑うかのように、橋ゲタと橋ゲタのド真ん中を通って、無事(?)に海まで流されてくれた。

結局、オーナーが見つけてくれるまで、流されている時間はわずか5分程度である。しかしこれが、1時間にも2時間にも感じられる恐怖の時間であった。
エンジンもかからない、動かないジェットで流されていることが、こんなに怖いと初めて知った。

陸上に戻って、オーナー氏から「ジェット乗り失格!」と激怒され、踏んだり蹴ったりの休日になってしまったのである……。

今回の教訓・私のような目に遭わないためにも、絶対に、エンジンが始動するかを陸上で確認してから、水に降ろしましょう。





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