「ランドローバー」という名称は、会社の社名である。「ランドローバー社」の作っている車が「ディフェンダー」と「レンジローバー」だ。ややこしい原因は、もともと、イギリスのローバー社の作った車の名前が「ランドローバー」だったことにある。現在は、社名であり、ブランド名を指しているのだ。余計に、ややこしい。
「ランドローバー」は、1945年に終結した第2次世界大戦中に活躍したアメリカ製ジープ「ウィリス」を目標に開発された車である。それまで、イギリスには国産のシープがなかったが、1948年にイギリスの「ローバー・モーター社」が、オフロード向けの車両として開発したのだ。ボディが角ばっているのは、アルミ製パネルを多用しているため。当時のイギリスは、戦後の鉄不足に悩まされており、アルミを多用していた。その流れを、現在も受け継いでいる。
その後、同社のオフロード車や、SUVを包括するブランド名となっていった。「ランドローバー」は、1948年に初めて登場し、70年以上の歴史を持つ車である。当時から現在まで、外観の造形に劇的な変化がないのが特徴だ。
「ランドローバー」で有名なのは、イギリス陸軍の特殊部隊SAS(Special Air Service、スペシャル・エアー・サービス)で使用された「ピンクパンサー」だ。
「ディフェンダー」とは、ランドローバー・シリーズを1990年に改良した時点で付けられた車名である。強靭なラダーフレームのシャーシと、アルミニウムボディを採用。各国の軍用車両や、警察、消防車両などに、多数、採用されている。全般的に、乗り心地は決して良いとは言えない。エンジンのバリエーションは非常に多く、高馬力のエンジンは、当然、パワフルで速い。
しかし、空力の観点から見ると、高速域でこの形状は抵抗以外の何モノでもない。ベンツのAMGゲレンデワーゲンと同じで、趣味性や嗜好性のほうが重要な車だ。ラグジュアリーで、高性能なジープである。
2019年の現代、セレブ層の間でディフェンダーをカスタマイズして日常に使用するのが大流行だ。ベース車両があまり認知されていないので、恐ろしく高額にカスタマイズされている車でも、一見して、そうとは分からない。
「レンジローバー」とは、イギリス・ランドローバーが生産している高級4WD車であり、ランドローバーブランドのフラッグシップモデルである。
今回、『今さら聞けない「ランドローバー」と「レンジローバー」と「ディフェンダー」の違い』という記事を掲載した。歴史と併せての説明がなければ、なかなか分かりにくい車である。