カテゴリ
タグ
  1. TOP
  2. LIFE
  3. 風の音を聴くために  ジェットスキー(水上バイク) コラム

風の音を聴くために  ジェットスキー(水上バイク) コラム

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

風の日

バーッバババババーッババーッ。
鼓膜に、直接訴えかけてくる風の音。
果てしない大海原、アクセル全開でジェットに乗る。

風からすれば、通り道を遮るものとして、よほど私が邪魔なのだろう。
息もできないほどの向かい風が真正面から吹いてきて、体全体にぶつかっていく。
全身に当たる風の強さと、風の音に面食らう。

今日は海が荒れて風が強い。
最初は暴力的だと感じていた風の音が、慣れてくると、その気にさせる、心地よいバックサウンドに変化する。
そういうときの風の音は、まるで、ジェットで走る私に何かを語りかけてくれているようだ。
もしかしたら、この風の音を聴くために、ここでアクセルを全開にして走っているのかもしれない。

陸上の乗り物に乗っている限り、こんな純粋な風の音を聞く機会はそうそうないだろう。
自動車ならばガラスで外界と仕切られているし、バイクも少し違う気がする。
強いていえば、スカイダイビングで高度数千メートルから飛び降りた時の感覚に似ているのかもしれない。
体中に風を受けて、風の音のほかは、何も聞こえないのが全く同じだ。

最近のジェットには、ステレオが装備されている機種があるが、この風の中を走れば、風の音以外は何も聞こえない。

スカイダイビングが好きな人は、風を感じるのが好きなはずだ。
風の音を体中で感じているのだろう。
私もジェットで走る風の音が好きだ。

そう考えると、ジェットは陸上を走る乗り物とは根本的に違う。
エンジンをかけた直後から、いきなり全開走行ができるという環境にある、地球上でも稀有な乗り物だ。
そして、どんなモーターサイクルよりも、風の音を、水の飛沫を身近に感じる。

風の音は、季節によっても、天候によっても違う。
雨が降る直前の湿気を含んだ重くて暗い風。
爽やかな秋の日の乾いた風。
初夏の風は、爽やかなハーモニーを奏でてくれる。

風がふいに囁いた、「気持ちいいね」と。
このとき、私の相棒は風の音だけ。
この幸せな時間がいつまでも続けばいいのにと、心底思った。
世界中のあらゆる乗り物のなかで、ジェットは風と語りあうことができるようだ。

さあ、夏は目の前。
水辺が騒がしくなる前に、今日も独り、風の声を聞きに行くのだ。

【関連記事】
なぜ日本では売れていない? 「編集部が大好き!」世界的に大人気なSEA-DOO(シードゥ)「SPARK(スパーク)」
ジェットスキーコラム 日本で初めて世界を獲ったフリースタイラー
ジェットスキーコラム 新型コロナウイルス対策  政府が言う「感染リスクがない運動」とは?
ジェット乗りの万能アイテム・ツアーコート
ジェットスキーコラム 「格好良い」って何?
ジェットスキーコラム こんなご時世に言うのもなんですが……

ジェットスキー中古艇情報

月間アクセスランキング