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ガチの 0-400(ゼロヨン)勝負 【動画】 1,500cc自然吸気エンジン『シードゥHX』 vs 1,800ccスーパーチャージャーエンジン『ヤマハGP1800』どちらが速い?  「水上バイク」ジェットスキー

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世界と戦うリアルレースマシン vs 市販艇チューンによる「ゼロヨン加速」対決

今回は、国際レースで勝つための『本物のレース艇』が、どれだけ速いかを証明する企画である

2019年に、プロスポーツクラスで世界チャンピオンに輝いた片野丈一郎選手。今年の世界戦略艇「シードゥ HX」が完成したというので、長良川でのテストに同行させていただいた。
今回は、ECUを書き換えたノーマルのヤマハGP1800も一緒に持って来たので、「ゼロヨン(0-400m加速のタイム)」競争を行い、その性能を測ろうという。

世界タイトルを狙うマシン(HX)と、市販艇チューニング(GP1800)と比べたら、当然、レース艇が勝つだろうと思われるが、馬力も含めて基本的なスペックは、完全にGP1800のほうが優っている。

マシンのスペックの比較

  シードゥ HX ヤマハ GP1800
全長 2,730mm 3,350mm
全幅 850mm 1,220mm
乾燥質量 250kg 349kg
エンジン カワサキ 水冷4ストローク4気筒 Super Vortex High Output Engine
(スーパーチャージャー搭載)
排気量/馬力(ps) 1,498㎤/160ps 1,812㎤/250ps
最高速 120km/h 124km/h(ECUチューン時)

HXは、カワサキ1,500ccのNAエンジンで、GP1800はスーパーチャージャー搭載の1,800ccエンジンにECUチューンが施されている。最高速はGP1800のほうが4km/hほど速い。
重量は100kgほどHXのほうが軽い。

予想として、スタートこそ軽いHXのほうが先行するが、後半でGP1800が巻き返す感じになりそうだ。

公平を期すため、2台のマシンには、それぞれレーサーが乗った。
手前:シードゥHX(ライダー/片野丈一郎選手)、奥:ヤマハGP1800(ライダー/田中嘉純選手)

ゼロヨンチャレンジ、果たしてどちらのほうが加速がいいのか!?

【動画】ゼロヨン勝負!! SEA-DOO HXとYAMAHA GP1800では、どちらが加速が良かったか実験してみました


スタートの瞬間(写真1、2)から5mくらい(写真3)で、HXが前に出た。そのままドンドンGP1800を引き離していく。世界ナンバーワンを目指すマシンとはいえ、この速さに驚く。
今回のスピード差は、「船体重量」と「船体形状の違い」による部分が大きいと藤江氏。パワーは圧倒的にGP1800だが、HXの軽さとレースマシンとしてのトータルの完成度の高さが、今回の結果となった。

【写真】K1 Racing 2020 World Challenge Special HX Katano Model



マシンは、アフターパーツメーカーのフリーダム製カーボン船体に、K1 Racingオリジナルチューンが施されている。エンジンは、カワサキの1,500cc、水冷4ストローク4気筒を採用している。
総重量は250kgと、オリジナルのHXの177kgと比べて重くはなっている。足まわりは、ライドプレート、スコープゲートなど、全てコンストラクターである藤江功一氏の手が加えられている。

特徴はゼロ発進の速さだ。このマシンでの戦略は、「ホールトゥフニッシュ」だと、藤江氏は言い切る。アクセルを握ると、アッという間に時速120kmに達する。平水面では、非常に気分良くトップスピードまで持って行ってくれる。

見た目はシードゥHXだが、エンジン、船体ともに、25年前の発売当時とは全く違うマシンに仕上がっている。

K1スペシャルチューンの施された世界戦略艇「SEA-DOO HX」スペック

全長 2,730mm
全幅 850mm
エンジン カワサキ 水冷4ストローク4気筒
最大馬力 160hp
排気量 1,500cc
乾燥重量 250kg
(現在のマシンレギュレーションで、250kg以下にはできない)

【写真】YAMAHA GP 1800 Bell Factory Model

市販のヤマハGP 1800に、ECUの書き換えと足まわりチューンを行った。これだけで最高速124km/hをマークした。


【参考資料】市販艇のYAMAHA GP 1800スペック

全長 3,350mm
全幅 1,220mm
全高 1,190mm
エンジン スーパーチャージャー4気筒/4ストローク/4バルブ
1,812cc Super Vortex High Output Engine(SC)
最大馬力 183.9kW(250ps)/7,500rpm
排気量 1,812㎤
乾燥重量 349kg

 

 

世界2連覇を狙う「TEAM JOO(Bell Factory)」。
写真左から、マシンコンストラクター・藤江功一氏。中央・昨年のトリプルクラウンチャンピオン・片野丈一郎選手。右・Bell Factoryのチーム監督で、丈一郎選手の実父・宣之氏。自身もHXを駆るレーサーである。

片野丈一郎選手。

今回、GP1800に乗ってくれた現役レーサー、田中嘉純選手。

コースを走ってフィーリングを確認する片野選手。

走りを録画し、マシンの細かな挙動やライディングのチェックをする片野選手と宣之氏。

写真左側が、昨年の世界チャンピオンマシン。船体は純正ノーマル。
右が2020年の世界戦略モデル。船体はフリーダム製カーボンハル。
違いは船体のみで、エンジンやポンプなど、中身は同じ。重量も同じである。
しかし、トップスピードは昨年モデルと比べて約9km/hも速いという。同じ重さ、同じエンジンスペックなのに、これほどの違いが出るのは、ひとえに「船体形状の違い」だそうだ。


【参考資料】1995年当時の「SEA-DOO HX」スペック

全長 273cm
全幅 85cm
全高 97cm
エンジン Rotax エンジン、2ストローク・2気筒(NA)
最大馬力 85hp
排気量 718cc
乾燥重量 177kg
燃料容量 27ℓ
定員 2名
価格 1,070,000円

今回のテストを見ても、順調にマシンが仕上がっているという。
さらに、片野選手自身の進化が著しい。「本気で世界2連覇しますので、応援よろしくお願いします!」と、爽やかな笑顔で語ってくれた。


レーシンング「HX」製作の様子は、「ワールドジェットスポーツマガジン2020年9月号」にて無料公開中!

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