「 Out a Time Sports 」#6 『涙なしでは語れない「 S J・750 」クラス・泣かされ続ける S-1 戦士たち !　』伝説の名機でスラローム＆タイムアタック　（水上バイク）

今回で6回目、みんな元気で「 Out a Time Sports 」#6 ！

毎回、凝ったポスターと、大会イメージに沿ったヴィンテージ・マシンが展示される。こういったところにも、主催者の強いこだわりを感じる。

Out a Time Sports #6　開催！

「ヴィンテージ・マシン」で競う、スラローム・タイムアタック

2023年11月５日（日）、ヴィンテージジェットによるタイムアタックイベント「Out a Time Sports #6」が、神奈川県平塚市のマリーナ・リバーポートマリーナ／ジェットフィールド湘南で開催された。

このイベントは、村尾高明選手や芳賀毅選手、加藤豪選手、小原聡将選手など、本イベントの歴代上位者たちが参戦する「年に一度のヴィンテージレースイベント」だ。

スラロームのスペシャリスト、S-1（スラローム）の上位ランカーも、参戦している。

当日の天候は晴れ。水面はドベタの平水と、最高のコンディションとなった。

ビギナーから上級者まで、クラス分けがキチンとできているので、みんなが楽しめるアットホームなイベントでもある。

回を重ねるごとに参加者も増え、エントリーを断っているほどの盛況ぶりである。

一人ずつ走るタイムアタックなので、有力選手が水面に現れると参加者全員が、一挙手一投足に注目する。

ただの「遊び」ではなく、真剣勝負の"場"でもある。

今、こういう“元気なイベント”がジェット界には少ないから、貴重な機会だ。

楽しそうな参加者の顔を見ていると、「やっぱりジェットは面白い」と、つくづく感じさせてくれる。

前日に練習する「ズルい奴ら！」現る

このイベントの前日・土曜日、参加者の一部は、会場でブイを張って練習をしていたという。

頼みもしていないのに、練習風景を SNSで公開していたのを、たまたま見つけてしまった。

一応、出場する予定の取材班にしてみたら、「ズルい奴らめ」のひと言である。

こっちは公開直前の12月号製作に追われ、練習どころかジェットにも乗らない日々が続いている。

これ見よがしに練習している姿を見せられると、ザワザワと心がザワつく。

締め切りを放り投げて、今すぐにでも、練習に行きたい！

出場するからには「上位に入る！」というのは、参加者全員の心情だ。

ズルい！　と思いながら、締め切りに追われる我が身を呪うのだった。

練習している人ほど「ドツボに嵌る」。ナイスで無慈悲なデビルの「新ルール！」

ナイスで無慈悲なデビルの「新ルール！」を決めた村尾高明選手

悪徳プロモーター、今年も大活躍！　当日の朝、いきなりの"爆弾投下" に撃沈者続出!?

スラロームは実力勝負。勝ちたければ、練習あるのみ！　

だが、このイベントに関してだけは、一筋縄ではいかない仕掛けがある。

何しろ、毎年、趣向が変わるのだ。

去年は、コースのブイを1周回る、通称「くるりんぱブイ」が選手を悩ませた。

一番スピードが乗る場所でブイを1周まわるのだから、スピードが速すぎれば大回りになり、遅ければタイムロスになる。なんとも、選手泣かせのルールだった。

大会を応援している、ジェットパイロットの梶原さん（左）、ファクトリーゼロの今泉さん（右）

今年のルール、『純正ド・ノーマルの 550 』で、走る !?

今年も、もちろん特殊ルールが作られた。

イベントは、午前と午後に各1回ずつ走る 2ヒート制のタイムアタックだ。

「 MOTO・１」では自分のマシンで走れるが、「 MOTO・2 」は、全員が主催者が用意した、『純正ド・ノーマルの 550 』でチャレンジするという。

本当に性格の悪い「悪徳プロデューサー（DEVIL氏）」が、裏で“ 大笑いする姿が目に浮かぶ”、とんでもないルールだった。

このルールは、当日まで一切、公表されておらず、朝のライダーズミーティングで発表された。

選手にしてみれば、「寝耳に水」。

皆を凍り付かせたのだった。

自分のマシンで練習した人ほど苦しむ。

同じ550でも、最新のレーシング・モデルは、凄く良くできていて、とても乗りやすい。

そんな、最新モデルをココに居るメンバーに、最も販売した張本人が、決めたルールなのだ！

まさに"悪魔"なのである。

ドツボに嵌った S-1 戦士、金子聡選手（左）

スラロームのプロフェショナル、「 S-1 戦士」が “DEVILルール”の餌食に！

「参加することに意義がある」くらいの軽い気持ちの人には問題なかっただろうが、1年間、この日のために練習をしてきた“ガチ勢”にしたら、目の前が真っ暗になる新ルールだ。

そして、このルールの最大の被害者は、スラロームのスペシャリストたち（S-1戦士）であった。

「スーパージェット／750クラス」の MOTO・1で、トップタイムを叩き出したのは S-1チャンピオン・関泰光選手。

2位が同じくS-1チャンピオン・金子聡選手だった。

なんと、2人のタイムは、現在、国内のスキークラス最速の男・小原聡将選手を凌駕するほど速かった。

見ていても、関選手の速さは群を抜いていた。

関選手はマイマシンで、小原選手は、当日ぶっつけ本番で乗った 750 ということを差し引いても、立派な成績だ。

金子聡選手は、本番直前の練習で「マシンが壊れる」というアクシデントに見舞われ、急遽、関選手のマシンに乗って、小原選手よりも速いタイムを叩き出したのだ！

正に、スラロームの職人「 S-1 戦士」の、面目躍如であった。

「 MOTO・1 」上位 3位までの結果

1 位・関泰光選手／MOTO・1 タイム：２９秒２５

さすが、S-1 スラローム　世界チャンピオン！

2 位・金子聡選手／MOTO・1 タイム：３０秒０１

他人のマシンなのに、さすが、S-1 スラローム　日本チャンピオン！金子聡選手は（左から 3人目）

3 位・小原聡将選手／MOTO・1 タイム：３０秒１６

初めて、乗ったマシンでこのタイム、凄すぎる！

S-1戦士に立ちふさがる「 MOTO・２」の壁！　ノーマルの 550 でドツボに嵌る

　
しかし、「 MOTO・２」での『純正ド・ノーマルの 550 』という特別ルールが、S-1戦士たちに立ちふさがる。

初めて乗るマシン。

しかもヤマハ・スーパージェットとカワサキ・550では、サイズも挙動も違う。

金子選手は途中で転倒し、倍以上のタイムでゴールした。

同じ水面で同じマシンに乗れば、その違いが歴然となる。

小原選手が天才だと思うのは、初見のマシンでも乗りこなせてしまうことだ。

MOTO・２の特別ルールを考えたのは、村尾“DEVIL”高明選手である。

出場者の半数以上が、彼からレース用の550を購入しているのに、イベントでは「純正・550」で戦わせる。

やっぱり「村尾高明は"悪魔"なのである」。