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ジェットスキーの世界大会 フリースタイル・チャンピオン 日本人獲得の快挙 タイ編(3/3)

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マシンビルダーに聞く今大会

今回、山本汰司選手の優勝セレモニーのあと、私は真っ先にマシンコンストラクターである渡部文一氏の話を聞きたくなった。チーム員である山本選手が、公式戦で初めて世界王者のリー・ストーン選手に勝ったからだ。さらに、今大会からリー選手のエンジンもサポートしている。両選手に深く関わっている渡部氏が、今、どのように感じているのか知りたかった。

話を伺ったBUN FREESTYLE代表・渡部文一氏。

同じエンジンを積んだ2人の戦いを、コンストラクターはどう見たのか?

WJS 山本汰司選手の優勝、おめでとうございます。愛弟子である山本選手が、リー・ストーン選手を破っての勝利ですから、フリースタイルの師匠としては非常に喜ばしいのではないですか?
渡部 うーん。まぁ、ミスも2、3カ所ありましたけどね。個人的には嬉しいのかな。でもBUN FREESTYLEというチームの代表者として言えば、時間がないなかでウチのエンジンを積んでくれて、あれだけのパフォーマンスを披露したリー選手に心から感謝したいと思います。2人とも最高の演技を見せてくれました。

WJS 山本選手の演技は、すごくハイレベルに見えましたが、渡部さんから見たら不満な点があるのですか?
渡部 ダブルバックフリップからバレルロールという連続トリックを成功させ、いい流れのまま、中盤にルーティンの「キモ」であるファイブフォーティからのダブルバックフリップも成功させた。これで彼も、自分のルーティンにドンドン乗っていけたと感じています。でも、まだ修正箇所はたくさんあります。

WJS 完璧な演技に見えたのですが、修正というのは何をするのですか?
渡部 連続トリックの終わりに水に刺さったり、演技中に少し転んだりとかね。コケるのは、絶対ダメなんで……。

WJS 今回、山本選手とリー選手が、同じ「WAZエンジン」を搭載したマシンでしたよね?
渡部 タイに来て、僕も一緒になっていろいろとテストをしたり、トータル的なバランスを出したりということをやりました。2日間くらいだけど、それであそこまで持ってきたっていうのは、やっぱりリー選手は素晴らしいライダーだと思う。もっと時間があれば、皆がもっと驚くような技をやってくれると思います。

WJS 山本選手についてはいかがですか?
渡部 今日が「完璧な演技か」と聞かれたら、「もっともっとできることがある」と思います。まだまだ自分の技を磨いていく必要があると思います。チームの代表者としての立場で話すと、汰司がガチで勝ったんだけれど、リー選手には時間がなかった。そのなかでは良くできたのではないかと思うし、その道を選んでくれたことに感謝したいと思います。

WJS それなら、今大会は渡部さんにとって大満足ですね?
渡部 はい。汰司とリー選手のどっちが1番になってもね。それよりも、彼らの持っている技術を、いかにウチのマシンなり、エンジンによって引き出して、高めてあげられるかです。それにより、オーディエンスを喜ばせ、感動させることが僕の夢でもあり、目的でもあります。

WJS この大会では、山本選手のほかに、BUN FREESTYLEからは坂井田和明選手、福田憲男選手、岡本輝正選手も出場されましたが、どの選手も良かったと思います。
渡部 そうですね。現在のフリースタイルはリー選手、汰司というように、右へならえで進化していきます。福田、岡本にも、他のメンバーを引っ張っていって欲しいです。

WJS 渡部さんご自身も世界チャンピオンホルダーですが、やはり勝ったときの喜びはひとしおですか?
渡部 自分がワールドチャンピオンを獲得したときもそうでしたが、私は、意外と喜べないんです。「勝ち」に疎いのかもしれませんね。勝ちは、順位。つまり結果です。100点満点の演技をして勝ったのなら喜んでいいのかもしれませんけれど、そうでなければそれほど喜べない。むしろ、「次のステージへ行かなければ」と考えてしまいます。
WJS 実際にやっている人でないと分からない貴重なお話、ありがとうございました。

ワンフットのバックフリップを決める坂井田和明選手。

坂井田選手は、日の丸の旗を持ったままファーストトリックに臨み、ギャラリーを驚かせた。

十八番の「マドンナ」を完璧に決めた坂井田選手。

福田憲男選手は、「高さ」でギャラリーを驚かせた。

表彰式直後。写真左から、マーク・ゴメス選手、リー・ストーン選手、山本汰司選手。

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