ツーリングに行ったとき、ごくまれに走っていてツマラナイと感じる日がある。
風光明媚な景色で、お天気は最高。水面も穏やかで、爽やかな風が吹いている。最高のコンディションだ。
本来であれば、ツマラナイと感じるわけがない。でも、ライディングだけが少し退屈……。
かといって、1日中ツマラナイわけではない。でも、本来ならもっと「走っている」こと自体が面白いと感じるはずなのに……。この海を走るために、遠路はるばるやって来たのに……。
これは水面コンディションのせいなのだ。
私が思い浮かべる「嫌な水面」とは、「ゆるい向かい風で、中途半端に海が荒れている。スピードを出していない割りに波の衝撃がキツい」ことをいう。
もう少しスピードを上げたいのだが、そうするとジェットスキーが暴れて、操船が困難になる。
長時間走り続けるペースとしては、少し遅くて不快。しかし。ペースを上げれば非常に体力を奪われる。
必然的にツマラナイとしかいえない状態で走り続けることになる。
こういうときは、一緒に走る仲間たちも皆、同じ気持ちのようだ。もちろん、全員、立派な大人だから、「ツマラナイ」なんて言わない。でも、ジェットツーリングにハマっていた人がやめる理由のトップ3に「この退屈な水面の記憶」はあると思う。気象条件の少しの違いで、退屈とは感じないこともある。
しかし不思議なもので、すごく楽しい水面を走った思い出と同じくらい、いや、それ以上に記憶に残るのがこういう「ツマラナイ」水面だ。
生涯忘れられない日は「大きなうねりの中を走った」とか、「土砂降りの大雨に遭遇した」とか、気象条件の変化によることが大きい。ドベタの平水が続く海で、予定通りの長距離ツーリングを行い、平穏無事に1日を終えて、心から充実感や満足感に満たされる日もある。いずれにしても、わずかな気象条件の変化で体感が変わるのだ。
ジェットに乗ることは、基本的に楽しい。しかし、楽しめる水面とそうでないときが、現実にはある。
だからこそ、今日も海へと繰り出すのかもしれない。ツマラナイと感じるときがあるからこそ、楽しいと感じたときの喜びが増すのだから……。
もし、あなたがツーリング中に、「退屈だな」と感じたら、「ああ、このことを言っていたのだな」と思い出してくれると嬉しい。走っていて、「退屈な時間のほうが長い」と感じても、絶対に楽しい時間はやってくる。それは人生と同じかもしれない……。
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