「水上バイク」のニューモデル・コロナの影響で納期が遅い。現在、半導体不足による減産と海外物流の影響で、お店で「即買い」はできません（ジェットスキー）

今、新艇の水上バイクが購入できない！

2022年モデル（最新モデル）の水上バイクを新艇で買おうと思ったら、自動車やバイクと同じように、ジェットショップに行って予約をしなければ買えません。しかし、コロナ禍の今、水上バイクが「買えない」状況となっています。新艇がないなら「型落ちの2021年モデルでも」と思っても、人気モデルのほとんどが昨年のうちに完売しています。

「需要と供給」のバランスが、圧倒的に崩れている

自動車業界でも、新車が納車されるまでの期間が非常に長くなっています。従来までなら1～2カ月待ちだったのが、現在は3カ月以上を要するモデルもザラにあります。人気機種なんて、数年待ちという状況です。新型コロナウィルスの影響で、半導体をはじめ、部品の調達が間に合わないことに起因します。さらに、海外からの物流も滞っています。経済活動の再開に力を入れ始めた国や地域もありますが、半導体などの生産が滞っているにもかかわらず、需要は増加傾向にあります。供給不足が、より深刻化しているのです。

水上バイクは「海外からの輸入品」です

ヤマハやカワサキが日本のメーカーなので、水上バイクは日本で作られていると思う方もいるかもしれませんが、実際はアメリカやカナダから運ばれてくる輸入品です。そのため、入荷状況としては自動車やバイクと同じで品薄です。深刻なのは、部品不足が改善される時期が未定で、明確な目途が立っていないことにあります。

水上バイクの販売が、自動車やバイクと決定的に違うのは、自動車のディーラーは新車の在庫を持たず、注文に応じてメーカーに発注するのに対し、水上バイクは各ジェットショップが販売を見込める分を事前にメーカーに発注し、その数しかジェットショップには入荷しません。あとから欲しいといっても、メーカーにも余剰在庫がないのです。

水上バイクはアメリカやカナダで製造されて日本に輸入されている。

2022年モデルは、いつ手元に届くの？

現在、メーカーからジェットショップに新艇が納められる時期が、4月以降となっている人気モデルが多くあります。コロナ前であれば、年が明ける前からジェットショップへ入荷が始まり、ゴールデンウィークまでには全てのモデルのデリバリーが完了していたので、昨年と今年は、かなり異例なこととなっています。デリバリーの始まったニューモデルも数が少なく、昨年から予約していたユーザーでも、まだ手にできていません。そのため、「いつ買える？」と聞かれても、正確な納期が分からない。「だいたい何月ごろには」という話すら言えないのが現状です。

中古の水上バイクは、「程度の見分け」が非常に難しい。クルマやバイクとは違う。

中古の水上バイクの相場が上がっている

「すぐに買える水上バイク」といえば、中古艇になりますが、ここ最近、急激に価格が高騰しています。理由は言わずもがな、「新艇が買えない」から。それなら、高年式で程度の良い中古艇を探すのは当然のことでしょう。

しかし、自動車と違って水上バイクの中古は、「程度の見分け」が非常に難しい代物です。オーナーの使い方によって、コンディションが大きく変わります。淡水で乗っていたか、海水で乗っていたかでも、状態が全く違う。当然、海水で乗っているほうが、淡水使用よりも「塩害」が心配されます。さらに、「善良で無知なオーナー」が乗っていたエンジンは、レースで使用し消耗したエンジンよりも程度が悪いということも良くあります。

中古艇の良し悪しは、素人では判断できません

水上バイクの場合、初心者でも全く波のない水面なら、ゼロ発進からいきなりアクセル全開で走り続けられます。自動車でいえば、エンジンを掛けたと同時にアクセルを目一杯踏み込んでいるのと同じです。暖気なしで、アクセル全開にできるのが水上バイクですが、これがエンジンにいいわけがありません。

また、アクセル全開のまま波で跳ねて、空中に浮いてもアクセルを緩めないのが初心者の特徴です。水上バイクのエンジンの最高回転数は8000回転近い。その回転数のまま空中に飛び上がり、エンジンが空回りしたら、どれだけのダメージを受けるか少し考えれば理解できるでしょう。

そういうことを理解して大切に乗った5年前のモデルと、エンジンに負担をかけ続けて4、5回乗っただけの去年モデルでは、どちらのほうがいい状態かといえば、5年前のモデルの方が良いというケースは多々あります。水上バイクを中古で購入する場合、前のオーナーの使い方次第で程度が全く違うので、リスクが高いことも覚えておいてください。購入する前に試乗を断るような人からは買わないほうがいいです。