カテゴリ
タグ
  1. TOP
  2. BEGINNER
  3. 大変だ、ジェットが壊れた! 動かないジェットはゲレンデの「迷惑」 大問題は“クルマ”と違って、直せる“人”が少ないこと ジェットスキー(水上バイク)

大変だ、ジェットが壊れた! 動かないジェットはゲレンデの「迷惑」 大問題は“クルマ”と違って、直せる“人”が少ないこと ジェットスキー(水上バイク)

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

アクセル全開走行中、急にエンジンから違和感が……

つい先日、いつものゲレンデでブイをまわっているとき、エンジンが急にスムーズにふけ上がらなくなった。
プラグが被ったような感じで、違和感を覚えた。「スムーズに走るように」と願いながら、恐る恐るアクセルを握ってみる。しかし、症状は余計にひどくなり、あきらかに最高速まで遅くなったのである。

いつものように、調子よく走っていたマイジェットが突然不調に!?

原因が分からず、仲間に聞きまくった

今まで、ずっと調子良く走っていたのにどうしたのだろう? エンジンルームで、何かが外れただけ? っていうか、これ、かなりおかしい症状だよな! まさか、壊れた!?

さまざまな理由が頭をよぎる。何もしていないのにスピードが上がらないことに動揺して、その場にいた仲間たちにいろいろと聞いて回った。挙句に「乗ってみて」と、上級者の仲間にお願いする。
冬のゲレンデは人が少ない。だからブイの設置やマシンの上下架は皆で協力しあう。助け合いながら練習しているときに1台が壊れると、かなり迷惑なのだ。誰も迷惑と考えてはいないだろうが「自分が原因だ」と思うと気が引ける。全く迷惑な話である。

みんな、自分のマシンのように親身になって考えてくれる。船内のエンジンルームに水が溜まっていた。

船内に水が入る理由ってどういうこと?

陸上に上げると、エンジンルームの底に水が溜まっていた。
「バルクヘッド部分のゴムのブーツが劣化したのでは?」
「エンジンが不調なのは、船内に溜まった水をカップリングで巻き上げた?」
「その水をエアクリーナーから吸い込んで、エンジンにダメージを与えたのでは?」

さまざまな憶測で盛り上がるゲレンデ。しかし、どれもあまり嬉しい内容ではない。そして「これ以上乗らないほうが良い」ことだけは理解できた。

ランチャーに乗せ、ジェットを水に沈めてエンジンをかける。アクセルを開けてドライブシャフトの近くから、水が浸入するかどうかを確認する。少量の水がエンジンルームに入ってくるのが見えた。

陸に上げると、ハルの両サイドを伝って水が流れ落ちてくる。場所を特定したいのに、肉眼では分からない。大の大人が3人そろって船体をのぞき込んでいる姿は、他人から見たら「変な人たち」だろう。皆さん、ありがとうございます。

このままだと、らちがあかないのでショップ店長にみてもらうことにした。エンジンが全損していたらどうしよう……。気持ちが落ち込む。バギーで運んでもらっているのに、ジェットがやけに重く感じる。

ジェットのお医者さん・ショップ店長に原因を調べてもらう

いつもお世話になっているジェットショップ、55Heavenの加藤店長に泣きつき、状況を説明してジェットを診てもらうことにした。状況を察した加藤店長は、「故障原因と故障箇所を確認しましょう」と言ってくれた。
ジェットの故障は、人の病気と同じである。「どこか悪いのか」と「症状」が分からなければ治療できない。

まず船内に水が入った理由を調べることから始める。「エンジンルームに水を溜めて」と店長は言った。

店長の指示でエンジンルームに水を貯める。

原因究明のため、エンジンルームに水を入れる

我々が推測していた可能性の一つ、「バルクヘッド部分のゴムのブーツが劣化した」のであれば、溜まった水がそこから漏れるはずだ。しかし、水はエンジンルームに溜まったままだった。ハルに穴が空いていても水は漏れるはずだが、それもない。

次に調べるのは「冷却ライン」だ。ホースに異常がある場合、そこからエンジンルームに水が溜まることになる。

そこで、溜まっていた水をドレンから抜く。エンジンを始動して、冷却ラインから水道水を注入してみたが、そこでも異常は見つからなかった。

エアクリーナーを外してエンジンルーム内の異常を探す。「ビルジのホース」が“外れて”いるのを店長が見つけた。

原因は「ビルジのホース抜け」だったのか!?

「ビルジのホース」を繋いだ加藤店長から、「これで“大丈夫”だと思う」「今から、プラグが生きているかどうかを確認する」「問題なければ乗ってきて!」と言われた。乗って確認しないと“直ったのか分からない”からだ。

しかし、理解が出来ないのは、なぜ「ビルジのホース抜け」でエンジンが吹け上がらなくなったのかである。

念のために火花が飛ぶか、プラグを1本ずつ外して確認する。プラグの火花が飛ぶことを確認し、試しに乗ってみることにする。

試し乗りの結果はいかに

エンジンを掛けて走り出すが、やっぱり何か変だ。どんどん“振動がひどく”なるし、カブッてる感覚でエンジンが吹け上がらない。
「まだ直っていない」と感じたが夕暮れも近い。皆と一緒に、あと片付けするほうが先だ。

後片付けを始めても、マシンの不調で気分はブルー。原因不明はツライ。

ジェットのことが気になっていると、普段よりもSX-Rが重く感じる。

迷惑を承知で、もう一度、店長に診てもらうことにした

まだジェットが不調なことにガックリと肩を落とし、加藤店長に状況を説明した。それを聞いた店長は、「プラグを全部、新品と換えよう」と言った。

先ほど火花が飛んだことは確認済みだが、「プラグが不調であれば振動が出る」というのだ。火花が飛んだり飛ばなかったりすることで、スムーズにエンジンが動かないせいだと教えてくれた。

「それなら、プラグを全部、新品と換えちゃおうね!」と、加藤店長は言った。

プラグを変えたら、エンジンは絶好調!

修理してもらい、キチンと直ったか確認するには、再び走らせるしかない。
もしかしたら、自分のマシンはダメなのかも……と、思いながらエンジンを掛けて走り出した。

水面は、冬の夕暮れ前のドベタの平水。今までの不調がウソのようだ。「バキューン!」と、何とも言えない絶好調の走り。自分が一番驚いた。

振動は全くない。体で感じるマシンの挙動は絶好調! 頭が“変”になりそうだ。なんでこんなに違うんだ? 一体、今までの不調は何だったんだ!?

絶好調! 全く振動もない爽やかなエンジンの吹け上がり!

仲間はもうジェットを上げてしまったので、一人で岸まで上げることになる。濡れない深さまで持って行けば店長が助けてくれる。

重い! 波で何度も押し流されながら、ジェットをランチャーに載せる。全力で引き上げる。疲れた体に、これはキツイ。

加藤店長が、ライフジャケットを引っ張って、ジェットの引き上げを手伝ってくれる。「俺、“お金と時間”を使って、何やってんだろう」と、真剣に思い悩む「幸せな時間」である。

SX-Rの故障原因はどこにあったのか?

今回の不調を、時系列で追ってみるとこうなった。
① ビルジのホースが外れて、エンジンルーム内に水が逆流して入り込んだ。
② それをエアクリーナーが吸い込み、水分がエンジンに入ってしまった。
③ そのせいでプラグが不調を起こし、エンジンに違和感を覚えた。
④ ホースを嵌め直し、プラグが生きているかを確認して走らせたが不調は直らなかった。
⑤ 全てのプラグを新品に交換したら完治した。

たかがプラグされどプラグ。こんなに変わるなんて思わなかった。加藤店長、ありがとうございました。

ショップ店長の憂鬱

世のショップ店長は、お客さんからの「ちょっと見て!」が嫌だという話を以前、紹介した。これはまさに、今日の私のケースである。
仕事中にイキナリ現れ、世界で一番不幸そうな顔をして「ちょっと見て!」と叫ぶヤツのことである。

客からしてみれば、ジェットの不調は「何も悪いことをしていない善良な私に、突然降り注いだ災難」である。
しかし、泣きつく先も、直すのも店長である。喚いている私は見ているだけだ。

店長からしてみれば、今やっている作業を止めて、「問答無用で、私のジェットを修理しろ」と言われているのと同じである。不幸なのは、客ではなく店長のほうだ。

今日の私は、店長を巻き込み、さんざん大騒ぎした挙句、修理の内容は「ビルジホースの外れとプラグの交換」だけである。

エンジンを降ろして、何らかの作業をすれば工賃も含めて”商売”になるのかもしれない。しかし、何度も付き合わされ、大騒ぎした末が「プラグ交換だけ」だったら、いくらの金額が請求できるのか? とてもじゃないが、割に合わない。

世のジェットユーザーの皆さま、常日頃から、自分の良く行くショップの店長には”優しく”しておいたほうが良いですよ。困ったときには彼しか頼る人がいないのだから。

プラグの交換でも修理は修理。プロに診てもらわないと、まともに走らないことを身に沁みて痛感した。

初めから、故障の原因が分かっていたら、誰も苦労なんてしない。ジェットの場合、故障の原因を見つけるのが大変なのだ。それは壊れる要素が多いからである。

今日のケースで言うと、「ビルジホースの外れ」は故障なのかもしれないが、「プラグ」に関しては「整備不良」と言われるべきだ。プラグは消耗品なのに1年以上も交換していない。だから、不調の理由は「ビルジホースの外れより、プラグの寿命」であったのかもしれない。いずれにせよ「分からないから故障」なのだ。

どんな些細な理由であれ、ジェットに乗りに来てマシンが不調だと、途轍もなく不運な気持ちを味わうことになる。この理不尽な気分は、「故障理由が分かって、完治する」まで永遠に続く。店長に泣きついて復活するまでの約2時間、私はかなり不幸な男であった。しかし、それ以上に不幸なのは、私の大騒ぎに付き合わされた店長である……。

店長、本日は大変申し訳ありませんでした。そして、いつもありがとうございます。

真冬のゲレンデは、スタンドアップが多い。

壊れたことを「突然の不幸」と思っているが、実は原因は、”自分”にあることが多い。実は私、新艇を買ってから4年間、一度もプラグの交換をしていないのだ。そう考えると、いつ壊れても不思議ではない。「突然の不幸」は、急に飛び込んできて修理させられるショップ店長なのである。


【関連記事】
兵庫県の新たな法律「水上バイク対策ルール」を作るのなら、善意の人が「必ず守れる」内容に!
徹底解説!ジェットスキーのフラッグシップ・2022年 カワサキ「ULTRA 310 LX」とは!?怒涛の310馬力
【試乗記】2022年 カワサキ「ULTRA 310 LX」怒涛の加速・310馬力のモンスター・マシンの走り
おかしな世の中、事件のたびに規制が増える!? やってらんない! ガソリンが自由に買えなくなったら、どうしてくれる?
危険走行で刑務所へ! 明石市長、水上バイク危険運転に「懲役刑」の方針! 全ては市民の命を守るために
「悪質で危険・愚かで悲しい!」「水上バイク問題」究極の「解決方法」とは?
2022年 BRP SEA-DOO(シードゥ)ニューモデル国内全モデルラインナップ
2021年 ヤマハ マリンジェット ニューモデル
2022年 カワサキ ジェットスキー ニューモデル国内全モデルラインナップ

ジェットスキー中古艇情報

月間アクセスランキング