水上バイクは、乗り終わった後、汚れたら水で洗う必要があります。外観(ボディ)はクルマと同じように水をかけて洗いますが、淡水で乗った場合はそれほど神経質になる必要がありません。
決定的にクルマを洗うのと違うのは「海で乗った場合」です。よく、沖縄や海外の南の島で、年式の古いトラックのボディに穴が空いているトラックを見ることがあります。海水(塩分)は、鉄や金属部分にとっては大敵なのです。
これと同じように、水上バイクにも「塩分」は大敵。海で乗ったときは、毎回必ずキレイに洗う必要があります。この場合、汚れを取り除くというよりも、「塩分を洗い流す」ことが目的です。
実は、海水を洗い流す「水洗い」のときに、水上バイクを壊してしまうユーザーが非常に多いのです。
洗い方の手順
1 外観ボディを洗う 船体の洗い方
2 エンジンルームを洗う エンジンルームの洗い方
3 冷却ラインを洗う 冷却経路の洗い方(コレが問題!)
4 水をふき取り 潤滑剤や防錆材を塗る 潤滑・防錆
5 洗艇後 保管の仕方 乾燥・保管
この季節、今シーズンの初乗りを終えた人も多いでしょう。そこで、今回のテーマは「水洗い」。ていねいに外観を洗うことで、細かな傷や錆、ヤレが出始めているところが見えてきます。普段は見過ごしがちな、愛艇の「今の状況」が、見えてきますよ。
水上バイクを水洗いする際に壊してしまう大きな原因のひとつは、「エンジン内部に水を入れてしまう」ことです。
水洗いをする目的が、「塩分の除去」である以上、金属部分の多いエンジンルーム内も水をかけて塩を洗い流す必要があります。
クルマの場合、ボンネットを開けて「エンジンに水をかけて洗う」ということは、整備のプロしかやりません。しかし水上バイクの場合、海で乗るたびに、持ち主がエンジンルームに水をかけて洗います。
水上バイクであろうが、クルマやバイクであろうが、エアフィルターから空気を吸い込んでいます。
水洗時にエアフィルターに水が含まれていれば、エンジン内部に水が入ってしまい、当然、エンジンは壊れます。
水上バイクの場合は、持ち主が水洗いをするケースが多いので、水をかける人間が、「どこから空気を吸いこんでいるのか」を知らないければ、そこに水をかけてしまい、エンジン内部に水を入れることになります。
エアインテークとは、エンジンに空気を取り入れる入口のこと。
この写真はヤマハFX用エアインテークです。真正面に空いている穴に水が入らなければ「OK」。
2枚下の写真(ピンクで塗った部分)でも分かるように、エンジンルームのフロント側に穴が開いています。だから、水洗時に水を入れるのが難しいくらいなので、それほど気にせずエンジンルーム全体を洗いましょう。
冷却ラインを洗うときには、必ずエンジンを始動させていなければなりません。これは、エンジンが停止した状態で冷却ラインから水を入れると、エンジン内部に水が入ってしまうからです。
マフラーをはじめとする排気系のパーツは、エンジンと接続しています。エンジンが動いていれば、水洗いのときに水を流しても、排気圧で水が浸入しないので大丈夫です。
だから冷却ラインを洗うときは、「エンジンを始動させてから、水道水を流す」ようにしてください。でなければ、「水没」と同じように、エンジンに水が入ってしまいます。
上記③の「陸上でのアイドリング時間」のなかで、各メーカー指定時間の「最後の1分間」だけ塩害防止剤を使う。塩害防止剤の詳細な使い方については、こちらをクリック。
エンジンルームのパーツの種類によって、潤滑剤、防錆剤を使い分けます。
下の写真は、今回使用したケミカル一例。
エンジンルームは、湿気を帯びやすく、気温の変化で結露する。 毎週ジェットに乗りに行くならいいけれど、ちょっと間があくようなら除湿剤などを入れて、エンジンルーム内に湿気が溜まらないようにしましょう。
保管時はシートを密閉せず、船体との間に隙間を開けて風通しをよくしておきます。そのうえから、船体にカバーをかけて保管します。エンジンルームの中に、押し入れ用の除湿剤などを入れておくのも効果的です。
専門ショップで水上バイクを購入したら、最初に「水上バイクの洗い方」を教えてもらいます。このときにこういった「取り扱い説明」を聞いているはずです。(もし、教えてもらっていなければ、そこは信頼できないショップかもしれません) しかし、『なぜそうするのか』を理解していなかったために、水洗い時に「壊してしまった」ケースはとてもよくあります。
極論をいえば、水上バイクは「水洗時にエンジンに水を入れてしまう」ことで、ユーザーによって壊されているのです。メカニズムを知って、水洗いのときに壊すことがないようにしたいものですね。
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