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裸足のマーメイドならぬ……

今から30年以上前。私が高校生のとき、夏休みに引越しのアルバイトをしたことがある。日本全国、長距離トラックの助手席に乗っかって、いろいろな場所に荷物を運んだ。
一度だけ「ワケありの夜逃げ」という引越しを経験した。お客様本人から、「今日は夜逃げだ」と告げられたので間違いない。

夕方、大阪市内の自宅から荷物を積み込み、夜中に高速道路を飛ばして山口県へ。朝には引越し先に到着した。
太陽が出ている間は、「作業はNG」と言われ、日が暮れるまでトラックの中で眠った。夕方7時すぎから荷物を運び込み、夜中の3時過ぎまでかかって引っ越し作業を終えた。結構な額の御祝儀をもらって、ホクホク顔の運転手と帰路に着いたのだ。

走り出して1時間ぐらいで夜明けを迎えた。2車線の道路の両サイド、ただただ真っ暗だった景色が、夜明けとともに片方はオーシャンブルーの海、もう片方は深い山に変わっていた。
真夏のハードな引越しのあとだ。多額のご祝儀のおかげで気分は良いが、汗が乾いた体が気持ち悪い。運転していた兄貴分が、急にトラックを止めた。そして、海を見ながら私に言った。
「飛び込もうぜ」。

水着が……と私が言うと、「アホか? 誰も見てないし、こんな時間に、こんな場所、誰も来ない」と言いながら服を脱ぎ、防波堤の上から海に飛び込んだ。
18歳の私も、もちろん飛び込んだ。兄貴分はパンツを穿いていたが、無垢な私は素っ裸だ。
張りつめた緊迫感のなかでの引っ越し作業。汗だくの重労働から解放された帰宅中、大阪では絶対にお目にかかれないマリンブルーの海を、真っ裸で泳ぐ気持ちの良さといったらもう……。言葉にできないくらいだった。



メチャクチャ綺麗な海とマッパ

先日、ジェット業界の偉い方と話をしたとき、「メチャクチャ綺麗な海と裸」の話が出た。その人には大学生の息子さんがいて、ときおり2人でジェットに行くという。

ある夏、日本海でジェットに乗って遊んでいたとき、あまりの海の素晴らしさに、突然、その息子さんが叫んだ。

「オヤジ、マッパ(真っ裸)で乗ろうぜ!」。
開放的な大自然が言わせた言葉だと思う。

その人はサバけた性格でもあったので、息子さんの提案に乗った。
しかし、我が業界の「社会的地位」と「大人の分別」が言わせた言葉がある。

「息子よ、ライジャケだけは着ようぜ」

かくして、素っ裸にライフジャケットを着た2人乗りのジェットが、日本海を疾走することになったらしい。
その話を聞いて、思わず私は思った。写真を撮りたかった……と。

話のあと、偉い人が言った。「誰にも言っちゃダメだよ」。
ハイ、もちろん。こんな素敵な話、謹んで掲載させていただきます。


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