猫にデッキマットを爪で引っかかれるという被害にあったジェットショップは多い。傷ひとつ付いていない新艇のマットを、いとも簡単にやっつける猫の爪。「猫にデッキマット」とは、昔からジェット関係者で言われている格言だ。
想像だが、人間が耳掃除しているのと同じような快感を、猫はデッキマットで得ているのかもしれない。そう考えると、猫の気持ちもまんざら分からなくもない。
しかし、被害にあったほうは、たまったもんじゃない。
話は変わるが、「猫」という生き物、これほど地方や国などによって、言い伝えの意味合いが違う動物も珍しい。
例えば、欧米では黒猫は「不吉の象徴」とする地域がある。ベルギーのイーベルという町では、19世紀まで時計台から黒猫を投げ殺すという行事が、実際に行われていたそうだ。黒猫を不吉とする傾向は、今もヨーロッパに残っている。猫も、たまったもんじゃない。
逆にイギリスでは、黒猫は「幸運の象徴」とされているのだ。
我が国では、猫は幸運を引き寄せる動物と解釈されている。「黒猫が横切ったら縁起が悪い」と言われることもあるが、あれも本来は、黒猫は「福の象徴」なのに、その「福」に素通りされるなんて縁がないという意味であって、黒猫自体が不吉なわけではない。
猫が崇められてきた理由は「夜に目が利く」から、「福猫」として魔除けや商売繁盛の象徴にされている。飲食店などで片手を挙げた「招き猫」を見ることがあるだろう。特に黒い招き猫は、「魔除け」「厄除け」の意味がある。色だけでなく、猫がどちらの手を挙げているかでも意味が違ってくる。
まあ、聞きかじりの知識なので、猫のうんちくはこのへんで止めておこう。どちらにしても、ジェットのデッキマットを巡る、猫との攻防戦は続くのだ。
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