東京オリンピック・パラリンピック組織委員会大会運営局元次長の逮捕を受け、8日午前、東京都の小池百合子知事は報道陣の取材に「(組織委)幹部の逮捕ということで、報道を承知しております。遺憾に思います。捜査に全面的に協力することを願っています」と述べた。
新型コロナウイルスが蔓延する中、当時の菅 義偉総理大臣や小池東京都知事ら、開催を指示する人々によって東京オリンピックが強硬開催された。
終わってみたら、不祥事がドンドン明るみに出てくる。
今回の東京2020大会は、“コンパクトオリンピック”と銘打ち、開催地に立候補したときの予算は7340億円だった。しかし、終わってみれば昨年12月の会計検査院の報告では1兆6989億円となっている。
これは、あくまで東京2020大会開催にかかった費用で、これから先も競技場などの維持費は別にかかる。国立競技場は、2022年度だけで維持管理費などで約13億円の赤字、さらに、土地の賃借料も11億円ほどかかるという。
この先も全て、このお金は税金によって賄われることになる。
開催地のトップである小池知事が「遺憾に思います」で済ますようでは、この国の汚職は永遠になくならない。
本誌は水上バイクの専門誌であるが、現在、水上バイクの世界で、最も権威のある大会のひとつが、毎年タイのパタヤで行われている「JET SKI World Cup」である。
世界的に水上バイクレースが低迷するなか、この大会だけはエントリー数は右肩上がりで増え続けている。昨年(2022年)の大会でいえば、タイ国際航空、トヨタ、タイ国スポーツ庁、国民スポーツ振興基金、アジアで急成長している保険グループのひとつDirect Asiaなどがメインスポンサーとして名を連ねている。
この大会が成功している要因のひとつが、「大会運営団体」の意識にある。大会のトーナメントディレクターであるDrake Parikhet氏(ドレイク氏)が運営に関するリスクを全て背負い、不慮の事態も全て彼の“責任”で行っているからだ。
水上バイクのレースはアメリカがメジャーであった。しかし現在は、世界大会の主導権は、アメリカからタイに完全に移っている。
覇権が移った理由は、主催者の「大会に対する考え方」が違ったからである。
アメリカは「参加した選手や関係者の満足度を求めた」のに対し、タイは「インターネットやケーブルテレビを見ている“視聴者”の満足度」を求めたことである。
「視聴者が喜ぶことで視聴者数が伸び、スポンサーの広告効果が上がる」という循環が、商業イベントとして成立したからである。
スポーツビジネスはオリンピックであれ、水上バイクのレースであれ「大衆に支持され、楽しんでもらわなければ成り立たない」という証拠である。
そして人々が楽しんで熱狂する要因になるのが、選手たちによる「極限の戦い」なのである。
規模の大小に関わらず、イベントを成功させるには「責任の所在」が明確でなければならない。
名誉を授与する場合には前面に出て来るのに、不祥事が発覚したら「捜査に協力」では、今後も何も改善されないし、そういったイベントが支持されるとも思えない。
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