カテゴリ
タグ
  1. TOP
  2. RACE
  3. SEA-DOO 「HX」を知っていますか? 「今さら聞けないHX」 1995年に発売された名機 25年後の現在、世界的に再ブレークか? 「水上バイク」ジェットスキー

SEA-DOO 「HX」を知っていますか? 「今さら聞けないHX」 1995年に発売された名機 25年後の現在、世界的に再ブレークか? 「水上バイク」ジェットスキー

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SEA-DOO(シードゥ)「HX」って何だ?

シードゥHXは、1995年にBRP社から発売された、同社初のスポーツクラスのマシンである。当時はレースが盛んで、カワサキ650X-2や、ヤマハのウェーブブラスター(MJ-700TZ)がスポーツクラスの中心機種であった。

HXは、1992年にヤマハから発売されたMJ-700TZと真っ向勝負を挑んだようなデザインで、発売当時は非常に話題となった。

1995年製。「HX」の斬新なデザインについて、BRP社は「イルカを研究することから生まれた流線型デザイン」と説明していた。


1995年当時の「SEA-DOO HX」スペック

全長 273cm
全幅 85cm
全高 97cm
エンジン Rotax エンジン、2ストローク・2気筒(NA)
最大馬力 85hp
排気量 718cc
乾燥重量 177kg
燃料容量 27ℓ
定員 2名
価格 1,070,000円

発売当時、最も話題となったのが、PWC史上初となる革新的なダイレクトサスペンションシステム。25年前、いや、それよりも遥か前からシードゥは革新的な試みをしていたのだ。

体験試乗「完全レース仕様のシードゥ HX」



どうしてこのHXは、こんなに乗りやすいのか?

先日、2019年度の「SPORTS GPクラス」初代トリプル・クラウンチャンピオン、片野丈一郎選手が実践で使用している2台の「HX」に乗せてもらう機会があった。

2台のHXのうち1台は、純正ノーマルの船体に、カワサキの1,500ccエンジンを搭載している。

コンストラクターの藤江功一氏からは「このマシンは、昔のHXに比べて格段に乗りやすくなっている。アクセル全開にして楽しんでください」と言われた。

アクセルを握ると、アッという間に時速117kmに到達する。レース中の荒れた水面ではないが、非常に爽やかな走りに思わず笑みがこぼれる。恐怖心よりも楽しさが勝る。「乗りやすさ」「楽しさ」に、心底驚かされた。

これが「2021年のニューモデルですよ」と言われたら、即買いしそうで怖いくらいだ。
このマシンを製作した藤江氏によると、「古いHXと、新艇のSX-Rを1台用意して、工賃が払えれば何とかなる」と言う。
片野丈一郎選手のチーム監督である片野宣之氏曰く、「ランナバウトを買うよりも、HXでレースをしたほうが楽しくてリーズナブルだ」と言い、「1,500ccのエンジンなら、1年経っても壊れない。皆でHXのクラスを盛り上げたい」と話す。

片野選手が世界チャンピオンになるために製作されたレーシングマシン。良く曲がり、良く走る。これから、より細かな足回りのセッティングが行われるという。パワーアップされたパワーを、よりコントロールしやすく、足回りや操縦安定性の強化がなされたものが、レーシングマシンなのだ。

今さら聞けない話。HXの最重要課題「乗り込み」

片野選手の父親でチーム監督でもある宣之氏は、HXの発売当初からHXでレースに参戦している。現在でも複数台HXを所有しているベテランライダーだ。今回、宣之氏の全面協力を得て、改めてHXの素晴らしさを掘り下げてみる。

HXに乗る際、絶対にマスターしておかなければならないことが「乗り込み」である。
カワサキ650X-2もそうだが、初期のジェットスキーには「乗り込み」という難題があった。それが、機種ごとの乗り味の違いにもなっていたのだから面白い。

当時、650X-2に乗れるのに、HXが乗り込めないといった光景は良く見られたそうだ。機種によって、乗り込む際の「攻略ポイント」が違うのが原因だ。
逆に言うと、これから説明するポイントさえしっかりと押さえておけば、HXの乗り込みができるようになる。

これほど自信満々で言えるのも、それまで乗り込めなかった私が、宣之氏のアドバイスで乗り込みが出来るようになったからだ。

永久保存版 HXの乗り込み方

講師:片野宣之氏

皆さま、これがHXの乗り込みの答えである。写真の宣之氏がいる位置に乗れば、安定が保てるのだ。後方から乗り込んだら、一目散にこの場所を目指そう。

片野流・HXの乗り込みのお手本

1 足の付かない深さで落水した例。精神を統一して、後部から乗り込む準備。

2 両ヒザを付いてデッキに上がる。

3 シートを挟んで、一目散にシートの最先端を目指す。宣之氏曰く「サササササと、駆け上がってください」。

4 上写真のように、シートの最前方にさえ座れれば安定が保てるので、怖いモノはない。ここでゆっくりと落ち着いて、テザーコードを差し込む。

5 セルを回してエンジンスタート。爽やかに走り去っていった。

HXの乗り込み 編集部A君チャレンジ

私こと編集部Aが、宣之氏の乗り込みをマスターすべくチャレンジした。
1回目は、後方から駆け上がる途中で、マシンが傾き転倒。「もっとサササササと駆け上がれ」と。宣之氏に叱られた。

チャレンジ2回目。後部からフロントを目指す過程で、船体がどちらかに傾く。それを修正しようとすると転倒する。「傾くのも、バランスも無視して、サササササと駆け上がれ」と、またもや叱られた。

3回目のチャレンジ。宣之氏の言う通り、一心不乱にサササササと駆け上がる。どちらかに傾いても気にしないで、シート前方に向かう。

教えてもらった通り、ここに座れたらエンジンが停止していてもバランスが保てる。安定しているので、ゆっくりとテザーコードが差し込める。

無事に走り出せた。自分一人で乗り込めたからか、ますますHXが好きになった。しかし、これが「2人乗り」できるマシンなんて、信じられない……。

おさらい 片野流HXの乗り込み

1 この状態からシートの一番前まで“サササササ”と移動するのがポイント。

2 右足に体重がかかれば右に、逆なら左に傾く。それを修正しようとすると転倒する。
とにかく、シートの最先端に移動することだけを考える。

3 この場所に座れたら、もう安心。転ぶことはない。
乗り込みが一人でできるようになると、HXの楽しさは倍増する。

極めると、不安定なHXの上で、エンジン停止状態で立っていられるようになる。(ライダー・片野丈一郎選手)

このレーシンング「HX」制作の模様は、「ワールドジェットスポーツマガジン9月号」 只今、無料公開中に掲載しております

【関連記事】
ジェットスキーに誘われたとき、女の子が持っていくと便利なもの 持ち物
水遊びに最適! 安全に水遊びできる子供用ウェットスーツ
2020年水上バイク全モデルラインナップ
今年は何を着る? 2020年 最新ウェットスーツセレクション
嘘だろ!「ハイオクガソリン、どこで買っても中身が同じ!?」
初めてでも失敗しない 中古艇の探し方、選び方

【片野丈一郎選手・関連記事】

「片野丈一郎・21歳の挑戦」2年連続でトリプル・クラウンを狙ったが、コロナ禍で断念

シリーズ20歳の夏 第8回「世界へのチャレンジ・ベルギー国 参戦記」

シリーズ20歳の夏 第13回「急激に進化するライディング。その秘密と、世界への期待」

シリーズ20歳の夏 第1回「ジェットスキーに懸ける青春」

ジェットスキー中古艇情報

月間アクセスランキング