6月16日(金)~18日(日)の3日間、猪苗代湖・崎川浜海水浴場(福島県・会津若松市)において、「ALL JAPAN JET SPORTS SERIES 2023 3st STAGE」と「AQUA BIKE 全日本選手権シリーズ(国土交通大臣杯)」の2カテゴリーのレースが開催された。
梅雨の6月でありながら、天気は両日ともに晴天。夏の爽やかな気候の中、レースが開催された
ここでは、全レース中の「ランナバウトクラス」だけを集めた。
「Pro Runabout GP」「Expert Runabout OP」「Pro-Am Runabout 1100」「Pro-Am Runabout STK」「Pro-Am Runabout LTDクラス」「Novice Runabout STK」の各クラスを紹介する。
WJS 今大会も、圧倒的な走りで勝利しました。おめでとうございます。余裕のレースでしたね。
殿井 余裕なんて一切ありませんよ。挙太が走っているときは、ずっと“針のむしろ”に座っているのと同じ状態で、非常に辛いです。
WJS MOTO1とMOTO2で1位、MOTO3でも6位以内なら優勝という状況でした。そのMOTO 3も、「あともう少しで1位」になれそうな走りでした。
殿井 僕からすれば、「6位以内で優勝」という状況で、なんで1位を獲りに行くんだろう?って思いますよ。それは挙太の性格なので理解はしていますが、胃に穴があきそうでした。
WJS レースでは何が起こるかわからないから、安全マージンを取って走るべきだということですか?
殿井 多分挙太は、「抜かなかったから温存した」って言うと思いますよ。「最近は、マシンが壊れなくなったね!」みたいなことも良く言われます。でも、前回の琵琶湖大会では、トップを独走中に「排気パイプが外れる」というトラブルを起こしていますからね。
WJS でも、前回は殿井さんがパイプを嵌め直して修理したおかげで、MOTO2とMOTO3は勝っています。
殿井 でも、「パイプが外れたMOTO1」は負けている。「GAKO」のモンスターパワーは半端ないんです。だから、最後まで何が起こるかわからないと思ってレースを見ています。
エンジンが壊れるというような、一般的なモータースポーツで言うところの“壊れる”ことは少ない。むしろ、前回のようにパーツが外れたり、消耗品の耐久年数が極端に短くなったりする。そのパワーゆえに、その都度、内容は違えど予測不可能なイージーなトラブルが発生するんです。
WJS そのパワーも計算して、マシンを造らなければいけないわけですね?
殿井 その通りです。それに今年は、「結果を残す年」だと決めています。挙太にも、我慢はしてもらいます。
本人も「マシンに無理はさせられないので2番でゴールした」と言っていますから、今回は良しとします。
ギャラリーはみんな、生駒選手を追うために、選択コースで拳太が逆コースを選ぶと、喜んで「行け! 行け!! ケンタ!!」って叫んでいました。でも僕は、心の中で「行くな! 挙太!!」って思っていました。
WJS ギャラリーは気楽に応援できますが、マシンを預かるメカニックはそうはいきません。今回勝ったことで、次回の千里浜大会で「5位以内」に入賞できれば、ほぼシリーズチャンピオンが決まりですね。
殿井 今の挙太が、「5位」で帰ってくると思いますか? とりあえず無事に結果を残せるように頑張ります。
MOTO3で意地を見せた生駒 淳選手。
生駒 淳選手は、MOTO1が7位、MOTO2で2位と、少し元気がないように見えたが、MOTO3で優勝を決め、大きくガッツポーズ。
ランナバウトの最高峰クラスで、「GAKO」のようなターボ艇でなく、スーパーチャージャー艇に乗って3位になれるのは、ランナバウトの絶対王者・砂盃 肇選手の卓越したライディングテクニックによるものである。
千木良選手(写真手前)のマシン「GAKO」は、ホールショットを獲得するぐらいスピードが優っている。最初は大きく差が開いているが、レース終盤には、砂盃選手(写真左後ろ)が必ず追い上げてくる。王者は、最後まで絶対に諦めない。
砂盃選手の世界戦略艇「GAKO」は、現在、マリンメカニックで開発中。国内最終戦で、投入してくるかもしれないという。今の遅いマシンでも十分に速いのに、これが「本番艇」となったらどんな走りを見せるのか、今からワクワクする。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 奥 挙太(EXCELGROUP) |
2位 | 生駒 淳(#1 POUND ONE) |
3位 | 砂盃 肇(マリンメカニック) |
4位 | 佐野 季輝 |
5位 | 千木良 真之(マリンメカニック) |
6位 | 森川 博司(M&H Racing) |
7位 | 海辺 満幸(パフォーマンスマリン) |
佐野 季輝選手は【MOTO1】3位、【MOTO2】5位、【MOTO3】3位の総合総合4位。
佐野選手は、昨年の最終戦、このクラスで初優勝している。実力は折り紙付きの31歳。今大会も、良い走りを見せていた。
【MOTO1】2位、【MOTO2】4位、【MOTO3】7位の総合総合5位。
千木良選手は、MOTO 3でホールショットを獲得するなど、今大会も速さを見せていた。MOTO3で体に不調をきたし、悔しい結果となった。
ケガで欠場中の田村 眞沙充選手(写真左)とマリンメカニック代表・今﨑 真之氏(右)。今﨑氏の造る「GAKO」が、ランナバウトクラスで覇権を争っている。
田村 選手は、仕事中に足を複雑骨折し、全治までに1年かかるという。本来なら、この場所で奥 選手と優勝争いを演じていたかもしれない。今シーズンは残念だが、不屈の闘志で完全復活を願いたい。
MOTO1、MOTO2とも1位。完全優勝の浅井 信也選手。
MOTO1で4位、MOTO2で2位。総合2位の生駒 明美選手。
MOTO1で2位、MOTO2で4位。伊藤 真一選手は悔しい総合3位。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 浅井 信也(マリンメカニック) |
2位 | 生駒 明美(#1 POUND ONE) |
3位 | 伊藤 真一(マリンメカニック) |
4位 | 新井 紀男(DO SPEED FR) |
5位 | 三上 定裕(Ace Japan) |
6位 | 須藤 勇(DO SPEED FR) |
スターティング・グリッドに並ぶのは総勢6台。
須藤 勇選手の突き抜けたオーラ。
ベテランの大岡 嗣典選手が、MOTO1で1位、MOTO2で2位と、珍しく苦戦した。
選択コースで、トップの大岡 選手に2位の岡田 成利選手が仕掛ける。
岡田 成利選手は、MOTO1で3位だったが、MOTO2では大岡選手を抜いて1位でゴールした。
合流地点で、アウトコースからやってきた岡田選手が、インコースの大岡選手と並ぶ。
MOTO1で2位、MOTO2で3位、総合3位の北澤 政幸選手。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 大岡 嗣典(offshore) |
2位 | 岡田 成利 |
3位 | 北澤 政幸 |
4位 | 江藤 茂(offshore) |
5位 | 藤井 隆志(TEAM seaZracing) |
6位 | 鷹森 圭一郎 |
7位 | 知久 健一(offshore) |
このクラスは、ベテランの大岡 嗣典選手(ゼッケン39)の独断場だ。いつ・誰が、大岡選手の連勝を“止める”のか注目だ。
MOTO1、MOTO2ともにトップフィニッシュ。文句なしの総合優勝となった白戸 裕太郎選手。
総合優勝の 白戸 裕太郎選手。
実力者の佐川 隆選手は前回大会と同順位、MOTO1で3位、MOTO2で2位、総合2位。
西田 惇平選手は、MOTO1で2位、MOTO2で3位となり、総合3位。
西田 惇平選手は今大会、非常に調子が良さそうだった。若い選手の成長は早い。目が離せない。
岡田 祐樹選手はMOTO1、MOTO2ともに4位となり、総合4位。前回大会と同順位だ。
池田 公男選手の走り
小松 忍選手の走り。
中村 雄作平選手の走り。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 白戸 裕太郎(#1 POUND ONE) |
2位 | 佐川 隆(Excel Adoor Racing) |
3位 | 西田 惇平(EARTH FACTORY) |
4位 | 岡田 祐樹(EARTH FACTORY) |
5位 | 池田 公男(マリンメカニック) |
6位 | 小松 忍(Team EAST JAPAN) |
7位 | 中村 雄作(Excel Adoor Racing) |
Pro-Am Runabout STKクラスは全7台がエントリーする激戦クラス。マシンの力がほぼイコールなので、個人の力量で勝負する。ここで勝つことが、ある意味「ライディングスキルの高さ」を証明することになる。
EARTH FACTORYの面々。若いメンバーが中心のこれから楽しみなチーム!
Pro-Am Runabout LTDクラスは、エントリー5艇中4艇が、名門・ DO SPEED Factory Racing の選手だ。写真中央は、チーム監督の中曽根 敬氏。
MOTO1、MOTO2ともにトップフィニッシュ。文句なしの総合優勝となった白戸 裕太郎選手。
勝利後、笑顔がステキな白戸選手。
岡田 祐樹選手は、MOTO1、MOTO2ともに2位で総合2位。
西田 惇平選手はMOTO1、MOTO2ともに4位となり、総合3位。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 白戸 裕太郎(#1 POUND ONE) |
2位 | 外所 元樹(DO SPEED FR) |
3位 | 梅澤 大地(DO SPEED FR) |
4位 | 新井 紀男(DO SPEED FR) |
5位 | 須藤 勇(DO SPEED FR) |
Pro-Am Runabout LTDクラスは、DO SPEED勢 vs 白戸選手の戦い。
MOTO1で3位、MOTO2で1位、総合1位を獲得した外所 元樹選手。
MOTO1で1位、MOTO2で6位、総合2位を獲得した尾崎 凌汰選手。
MOTO1で5位、MOTO2で2位、総合3位を獲得した岡本 太志選手。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 外所 元樹(DO SPEED FR) |
2位 | 尾崎 凌汰(EARTH FACTORY) |
3位 | 岡本 太志(Kazuo Racing) |
4位 | 芝本 拓哉(EARTH FACTORY) |
5位 | 西原 副昇(マリンメカニック) |
6位 | 梅澤 大地(DO SPEED FR) |
7位 | 岡崎 朝洋(Kazuo Racing) |
8位 | 白川 久人(Excel Adoor Racing) |
前回大会で優勝した谷本 崚選手(写真右)と、四国・高松市のジェット・ショップ「TACH 134°」の福居店長(左)。マシンデザインは、「サクセススピード&グラフィックス」のフルグラフィックデカールキットを使った、こだわりのフルオーダーだという。今大会は無念の予選落ちだが、次戦に向けて気合十分。
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