6月16日(金)~18日(日)の3日間、猪苗代湖・崎川浜海水浴場(福島県・会津若松市)において、「ALL JAPAN JET SPORTS SERIES 2023 3st STAGE」と「AQUA BIKE 全日本選手権シリーズ(国土交通大臣杯)」の2カテゴリーのレースが開催された。
梅雨の6月でありながら、天気は両日ともに晴天。夏の爽やかな気候の中、レースが開催された
ここでは、「Pro Ski GP」「Expert Ski GP」「A SKI SLTD」「A SKI-X SLTD」「Pro-Am Women Ski STK」のスキークラスカテゴリーを紹介する。
今大会、Pro Ski GP クラスの総合優勝は「小原 聡将」である。
小原選手は、2022年の世界選手権で、世界チャンピオンのクエンティン・ボッシュ選手に対して、互角以上の走りを見せている。残念ながらそのレースでは、マシントラブルなどのアクシデントに見舞われて結果こそ残せなかったが、彼の強さは世界中のオーディエンスの目に強く焼き付いた。
今、国内のスキークラスで最も速いのは、間違いなく小原選手であろう。昨年(2022年)は、初戦の銚子大会で、2位以下を全員周回遅れにするという前代未聞の快挙を成し遂げ、格の違いを見せつけている。
小原選手は現役の競艇選手であり、前回大会の琵琶湖大会はボートレースと日程が重なり出場できなかった。そのため、今大会が今シーズンの初レースとなる。
今年は、マシンをプロフォース2.0から新しく「プロフォース3.0」に乗り換えた。そして昨年同様に、総合2位のチームメイト・海老原祥吾選手以外、全員ラップする走りで圧勝したのだ。
本誌では常日ごろから、世界のトップレベルよりも少し劣るが、「日本のトップカテゴリーは実力者が揃っている」と書いている。しかし、小原選手の走りを見るにつけ「世界レベル」ではなく、「世界のトップレベル」であると確信している。
MOTO3で総合優勝を決めた瞬間。「プロフォース3.0」に乗り換えて、初めてのレースとなった今大会。他の選手とは別次元の速さを見せつけて勝ったのに、普段と喜び方があきらかに違った。さすがの小原選手でも、プレッシャーは相当かかっていたのだと思った。背負うモノが大きいのだ。ゴール後、自分自身を称えるように力強いガッツポーズ。
「良く走ってくれた」と、マシンを軽くたたいてねぎらう。
ギャラリーに向かって「やったぞ!」と大きくアピール。3ヒートともトップフィニッシュの完全勝利。
ホールトゥフィニッシュでの勝利。ホールショットのスペシャリスト、平阪勇助選手がアウト側のホールショット、小原選手がイン側で、合流で僅差で小原選手が前へ。このシーンは見応えがあった。前に出た小原選手を止められる選手はいない。
MOTO・1とは逆に、このヒートのホールショットは平阪選手。小原選手は2位からのスタートとなった。2周目から勝負を仕掛けた小原選手は、選択コースでアウトコースを走る平阪選手に対し、インコースを選択。普段のレースなら、ここはマシンの速い平阪選手が何周か抑えるところであるが、2周目の合流であっさりと小原選手がトップに立った。
2周目の合流地点で、小原選手がインコースの最終ブイを曲がるとき、アウトコースの平阪選手よりも完全に前に出ていた。考えられないほど速いスピードで、インコースを走り抜けていたのだ。それからは、敵なしの状態。最後にチームメイトの海老原 祥吾選手に抜かれたが、それも戦略のひとつに見えた。
MOTO・1同様に、ホールトゥフィニッシュの完全勝利。昨年の銚子大会の再来のように、2位の海老原選手以外、3位以下を全員をラップして強さを見せつけた。
3位の平阪選手のすぐ後ろから迫る小原選手。
ここまで速いと、今シーズンの初参戦とは思えない。完全に、昨年よりパワーアップしている。
WJS 今大会、勝利後のガッツポーズがいつもと違うように感じました。あんなに圧倒的な勝ち方をしたのに、ホッとしているように見えました。
小原 僕は、この「プロフォース3.0」の開発ライダーです。NEWマシンで、「昨年より、進化した走りを見せないと」いうプレッシャーは感じていました。
WJS MOTO・3では3位以下を全員ラップするパーフェクトな走りでした。昨年は「水面が荒れていたから、全員ラップ出来た」と仰っていましたが、今大会は平水面ですよね?
小原 だから本当に嬉しいんです。「プロフォース3.0」の戦闘能力の高さを証明できましたから。
WJS MOTO・2の2周目の選択コースでの走りはすごかったです。平阪選手に先行されていたのに、合流では完全に小原選手が前に出ていた。あんなに差が広がっているとは、想像もしませんでした。
小原 正確に言うと、トップスピードは平阪選手のほうが速いです。僕のマシンは、「低速から中速にかけて」が速い。プロフォース2.0より30㎏ほど軽量化されているのが理由です。
だから、選択コースのようなスラロームセクションでは、圧倒的な威力を発揮することが出来るんです。
WJS だから、トップでアウトコースを選んだ平阪選手より、圧倒的な速さでインコースを走り抜けることが出来たのですね。こんな走りを見せられたら、世界チャンピオンにも期待してしまいます。
小原 平水でここまで他の選手に差を付けられたのは、大きな自信になります。今年は、本気で世界を狙いに行こうと考えています。
小原 聡将選手。今年は、世界を狙う!
久しぶりに「強い海老原選手」を見た。圧倒的な速さを見せた小原選手に唯一、引き離されずに走り抜いたのは海老原選手"だけ"だった。海老原が乗るマシンは昨年の世界選手権で小原選手が乗った「プロフォース2.0」だ。レース直前の計測では"最高速が110km"。ちなみに小原の乗る「プロフォース3.0」の最高速は113km。マシンを制作している「k1・Racingの藤江氏」によると、日本ではハイオクガソリンで戦うが、世界戦ではレースガソリンを使用するので加速も最高速も更にUPするという。
海老原選手の壁は平阪選手だ。彼の攻略が課題! それが、今大会は出来た。今までは、ホールショットのスペシャリスト平阪選手にスタートで先行され、何度も抜きに掛かろうとチャレンジするが、結局はブロックされて写真のように後ろでゴールというレースが続いていた。
チームSKU46H Racing。左から、渋谷監督、優勝の小原選手、2位の海老原選手。GOODチーム!
総合3位の平阪勇助選手。ホールショットのスペシャリストで技術も申し分ない。今大会のキーマンであった。平坂選手がレースのポイントとなっていた。彼のようなテクニックのあるベテラン選手が先行すると、後続艇は抜くのに苦労する。小原選手も海老原選手も見どころは平阪選手とのバトルシーンだった。
今季、スーパースター片山 司選手の調子が良い。長い歴史の中で、彼が見せたミラクルな走りは永遠に忘れない。マシンとコンディションが噛み合えば、いつ勝ってもおかしくない。
全日本の「ミスタースタンドアップ」は健在だ。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 小原 聡将(SKU46H Racing) |
2位 | 海老原 祥吾(SKU46H Racing) |
3位 | 平阪 勇助(KILLER Racing) |
4位 | 片山 司(ZERO) |
5位 | 桜井 直樹(#1 POUND ONE) |
6位 | 佐藤 颯志(#1 POUND ONE) |
7位 | 日高 瑞夫 |
8位 | 釘崎 勇真(Team Shindy) |
9位 | 山﨑 友裕(超Ponkan Racing) |
10位 | 山中 祐太朗(ZERO) |
11位 | 前澤 貴仁(AUTO SWAP.F.R) |
今大会の1位~3位。海老原 祥吾(左)、小原 聡将(中央)、平阪 勇助(右)、なんと全員がプロフォースだ。Pro Ski GPの熱き戦い。
久々のレース参戦。完璧な勝利の 田中 エミ選手。普段からキッチリと練習しているから勝てるのだ。
田中選手は、ご主人の邦彦氏(写真右)がホルダーを務めている。夫婦で戦うからさらに強い。
「HEAT・1」、「HEAT・2」両ヒート1位の完全優勝。
「HEAT・1、2位」、「HEAT・2、3位」総合2位の志水選手。
志水選手(左)Expert Runnabouto OPクラス優勝の浅井信也選手(右)今シーズン、活躍中の2人。
今シーズン、Expert Ski GPクラスで表彰台に乗り続けている志水選手。攻めの走りでギャラリーを沸かせている、あとは優勝するだけだ。
攻めた走りを見せていた平選手
平選手(上列、左から2人目)仲間たちと。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 田中 エミ(55HEAVEN) |
2位 | 志水 秀行(マリンメカニック) |
3位 | 平 晃一(F51) |
4位 | 塩田 智晴(TEAM T5R) |
5位 | 金子 真珠(CLEVER W C T) |
6位 | 上坂 和成(TEAM seaZracing) |
7位 | 大滝 純平(TEAM M.P.S) |
8位 | 森 茂(TEAM M.P.S) |
9位 | 古川 薫(TEAM M.P.S) |
10位 | 山地 達也(JETS HAVAS) |
11位 | 高橋 肇(TEAM seaZracing) |
12位 | 東宮 香苗(DO SPEED FR) |
「HEAT・1、1位」、「HEAT・2、4位」総合優勝の横山 亜土夢選手
若い横山 亜土夢選手は将来の有望株!
チームAUTO SWAP.F.Rの皆様
「HEAT・1、3位」、「HEAT・2、3位」総合2位の戸賀瀬 満選手
「HEAT・1、2位」、「HEAT・2、5位」総合3位の齋藤 恵利子選手。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 横山 亜土夢(AUTO SWAP.F.R) |
2位 | 戸賀瀬 満(TEAM T5R) |
3位 | 齋藤 恵利子(Team EAST JAPAN) |
4位 | 佐藤 和輔(SKU46H Racing) |
5位 | 中島 正晴(FORCE Racing) |
6位 | 杉森 守(Racing MOTOINE) |
7位 | 高橋 登志朗(#1 POUND ONE) |
8位 | 今林 雅哉(ZERO) |
9位 | 平 晃一(F51) |
10位 | 阿部 文樹(Team EAST JAPAN) |
11位 | 森 茂(TEAM M.P.S.) |
12位 | 高橋 肇(TEAM seaZracing) |
今大会も優勝。今季3連勝の束村 智史選手。
HEAT 1で1位、HEAT 2で2位だった。
HEAT 2で2位。ゴール後、「失敗しちゃいました」と照れる束村選手。
今大会、総合2位。前回大会も2位の山中選手。
HEAT 2でホールトゥフィニッシュの1位、山中選手。
HEAT 1で2位、HEAT 2で7位だった竹内 武年選手。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 束村 智史(Racing MOTOINE) |
2位 | 山中 幸一(超PonkanRacing) |
3位 | 竹内 武年(Team EAST JAPAN) |
4位 | 新井 剛(マリンメカニック) |
5位 | 小原 奨二(TEAM M.P.S) |
6位 | 伊藤 寛昭 |
7位 | 原口 正之(Team EAST JAPAN) |
笑顔が眩しい、鎌田 六花選手。
ウィメンクラスで急成長中の鎌田 六花選手。
Expert Ski GPクラスに出場し、男性ライダーのなかで揉まれている金子真珠選手。
走りはアグレッシブ、素顔はステキな笑顔の女性だ。
総合 3位 向井 加寿子選手
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 鎌田 六花(SKU46H Racing) |
2位 | 金子 真珠(CLEVER) |
3位 | 向井 加寿子(55HEAVEN) |
総合優勝の鎌田 六花選手(奥ゼッケン69)、総合2位の金子真珠選手(手前ゼッケン27)が、レース終了直後にお互いの健闘を称え合う!
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